自分を忘れて

目出度く石破総理が誕生したものの「国民に判断材料を提供するために、予算委員会を開き十分な論戦をして解散する」と云っていたので、
「さすが石破さん!」と、思っていたらケロットとして直ちに解散となってしまった。
そりゃあ「君子豹変」するものだと思っているが「朝令暮改」でしょ。あまりにも「舌の根の乾かぬ内」だからアッケにとられてしまう。
諦めていた総理の座が、安倍派のチョンボのおかげて飛び込んできたものだから、有頂天になって自分を忘れてしまったに違いない

そういうことで「ハードボイルドに恋をして12」の「生まれながらの」の続編です。

自 分

少なくとも、一日に1回は自分以外の何者かになりたがっていた。
東京創元社「マンハッタン・ブルース」ピート・ハルミ/高見浩訳

私は部屋に座り込んで、我が身を哀れんでいた。これぞ、得意中の得意なんだ。
早川書房「視聴率の殺人」ウイリアム・L・デアンドリア/真崎義博訳

ついと横を向き<ニューヨークなんでも一番集>の巻頭グラビアの合成写真のような姿を見せようと努力した。
早川書房「素晴らしき犯罪」クレイグ・ライス/小泉喜美子訳

会社に身も心もささげているのじゃない。おれは酔っ払いで、改心した道楽者で、自由主義の信奉者で税率の引き下げを支持している。
早川書房「二日酔いのバラード」ウォーレン・マーフィー/田村義進訳

たぶん最善の方法だった。私はシャワー浴びてすっかり目が覚めるまでウオーター・マッサージをした。それから、新品の曇らない鏡を見ながら顔をあたった。新しいミスターコーヒーも試した。自分がテクノロジーの奴隷であることを認めるのは大物の証拠だ。
二見書房「スキャンダラス・レディ」マイク・ルピカ/雨沢泰訳

でも、つぎのことだけ信じるわ。ロジャー・フォックスの言葉なの。
「われわれはみな、自分の内なる声に耳を傾けなければならないし、鏡に写る自分の姿をどれだけ素直に見つめられるかは、その声に従うか否かで決まる。あらゆる人の声がそれぞれに違う忠告を与えてくれるが、どうゆう意味か解釈できるのは、自分の耳に届いた分だけである」
早川書房「センチメンタル・シカゴ」サラ・バレッキー/山本やよい訳

(女が近づいてきて、わたしの名前をバーテンから聞いたと云ったが)
「はああ」信じられなかった。わたしはノートルダムのせむし男ではないから、女たちがわっと逃げていきはしない。だが、ロバート・レッドフォードでもない。サマンサ・ベッカーのような女がわたしの名前を聞くものか。
早川書房「ハリーを探せ」リチャード・ホイト/浅倉久志訳

「ポットでコーヒーを作って一杯飲みました。あとはあなたの分。それを飲んであたしのことを考えて。明日の朝電話します」
早川書房「黒いスズメバチ」ジェイムス・サリス/鈴木恵訳

 

大変な出来事

ヤッター! スーゴイ!! ジャイアンツ優勝!!!
なにしろ4年越しの優勝である。そこでもう一度 ヤッター! スーゴイ!! ジャイアンツ優勝!!!

エッヘン! 私、生粋のジャイアンツファン。むかし昔その昔「Go Go ジャイアンツ」と云って「優勝して当たり前」とされていた時代を生き抜いてきた私にとって、4年も優勝から見放されるなんて「世も末」と嘆いていたのだから、ヤッター! スーゴイ!! ジャイアンツ優勝!!!と、3回も云っても仕方がないことであろう。

アンチジャイアンツファンの皆さん、これって大変な出来事?

