机には中島みゆき、壁には吉永小百合

昨年、私が見た映画は20本。

私、弾がドンドンパチパチ飛びかうものの、わがヒーローには何故か弾は当たらず、敵は何人いようともバタバタ倒れ・・・すごく痛快にしてすこぶる爽快な「ドンパチ映画」が大好きである。
「ザマー見やがれ」と喝采して意気揚々と映画館を後にすることが出来る。

この手の映画が優れているのは、敵に弾が当たってもすぐ倒れず、ヨロヨロとスクリーンの外に出て、それから血がドバッと出てバッタリ倒れるようになっているらしく、目を閉じたくなるような残酷なシーンとか死体累々というシーンは全くない。
女性向きに配慮された映画なのに、私が「ドンパチ映画」大好きと言うと「フン」と軽蔑の眼差し。ウーン、女性って不可解!!!

私が見た洋画は、「エクスペンタブルズ 4」「エヴァンナント」「アーガイル」「ゴジラ×コング」「マッドマックス:フェリオサ」「バードボーイズ」「フォールガイ」「モンキーマン」「エイリアン:ロムルス」「サウンド・オブ・フリーダム」「シビル・ウォー」「アメリカ最後の日」「レッド・ワン」の13本。

そして「スカッと爽やかドンパチ映画」は「スカッと忘れるドンパチ映画」でもある。
私は日本人である。日本語のタイトルの映画だと内容も推測できるが、カタカナ語タイトルの意味などチンプンカンだし、わが年齢のせいにしたくはないが、翌日にはストーリー賞味期限が切れるのでケロッと忘れてしまう。皆さん、タイトルを見てどんな映画か想像できる?

うちのかみさんは「お金を払ってケロッと忘れる映画を見に行くなんて、何たる無駄」と嘆くが、それでも見に行く心情が分からないなんて、ウーン、女性って不可解!!!

邦画は原則として吉永小百合さんとゴジラの映画は見に行く。但し何事も例外があるので、話題となる映画も見に行くことにしている。

見に行った邦画は「ガンダム4 SEED FREDOM」2度目の「ゴジラー1.0」「スミオの話をしよう」「海の沈黙」「中島みゆきコンサート 歌会VOL.1」。それに、わが街が誇るミニシアター昭和館の特別企画「ある男」と「マチネの終わりに」の2本立てを見たあと、この映画の原作者「平野啓一郎トークショー」。

「海の記憶」は原作が倉本聰、大好きな小泉今日子さんが出演したので見に行ったところ大ガッカリ。シリアスな映画は私の最も不得意とするもので、私から見ると彼女はNHKのドラマ「団地のふたり」のような役柄がピッタリと思い込んでいるので、この映画で演じた小泉今日子さんて・・・見に行かなきゃよかった。

昨年見た映画で最高だったのは無論「中島みゆきコンサート 歌会VOL.1」
コロナで公演中止となって以来、4年ぶりのコンサートで披露した19曲が5.1サラウンドの大スクリーンで甦ったのである。

ステージ構成が素晴らしい。舞台は真っ暗。中央に中島みゆきさんのお立ち台があり、バックにはほのかな照明の下で左側に弦とピアノ、右側にバンドが配置。真っ暗闇の中にライトアップされた彼女の立ち姿だけが浮かびあがったよう見える仕掛けである。シンプルにしてとってもお洒落。彼女にピッタリのステージ!!! こっれて、彼女のアイデアに違いない。

最初に歳を取ることを忘れた彼女がアップで登場。そして、ビックリ、あの40数年前のラジオ「オールナイト ニッポン」での懐かしい彼女の口調で「ご無沙汰しています。中島みゆきです」という挨拶。彼女のオールドファンむけの大サービス。

そして2度目のビックリは、メガネをかけての登場。彼女はもともと知的なイメージだが、メガネをかけると知的度がまして、大学の教壇にたっても遜色ない感じ・・・。歌手にしておくのはもったいない・・・なんてことは絶対にありません。ハイ。

19曲の内、私の知っている曲は「銀の龍の背に乗って」と「地上の星」のみ。知らない曲ばかりだったが、その中で私好みの歌は「慕情」と「心音」。ウーン「心音」はとっても素敵でした。

