シッチャカ  メッチャカ戦って・・・

 オリンピックが終わった。と、云っても、私、天才的な運動バカときているから、スポーツはやるのは勿論、見るのも得意ではない。
 第一、自慢じゃないけれど、腕力のないことにかけては、誰にもひけを取らない。子供の時、懸垂などしても、デレートとぶら下がったままである。どうも、私はデレケート・・・ン?訂正、デリケートに出来ているので、私の身体は、地球の磁力に敏感に反応しているに違いない。
 走れば、いつも後ろから数えて1位。いつも勝ちを譲っているから、せめて「謙譲の美徳賞」くらい、出してくれてもいいと思うけれど、貰うのは哀れみの眼差くらいである。
 ゴルフだって、やったことはあるが、どだいあんな小さな玉を打てる訳がない。地球や大気をブッ叩くか、たまたま玉に当たってもチョロばかり。
 それなら、野球は、ボールが大きいから当たるだろうと思われるかもしれないが、その玉が飛んでくるではないか。止まっている玉が打てないのに、飛んでくる玉を打つなんて、言語道断である。打てる訳がない。 
 そういう訳で、スポーツは見るのもイヤ。だけど、TVで見る番組が一つだけある。それは、我が愛するジャイアンツが勝っている時だけである。何故か同点になったら、腕が自動的に動いてスイッチを切ってしまうので、自慢じゃないが、我が愛するジャアインツが負けた試合を見たことがない。いつも負け知らず「GoGo GIANTS」である。
 でも、8月中旬から、世間はオリンピック一色。いくら、スポーツ大嫌いと云っても、世間の話題についていかないと
「ア、そう八さん、ボケ気味」と云われそうだから、TVのオリンピック番組は見なかったけれど、ニュースで勝った負けたと報じてくれるので、非国民扱いされずになんとか2週間を過ごすことが出来た。
 でも、ニュースを見ていて、負けた選手が
「くやしいーーーー」と、号泣するならともかく
「楽しんで・・・ウンヌン」という一見負けてサバサバ風のコメントを聞くと、負け惜しみで云っているのかもしれないが、
「オリンピックって、楽しんでやるものじゃないでしょ」と云いたくなってしまう。
「死ぬ気になってやったけれど・・・」てなことを、云わないことには、その選手の後には、ウン千人の出れずに悔し涙を流した選手がルイルイといるのだから、その人たちの思いを踏みにじってしまうような気がする。
 中国のように、国が威信を賭けて、シッチャカメッチャカ主催する時代ではないような気がするけれど、選手は、負けてモトモト精神ではなく、個人の威信を賭けてシッチャカメッチャカ精神で戦って欲しい気がする。
 エ、何? 「運動バカのそう八がそんなエラソウなこと、云っていいの」って・・・。
 ウーン、だって、でもねェ・・・・。

殺した男

殺した男   トーマス・ハーディ

もし、どこか古い飲み屋ででも
彼と俺と出合っていたなら、きっと
同じテーブルを挟んで座り、一緒に
のどを潤しただろう、何杯も!
ところが、歩兵として戦場に送られ、
彼と俺と、にらみ合うことになった。
お互いに狙いを定めて、鉄砲を撃ち、
俺のほうが彼を、その場で殺した。
理由は、彼が敵だったからだ。
敵だったから、俺は彼を撃ち殺した。
それはその通りで、こっちにとって
敵に違いなかった、当然のことーーだが
そもそも入隊したのはひょんなことから、
俺も、たぶん彼もそうで、失業して次の
職が見つからず、家財道具を売り払って、
別にそれ以上、深いわけはなかった。

まったく奇妙なものだ、戦争というのは。
飲み屋でもし会ったら、喜んで何杯も
おごったり、金だって貸してやるような
そんな相手を、撃ち殺すのだから

訳  アーサー・ビナード(詩人)

暑くて熱くってアツーーイ!!!