優勝した監督は、たいてい笑顔こおぼれんばかりだか、なんと阿部監督は涙がポロリ。見ていた私まで胸キュンの思い。
いつも表情を変えない阿部監督だが、凝縮された監督の1年間の思いを見た気持ちがした。

岡本選手が「阿部監督は、リーグ優勝したくらいで涙ポロリになるのだったら、日本シリーズで優勝して号泣させてやろう」と云っていました。
絶対、阿部監督を号泣させて下さい。

わがニッポン国の総理が石破さんにテンヤワンヤのうえ決定した。大変な出来事みたいである。
政治評論家の方々は、予想もつかない総裁選挙といっていたが、私、政治オンチだから言えたのかもしれないが、初めから「総理は石破さん」

いままでは、派閥のボスが大臣や自民党の役職などの候補者を総裁に推挙し、総裁がその中から大臣などを決めるというのがルールだったのである。
だから、派閥のおエライさん達は、派閥のボスにブリッコしていれば、あわよくば大臣とか自民党の役職につけると思い、総裁選でもボスの指示に従っていたのである。

派閥がなくなったせいで、今回の総裁選は9人も立候補。かくして石破・高市・小泉の決戦投票となることが予想されたので、第1回目の投票の時はボスまがいの人から言われた人に投票するものの、第2回目は「そうは問屋が下ろさない」となる。

総理が決まれば衆議院選挙に来年は参議院選挙。いくらおエライさんと云えども、選挙に落ちれば「タダの人」。だれもペコペコ礼などしてくれない。
そうなると大変である。絶対に当選せねばならぬ。総理は世間から高感度で見られる人になってもらわなければならぬ。

高市さんは、安倍前総理の後継者だからアメリカのトランプ大統領候補と同じように岩盤支持層があるとはいえ、あまりにもイメージが強すぎるし、安倍派はモリカケに始まり、統一教会に裏金問題と「???」がいっぱい。今のズールイ自民党の延長線上の人である。

小泉さんは横須賀のボンボン。人気はあるけど、まだ総理コースのスタートに立ったばかり。

自民党に愛想をつかしていた人々は、石破さんは自民党の野党と云われるくらいだから、自民党を立て直してくれると勘違いして・・・ン? 失礼・・・勘違いなどせず自民党に戻ってくれるに違いない。

と、云う訳で石破さんの世間の高感度はピカ一。かくしておエライさんたちは「わが身が第一」という訳で石破さんに投票することになる。

ウーン、予想どおり石破さんが総理になったけれど、新任の大臣さんの顔ぶれを見ると「エ!」という人はいない。
実力派かもしれないけれど「自民党を変える」という刷新のイメージなし。残念である。

おいしい話がいっぱい

9月中旬というのに猛暑だって・・・。
暑いというより熱い!!!

そこで、朝日新聞朝刊の8月10に掲載された鷲田精一さんの「折々のことば」を紹介します。
俳優の辰巳琢朗さんが生物学者中村桂子さんとの対談の中で、

「気候がおかしいと言いますが、自然を自然のまま受け入れる感覚を失っていることの方が、まずいんじゃないでしょうか。人間が自分の思いとは違う自然の変化を危機のように語るのはまるで〝既得権の主張〟みたいだ」と話すと、中村桂子さんは
「生き物はつねに〝穏やかではない環境〟の中にあって、ときには絶滅もしてきた」
と、話しました。そして「気になるのはその変化の急激さ」だと。

ウーン、これからは毎年暑さが増すばかりで、10年後には35度以上が夏日、40度以上が真夏日、45度以上は猛暑日、50度以上が酷暑日となり、台風並みのゲリラ豪雨があちこちで起こり、台風は全てスーパ-台風化して頻発し、地球は水浸し状態。
植物も生育できなくなって、ウン100年後には地球のヒト科の生物も生息できなくなる星になっているに違いありません。

最近の気候は「異常気象」ではなくて「通常気候」なのでしょう。
9月になって秋を感じるようになったら、それは「異常気候」なんです。

秋なのに猛暑をものともせず、国会議員のおエライさんたちは猛ハッスル!!!
自民党の総裁選に9人のおエライさんが立候補すると共に、立憲民主党の代表選にも5人のおエライさんが名乗り出て、政界はテンヤワンヤ。

自民党の総裁はうまくいけば、わがニッポン国の総理大臣になるんだけれど、失礼ながら
「この人が総理大臣? エ? 世界を股にして掛け合うことが出来るの?」

自民党は派閥がなくなったから9人もゾロゾロ・・・て云うことは、今迄は「右向け右」と命令一下、ボスの命ずる人に自分の意向とはかかわらず投票していたんですね。

9人のおエライさんの中では、総裁に選出されないのは分かっていながら立候補している訳でしょ。だけど、
「アホみたい」なんて言ってはいけません。

と、云うのは、今回の総理大臣は、ボスが選んだおライ人が総理大臣になるのではなく、それぞれの国会議員が
「私が総理ななる」という固い意志で立候補した人がなるんでしょ。それはそれで「イイコト」なんです。