第1部での彼女のドレスはゴージャスをまとい、2部ではシンプルな装い。かって昔、たびたび彼女がアンコールで出てきた時のジーパンに白のブラウス姿が大好きだが、今回はなし。残念・・・。

それに最高に素敵だったのが、中島みゆきさんのニッコリ笑顔が印刷された卓上カレンダーが入場者にプレゼント。私の部屋の壁には吉永小百合さんの大きなカレンダー、机の上には中島みゆきさんの卓上カレンダー。ウーン、なんと豪華な・・・。凄いでしょ!!! 毎日会えるなんて、なんと大大大幸せ・・・・。

出世コースにのりました

昨年の年末は、恒例の「紅白歌合戦」を初めからズズズーイと見て、年越し蕎麦を食べたながら続いて放映された「ゆく年くる年」を見て、0時20分から国技館で始まるさだまさしの「年の初めはさだまさし」を2時30分まで見て、ニコニコホンワリホカホカ気分になって寝ることが出来た。

うちのかみさんは「あなたはれっきとした年寄りだからテレビの「第九交響曲」の演奏会は見て、同時間に始まる「紅白」など、どうしても見たければ録画した後でコッソリ見て」言うが、直接「紅白を見る」のはわが家の家訓だから断固拒否。「第九」は録画している。

私がいつも見ている音楽番組はNHKの「カバーズ」と「SONGS」とフジテレビ系で放映されている「ミュージック フェアー」のみ。
「ミュージック フェアー」は、今が旬の歌手が時々登場するが「カバーズ」と「SONGS」は、私でも知っているメジャーな歌手がほとんどで、1年間流行った歌を知るのは「紅白」しかないのである。

今年の紅白も初めて聞く曲、初めての歌手がゾロゾロゾロゾロ。どんな可愛い女の子が出てくるか・・・ン? 訂正、どんな心に残る曲が出てくるか、興味津々。
お断りしておくが、若い女の子のグループが、ピンコピンコ足を思いきり上げて踊るのをマジマジと見る・・・という訳では決してない。誤解しては困る。私、チラチラのチラと見るだけである。

当然ながら知っている歌手も大勢出ていたが、南こうせつにイルカは別格として、贔屓にしている歌手の中では高橋真梨子ただ一人だけ。なんと16年連続出演のPerfumが出ない。大大ガッカリ!!!

私、Perfumのテクノポップが大好き。彼女たちのダンスも可愛い。そしてステージのバックに、テクノポップに合わせて投影される映像がこれまたお洒落ときている。
「紅白」の中でも、歌う曲にしろステージ構成にしろ異彩を放つグループだったのに、どうして、結成25年の記念すべき年ともなるPerfumが出演出来なかったのか、まるで不思議。

良かったのはtuki.の「晩餐歌」にVaundyの「踊り子」。B‘zも「スゲー!」と思ったけれど、私、男だからラストに歌ったMISIAの方に最高印。とってもスッゴク圧巻。私の好きな歌手の仲間入りをした。

初めての司会をつとめた伊藤沙梨さん、ドジった時の慌てぶりが可愛いかったです。

お正月は、恒例の三社参り。蒲生神社に妙見神社に篠崎神社。初詣でアレヤコレヤにアレコレも加えてお願いをする。お賽銭100円也で欲張りすぎると思われるかもしれないが、神様のことだから大目にみてくれるはずである。

お参りをしたら、必ず「大吉」目当てにお御籤を引く。もし三社で大吉が出なかったら、目的達成のため四社目に行きたいが、神様の顰蹙をかいそうだから、これだけは我慢してスゴスゴと帰ることにしている。

最初にいった蒲生神社では「小吉」次の妙見神社ではなんと大吉。スゲー&スゲー。
初めは「小吉」から出発し徐々に運がついて年末には「大吉」。典型的な出世コースである。87歳になって出世コースに乗るには遅すぎる感があるが、年末には宝くじを買うことにしよう。

