そこで コマーシャル

 1998年、定年を迎え花の東京での13年間にわたる独身生活‥‥ン? 訂正、単身生活にピリオドを打ち
「亭主元気で留守がいい」をモットーとするかみさんのいる北九州市に戻ってきた。
 すると「うちの合唱団、シロウトでもいいの。女性ばっかりで男性チラホラ。入会してよ」と知り合いの女性から誘われたのである。
 私は合唱経験0だけど、女性への抵抗力も0。それで「ウン、入る、入る」と答えてしまった。
 無論、こりゃモテルかもと下心付で参加したのは言うまでもない。ところが、女性は多かったのだけれど‥‥エーット、前美人に元美人に旧美人がいっぱい。でも、こちとら、髪の毛うっすらハゲ模様だから、贅沢は言えぬ。
 とこらが、練習するのを聞いてビックリ!!! 私は筋金入りの「ド・シロウト」。メンバーは、素敵に「ジ・クロウト」。話が違うと言ったら
「大丈夫。みんな初めはシロウト」
 どうも、みんなシロウトからクロウトに華麗なる変身を遂げたらしいが、私はシロウトのなれの果てで終わり「永遠の新人」と謳われるかもしれぬ。
 この合唱団の名前は「北九州を歌う会」。今は亡き團伊玖摩先生が、北九州市政15周年を記念して合唱組曲「北九州」を作曲。この曲を歌うために、1992年に結成された150人からなる合唱団である。
 毎年3月に九州交響楽団の演奏でこの組曲「北九州」の定期演奏会が開かれるが、最初に出たステージでは、うまく歌えたはずもないのに、何故か、老朽化したよれよれのハートが、鮮やかに甦り涙してしまった。
 この合唱組曲は,児童合唱や小倉祇園太鼓なども組み込んだオーケストラのための組曲で、北九州という街が持つさまざまな顔を、あるときはやさしくしっとりと、ある時は楽しく勇壮にイメージ豊かに表現し、最後に
「北九州 北九州 ふるさとやよし」と歌って終わる。演奏時間約40分。 
 私は、父が転勤族であったため、高校卒業までに17回も引越しを繰り返し、自慢じゃないが故郷と言えるものがない。ところが、この曲をステージで歌った途端、
「ああ、北九州がふるさとなんだ」と、たちまちにしてふるさとが誕生してしまった。
 ホント、この曲は摩訶不思議な魔力を持っていて、この最後のフレーズの「ふるさとやよし」と歌うと、賞味期限の切れた私の心でも、胸キュンとなるのである。
 てなことを、いくら力説しても「フーン」とか「ア、ソー」とか疑惑の眼差しである。そうなりゃ、これは聴いてみなければこの曲の凄さは分からない。
 そこで コマーシャル。
『すこぶる付の素敵なひとと、アアしてコウしてアアなって、まずはめでたしめでたしとなる以上の豪華絢爛な幸せを感じるうえに、演奏会が終わった後、隣のシートに座ったすこぶる付の素敵なひとと、アアしてコウしてアアなって、まずはめでたしめでたしとなるかもしれないコンサートにどうぞ』
 アー‥‥疲れた。売込みってタイヘン!!!

 合唱組曲「北九州」演奏会

 日   時  3月13日(日)15時開演
 会   場  九州厚生年金会館(北九州市小倉北区)
 入 場 料  2000円
 演   奏  九州交響楽団 ・ 指揮 増井信貴
 合   唱  北九州を歌う会 ・ 北九州市内少年少女合唱団
 祇園太鼓  小倉祇園太鼓保存振興会

 チケットの申し込みは、私のメールアドレスまでどうぞ。
 なお、インターネットで「合唱組曲北九州」と検索してもらえば、演奏会の詳しい情報がみられます。

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