とは云え「政治資金規正法」がザル法と云われたのに、今頃になって「裏金をなくすためにアレをします、コレをします」なんて、もっともらしいことを云っているおエライさんがいるけど、何故「政治資金規正法」を決めるときに言わなかったのが・・・今頃云うなんて「卑怯千万」。みっともない話である。変節する政治家なんて品格に欠けるみたいです。

しかし、9人のおエライさんは、皆さん、とってもオイシイ話を連発。凄いことですね。絶対総理大臣になったら実行してくれると信じています。
総裁に選出されたおエライさんは、落選した8人の思いをくみ取り、次回の衆議院選挙の時に8人の公約を全て組み入れて自民党の公約にしたら、わがニッポン国の国民にとって「おいしい話×9」となって、自民党大勝利となるに違いありません。

立憲民主党の代表戦には「昔の名前で出ています」人が3人で、とってつけたように女性が一人。自民党みたいに、有名ではないけれど名乗り上げた人がいるというのに・・・人材不足を証明していて「政権交代」がむなしく響きます。

世界では「連立政権」が「常識」となっているのに、わがニッポン国では「非常識」。民主主義のレベルが低いんでしょうね。
かくして、中身は劣化しているけれど、巧妙に看板を差し替えた自由民主党が政権を維持。これって「めでたしめでたし」なの?

ウーン、他にいないんだから仕方ありません。トホホホ・・・。

1000年の時を超え


NHKの大河ドラマ「光る君へ」が放映されてから、「源氏物語」が1000年の年をこえて脚光を浴びてきたが、北九州市立文学館でも8月10日に「山崎ナオコーラさん トークライブ~ミライの源氏物語~」の特別講演会が開催された。
文学館館長の今川英子先生が聞き手となってのトークライブである。

講師の山崎ナオコーラさんって、なんだかヘンテコな名前と思っていたが、冒頭に今川英子先生が、ナココーラさんに名前のいわれを聞いた時、たちまち疑問解消、嬉しさ100倍!!!

ナオコーラさん曰く「わたしの名前はナオコ、コーラが好きだからナオコーラ」と、アッケラカン。
私、それを聞いてたちまちナオコーラさんのファンになってしまった。

と、いうのは、私、コーラ大好き人間なのである。
今からほぼ60年ほど前、花の東京で華の学生時代を謳歌していた頃、喫茶店に行くと「これアメリカの飲み物、日本で新販売のコカ・コーラ、タダだから飲んでみて」と云われて「ヘンな味」と云いつつ、喫茶店に行けばタダ・コーラを飲んだのが運の尽き。
タダは3か月で終了したけれど、何故かクセになり喫茶店に行くと、コーヒーを差し置いて「ハイ、コーラ」となる始末である。アホまるだし。コーラにおかされてしまった。

わが家では、私、アルコールダメ男なので、アルコールごとき飲み物は置いていないが、冷蔵庫にはコーラがいつもたくわえてある。

ナオコーラというヘンテコな名前をつけたのは、性別を曖昧にするためだとのこと。ウン、納得。
私、アンケートなどの書面に性別の欄があって「男」か「女」の〇を付けるようになっているのが多い。どうでもいいことかもしれないけれど、性別を区別する必要があるのかと???しているので、ナオコーラさんの「ジェンダーっておかしいよ」との思いを、ペンネームで表現するなんて流石である。
私、それを聞いてたちまちナオコーラさんのファンになってしまった。

それから、ナオコーラさんの趣味は「育児」だそうである。高尚な趣味を持っているのがエライ作家の方々と思っているのに「育児」とアッケラカン。
親しみ抜群。私、それを聞いてたちまちナオコーラさんのファンになってしまった。