 夏、真っ盛り。暑くって熱くってアツーーイ!!!
 『心頭滅却すれば火もまた涼し』と云っても、私、瞑想よりも迷想に耽るのが得意。だから無念無想の境地などなれっこないし、頭に氷枕を乗せて街を歩く訳にもいかないし・・・ウーン、やっぱり暑くって熱くってアツーーイ!!!
 街を颯爽と歩く見えそうで見えない超ミニの女の子や、ささやかな布でピチピチプリンの身体を覆った女の子を見ると、そりゃ、そちら様は涼しいでしょうけれど、こちら様のH心はカッカと燃えて、暑くって熱くってアツーーイ!!!
 今度届いた年金通知書を見たら「長寿医療保険」なる欄が設けられてあって、私はまだ該当しないから「0円」表示だけれど、その内「取りますわよ」というヤル気マンマンの通知書に変貌。
 長寿というのは、長生きしておめでとうと言う意味でしょ。だから、お祝いの品を差し上げますと云うのならともかく、逆に保険を差し引きますというのとは、どだいニュアンスが違う!!! 
 言葉遣いに気をつけろってんだ、とアッタマにきて暑くって熱くってアツーーイ!!!
 だから「後期高齢者医療保険」なんてオドロオドロしい名前や「長寿医療保険」なんてトンチンカンな名前でなくって、素直に「年長者医療費一部負担金」とでもすればいいでしょ。
 私、我が国のオエライさんは博学多才の御方と思っていたけれど、ひよっとしたら浅学非才の御方の間違い? と、思ったら我が国の将来が心配になって、暑くって熱くってアツーーイ!!!
 よく考えたら、私、就職して40余年、若い時は助け合いの精神でいこうと云われて、あまり大病にも罹らず、せっせと健康保険料をウン千万円納めてきたのに・・・ああそれなのに、助け合われる時になったら邪魔者扱いするって、これって、何?
「私のかかった治療費は全額払うから、支払った健康保険料返せ!!!」と叫びたい。でも博学多才の御方から「アホか!」と云われるのならともかく、浅学非才のオエライさんから云われると思うと悲憤慷慨・・・ゼッタイ暑くって熱くってアツーーイ!!!
 はるか宇宙の彼方で地球をウオッチングしているのナンジャモンジャ星雲のチチンプイプイ星人が、地球という星が『暑くって熱くってアツーーイ』のは、ヒト科の生物のなせる技だと断言し、この星に棲息している他の生物は文句も言わず黙って我慢しているのだから、
「ヒト科の生物も、自業自得と思って文句を言うな」と云っているらしいけれど、やっぱり暑くって熱くってアツーーイ !!!
 暑くって熱くってアツーーイから、このコラムで『暑くって熱くってアツーーイ』と悲憤慷慨したら暑さ半減するかと思ったけれど、やっぱ暑くって熱くってアツーーイ!!!
 トホホ・・・残念。

私が無駄に過ごした今日は・・・Part 2

 ホント、もうビックリ! オドロキ!!  大感激!!!
 というのは、岩波書店が発行する月刊誌「図書」の7月号に、かの有名な哲学者土屋賢二さんのエッセイが載っていたのである。
 それを読むと、ビックリ! オドロキ!!  大感激!!! 私が日頃思っていること、実行していることと同じことが書かれてあるではないか!!!
 なんと、東大哲学科を卒業し、御茶の水大学教授で、趣味はジャズピアノの演奏という偉くて偉い人と同じだなんて、私もエラーーーーーークなったような気がして、すこぶる愉快である。
 是非、そのエッセイを読んで頂きたい。

買っても読まない本   土屋 賢二

 私の家には買っても読まない本が大量にある。原因は向上心が強いことにある。
 暇ができると書店に行くが、そこで本を手に取ると、たいてい読みたくなる。
「社会人として経済に無関心でいていいのか」
「キリンのことをもっと知るべきだ」
「水洗トイレの仕組みも知らないのは恥ずかしい」
「砂漠に一人取り残されたときのために必要な知識だ」などと思えてくる。立ち読みしているうちに向上心はつのり、何が何でも今すぐ読まなくてはならないと確信して買う。
 有益な本ばかりでは人間が偏ってしまうと思い、息抜き用に娯楽書も買う。教育テレビばかり見ているわけにはいかないのだ。
 向上心に燃えて家に帰ってしばらくすると、二つのことに気づく。
(1)有益な本を全部読破するには三百歳まで生きなくてはならない、
(2)いま自分に必要なのは息抜きだ。
 その日は息抜きのために娯楽書を読み、次の日になると向上心はあとかたもなくなり、行きあたりばったり生活に戻ってしまう。
 有益な本はしばらく身の回りに置いた後、目の届かない本棚にしまって忘れてしまう。その本棚には同じ運命をたどった有益な本がつまっているが、その本棚に入れたからといって捨てたわけではない。いつか読むかしれないし、何よりも、捨てると向上心を放棄してしまうような気がして捨てられないのだ。
 だから書店に入るときは、余命はわずかだと言い聞かせ、向上心を抑えている。それでも読まない本は増えていく。向上心がそれだけ強いのだ。それにしてはいっこうに向上しないのが不思議だ。