かくして、私の1年はまずまずのスタート。
今年もよろしくお願いします。

お正月なんですから・・・

今日は昨日の続き、なにが目出度い・・・なんて憎まれ口を叩かずに、まずはともあれ

開けましておめでとうございます

シルバー川柳に

正月も 3日も過ぎたら もう年末  ※

とあるように、あれよあれよと年を重ね、私、アット言う間にもう87歳。極め付きの年寄り。

かくして、私、年寄りの最前線を走っていてゴールまじかでしょ。だから、一休宗純禅師の句

正月は 冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし

これがお似合いと云えそうだけど、私、年齢不感症。87歳という自覚症状がないものだから、交差点の信号の青が点滅はじめると、つい走り出そうとするクセがある。
かみさん曰く「白髪をなびかせて走るなんてみっともない」
ハイ、仕方ありません。昨年から青信号点滅に差し掛かっても「86歳、86歳」と唱えて自粛している。

小林一茶が正月を迎えるにあたり詠んだ句

めでたさも 中くらいなり おらが春

と「めでたさも中くらいなり」ならともかく「めでたさも下の下くらいなり」という、昨年ロクでもない年になった人もいるにちがいありません。

今日は昨日の続きの連続だから、イヤイヤ気分を引きずづったままの毎日でしょうが、お正月って摩訶不思議。
新しい年の始まりという気分になって、昨年の諸々の出来事は切り捨て「今年こそ」とギアチェンジ出来るのがお正月なんですね。
お正月は昨日の続きではありません。そう、いまこそ気分を新たにギアチェンジ!!! 

絶望」  谷川俊太郎

絶望していると君は言う
だが君は生きている
絶望が終点ではないと
君のいのちは知っているから

絶望とは
裸の生の現実に傷つくこと
世界が錯綜する欲望の網の目に
囚われていると納得すること

絶望からしか
本当の現実は見えない
本当の希望は生まれない
君はいま出発点に立っている

ハイ、「ヨーイ・ドン」
なんたってお正月なんですから・・・。

このプログの「ご挨拶」のページの末尾に、今年の年賀状を掲載しておりますので、お読み頂ければ幸甚です。
私の年賀状は、このスタイルで50年も続けており、250枚出していた年賀状をようやく130枚まで縮小してきましたが、皆から「年賀状が楽しみ。止めるな」とおだてられ「いつまで続くぬかるみぞ」と、過去の遺物となりつつある年賀状を書き続けています。トホホホホ・・・。

※ シルバー川柳 大安吉日編から佐藤由美(71歳)

笑みの消えない1年を・・・

もう、すっかり冬模様。街に流れるクリスマスソングを聞くと、私、イイ歳をしているのに、アホみたいに華やか気分になってしまう。

私、初詣には行くしお寺の年頭初参会にも行くしクリスチャンでもないのにクリスマスは大好きというイイ加減な人間。
だから孫が来る訳でもないのに、クリスマスには毎年クリスマスツリーを飾り一人でホクホク&ニコニコ。気分は素敵にクリスマス。

このプログもクリスマスソングを聞きながら書いているけれど、好きなのは定番の「ジングルベル」やクロスビーの「ホワイトクリスマス」にマライアキャリーの「恋人たちのクリスマス」やワムの「ラスト・クリスマス」。
邦楽では山下達郎の「クリスマス・イブ」に松任谷由美の「恋人がサンタクロース」、稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」とか、要するにクリスマスソングならどれでも大好き。節操なんかありやしない。

クリスマスソングに歌われているように、クリスマスになくてはならぬものは恋人。
好きな人の隣にいて、夢の中でもその人に会っていると詠んだ黛まどかの句

君とゐて 聖夜の夢に きみと逢ふ

のような幸せな人もいると思いますが、
俵万智の句のように、

つながりを 確かめているクリスマス そばにいる人 いてほしい人

愛を確かめたいという人もいるに違いありません。
でも、諸星詩織の句

ジングルベル 街にサンタがやって来た 終わりかけている恋が哀しい

のような人もいるかもしれません。
でもね、恋を失ったということは「恋した」とい素敵な経験をしたことにほかなりません。恋をしたくても出来ない人から言えば、うらやましい経験。
ときめきの時を持てたんですから・・・何も言うことはありませんと、強がりを言って哀しみを吹っ飛ばしましょうね。