文学館で特別講演会が開催されるとき、いつも講師になった作家の本の即売があり、買った本にその作家がサインをしてくれることになっている。
私は文学ミーハーだから、必ず本を買ってサインをもらっているので、今回も、買った本にサインして貰ったのは当然である。
置いてあった多くの本の中で、買ったのは無論「ミライの源氏物語」。サインは「森荘八様 ありがとうございます  山崎山崎ナオコーラ」うれしい・・・だけでは終わらなかったんですね。
なんと「山崎ナオコーラさんと写真を撮ってもいいですよ」との由。うれしさ200倍。我が生涯にとって最初で最後の有名人とのツーショットとなるに違いない。
たちまちナオコーラさんのファンになってしまった。

そこで、この記念すべき写真を披露することにした。エッヘン。ウン、凄いでしょ。

山崎ナオコーラさんの「ミライの源氏物語」についてトークは、アッケラカンにしてとってもユニーク。楽しいトークライブになりました。

夢旅人の7月15日の「艶っぽくって」に、私の本棚に鎮座している谷崎潤一郎の「新々訳 源氏物語」全11巻を読むことにすると宣言したものの、ツン読してあったクイーム・マクドナルドの「平凡すぎて殺される」などの海外のミステリー本4冊をようやく読み終わって、今から「谷崎潤一郎の源氏物語」にかかれるようになったばかりである。

それで、今回のトークライブを聞いたうえで、購入した「ミライの源氏物語」を読むと、今から読む「谷崎潤一郎の源氏物語」について・・・そう、深読みが出来そうです。楽しみ・・・。

ウーン、山崎ナオコーラさんにお願い。「源氏物語」を「ミライ」でなくて「今」訳してくださいね。

※ 山崎ナオコーラさんーー北九州市生まれ。2004年に「人のセックスを笑うな」で文芸賞受賞し作家デビュー。エッセイ「ミライの源氏物語」はBUNKAMURAドゥマゴ文学賞受賞。新刊「あいらめる」など著書多数。

すべての人につたえたい

今日は8月15日。終戦記念日。

広島で原爆が落とされ142.000人の人々が死亡し、長崎で原爆が落とされ71,000人の人々が死亡、その213.000人の犠牲があってようやく降参した日本。

しかし、広島に原爆が落とされる前に、多くの都市で焼夷弾がばらまかれ、すでに200.000人の人々が亡くなっているのである。

そして沖縄が焦土化し、世界一を誇る戦艦大和が巨大な大砲を1発も撃つことなく撃沈されているというのに、どうして「降参」の白旗をいさぎよく挙げなかったのか・・・。

もし、沖縄で惨敗した時点で白旗を挙げていたら、原爆が落とされることもなく、213.000人の人々が無残に殺されることもなかっただろうに・・・。

詩人堀場清子さんが、疎開先の広島で原爆を悲惨さを目撃し「その空が・・・」と詩を残した。
長い詩で読むのも辛い詩。でも、詩の冒頭に「すべての人につたえたい」と書いてある。
だから、読んで下さい。これが原爆なんですから・・・。。
   

その空が・・・   堀場清子

すべての人につたえたい

百万の眼穿が雨にうたれ 陽にやかれ
しらじらと見あげていた
  その空がどんなに青かったかを

死んでしまった胎児らの網膜に
一瞬 永遠の深さでやきつけられた
地獄よりもひどい地獄 爛れた大地のうめき声を
黙然と包んでいた
  その空がどんなに青かったかを

山脈をはるかにこえて 毒茸のように
純白のパラシュートが流れていった
  その空がどんなに青かったかを

二日目 蒼黄色に膿がながれた
三日目 生きながらウジがこぼれおちた

くるひもくるひも死の蝶の羽うらで
産卵のように死体がふえた

廃墟の町の夜々を
にんげんの脂が明るくてらした

まひるま 川原の砂のくぼみに
だれともしれない灰がつもった

生きながら焦がれた苦しみが 死んでふたたび焼かれるとき
ほのあおい気体となまぐさいにおいになって
生き残ったものの鼻孔に弱々しい訴えをした
くるひもくるひも
〝水清い〟太田川の流れにそって
林のように かいもない祈りのように
ほそぼそと煙がのぼり
つめたく晴れた空のただなかで
ゆれてはとけた

ひと夏を死体の煙でやしなわれた
その空がどんなに青かったかを

 ※ 堀場清子ーー1930年~、広島県生まれ。現代詩人会、詩集「首里」他多数。