 ウン、同感同感。私が6月1日のこのコラム「私が無駄に過ごした日は・・・」を読んでもらうと分かると思うけど・・・・
 エ? 何? ドンパチB級映画愛好者のそう八さんと、哲学者の土屋先生とが同じだなんて、ホントよく言えよねェ・・って。
 そんなこと云われたって、私自身が「同じ」と断言しているんだから、絶対間違いない。ウソじゃないんだって・・・。

『駅』で出会って・・・

 先月NHKTVの音楽番組「SONGS」で、「SONGS BESTセレクションⅢ」が放映、私好みのチューリップに竹内まりや、森山良子にあみんが出演した。うれしくたのしくほのぼのシアワセ感に包まれて聴いてしまった。
 特に竹内まりやは、今年30周年ということで、ファンから好きな曲を投票したもらったところ、1位が「駅」2位が「元気をだして」3位が「人生の扉」だったそうである。3曲とも私の好きな曲だけれど、番組で歌ったのはモチ第1位の『駅』
 30代~40代の女性の共感を呼ぶ『駅』が1位になるのは当然かもしれないが、私のように、いい加減年を取ると『人生の扉』の歌詞

You say it’s alright to be 70
And say still good be 80
But I’ll maybe live over 90

を聴くと、90歳まで生きているとは思っていないものの
「ウーン、・・・だったらいいなァ」と感じてしまう。
 そして、後期高齢者とイヤがれる時代に生きていても、生きてることって素敵なことなんだと思はせるこの曲『人生の扉』が、今では私のBEST1になってしまった。
 6月はジューンブライド。ときめいて華やぐ季節である。でも結婚はゴールであるけれど、ときめいてばかりはいられない。人生のスタートでもある。
 そして目出度く結婚した女性でも、ある日ある時、シチュエーションは違っても、誰もがこの『駅』のようなシーンに遭遇したことがあるに違いない。その切ない想いが投票につながりBEST1になったのであろう。

    作詞・作曲 : 竹内まりや

見覚えのあるレインコート 黄昏の駅で胸が震えた
はやい足取り まぎれもなく 昔愛したあの人なのね

懐かしさの一歩手前で こみあげる苦い思い出に
言葉がとても見つからないわ
あなたがいなくてもこうして 元気で暮らしていることを
さりげなく告げたかったのに・・・
二年の時が変えたものは 彼のまなざしと私のこの髪
それぞれに待つ 人のもとへ 
戻っていくのね 気づきもせづに
ひとつ隣の車両に乗り うつむく横顔を見ていたら
思わず涙あふれてきそう
今になってあなたの気持ち はじめてわかるの 痛いほど
私だけ愛してたことも
ラッシュの人波にのまれて 消えゆく後ろ姿が
やけに哀しく心に残る
改札口を出る頃には 雨もやみかけたこの街に
ありふれた夜がやってくる・・・

 でも、これっきりで幕が降りるのならいいけれど、もう一度出会ったらどうする?
私などは、たちまち駆け寄って、それからああしてこうしてああなって・・・と、まずはめでたし目出度しとなるに違いないけれど・・・。
「ン? そう八さんて、惚れっぽくて振られぽいんじゃなかったの? だから、ああしてこうしてああならず・・・と、まずは残念無念でしょ」
 フン、女性ってなんてリアリスト。この曲を聴いた時ぐらい、ああしてこうしてと素敵な夢に浸ってもいいでしょ。プンプン!!!