ウーン、私、1回とは言わず何回も失恋したい!!!
エ? 何? 「そう八さん、ムリ! ムリ!! ムリ!!!」だって・・・。

わが森家にとって、今年もさして悪いこともなかった代わりにさして良いこともなく、日常茶飯事に生活を積み重ねて1年を過ごすことが出来ました。
日常茶飯事な生活でもいいから元気に過ごせたということは、すっごく幸せなことかもしれません。

波乱万丈の一年だった人もおられるのかもしれませんが、来年は村田馨&天野慶夫妻が詠んだ句にあるような年になることを祈って、今年の夢旅人の幕を閉じたいと思います。

平凡な生活だけど喜びと 笑みの消えない暮らしにしよう

このプログ「夢旅人」を読んで頂きありがとうございます。大大感謝です。
では、良いお年をお迎えください。

※ 黛まどかーー俳人。神奈川県生まれ。第40回角川俳句賞奨励賞、第2回山本健吉文学賞受賞。句集に『花ごろも』『忘れ貝』『てっぺんの星』など。
※ 俵万智ーー俳人。大阪生まれ。第32回角川短歌賞受賞。第一歌集『サラダ記念日』は歌集としては異例の大ベストセラーとなった。日常会話で使われるカタカナを巧みに使い、親しみやすい歌風は多くの人々の心を掴んだ。『チョコレート革命』など多数。
※ 諸星詩織ーー詩人&俳人。沖縄生まれ。詩集に『愛ポポロン』短歌集に『このゆびとまれ』等多数。
※ 村田馨&天野慶ーー 短歌人会同人。掲載した句は「短歌ヴァーサス3号」に掲載された『海へつづく道』から。歌集『つぎの物語がはじまるまで』など多数。

穏やかな幸せに包まれて

朝日新聞に谷川俊太郎さんの詩が毎月1回掲載されているが、11月17日の朝刊には「感謝」という詩が掲載されていた、

    感謝   谷川俊太郎

目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きてるんだ

今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない

どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?

神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る

この詩が掲載されて1週間後の20日に、谷川俊太郎さんが11月13日に亡くなられたことが報じられた。享年92歳。
谷川俊太郎さんは、間もなく自分の命が召されると感じてこの詩を書いたのに違いない。
その時、谷川俊太郎さんが感じたのが「感謝」
凄いというか、あっぱれというか、さすが谷川俊太郎さんである。

私、86歳。谷川俊太郎さんとほぼ同年代だが平々凡人。
毎日、目が覚めると「今日は昨日の続き」で谷川俊太郎さんと一緒だが、彼は「何かをする気はない」。私は「アレやコレやしなければならぬ」と、現生にドップリ浸かりきっている。

私、することをいっぱい抱えているので、92歳までしぶとく生き延びたとしても、現生に未練を残しっぱなしとなって、谷川俊太郎さんのように「感謝の念だけは残る」ようになれるのか?・・・ウーン、???。

詩心なんて全くない私だが、何故か現代詩が大好き。若いころ中央公論社から出版された「現代の詩人」全12巻を買い込んでチンプンカン気分を味わいながら読んでいたが、何故かホンワカ気分を感じて「これイイ」という詩に出会うこともある。
だから、谷川俊太郎さんの代表作「二十億光年の孤独」など???だが、大好きな詩もいっぱいある。その中で「ふたつの幸せ」は老人の私にとってピッタリの詩である。

ふたつの幸せ  谷川俊太郎

心の中で何かが爆発したみたいに
いま幸せだ!って思う
理由なんて分かんない
ただ訳もなく突然幸せになる瞬間
晴れてても曇りでもなく雨でも雪でも
まわりは不幸な人でいっぱい
私だって悩みがいっぱい
でも なんだろうね ほんと
あっという間に消えるんだけど
その瞬間の喜びは忘れない
そんなことってない?

老人は微笑んで少女を見つめる
爆発とはほど遠いが
いまの穏やかな幸せに包まれて

私、谷川俊太郎さんと違って平々凡人だから「感謝」なんて及びでない。多分「穏やかな幸せに包まれて」その時を迎えられたらと思う。