夢 儚くって・・・

1 そもそもの始まり

  私。1938年生まれ。男性、メガネ付。A型で虎年生まれの獅子座。勇ましくって、威勢がよさそうに見えるけれど、時代はトレンディ。勇ましいなんて時代遅れもいいところ。それも<おじさん>とくれば、ヤボを絵に描いてダサイ額縁に入れ、殺風景な部屋に飾っているようなものである。
 それに加えて、九州生まれの九州育ち、どうしても<ときめいて爽やか>とは言いがたい。
 その私がどういう訳か、九州から花の東京に転勤して行くことになってしまった。1987年、入社して25年目の夏のことである。 続きを読む

女性ってトク!!!

 私 スポーツ音痴だけれど、それでも出来る運動がある。それは歩くこと。
 それで、趣味は一応登山ということになっており、九州から東京に単身赴任していた現役時代は「目黒ハイキングクラブ」という山岳会に入会していた。
 このクラブは、1974年に設立されたという名門のクラブだが、各人のレベルに合わせて毎月いくつものコースが用意されていたので、私は、もっぱらレベルの低い山行の方に参加、シコシコとアッチコッチの関東近郊の山に登っていたものである。
 ここで念の為にお断りするが、レベルの高い山行は、むくつけき山男がいっぱい、低い山行は女性がいっぱい参加するはずだから、きっとイイことありそうな・・・という下心付きで低いレベルの山行を選んだわけではない。あくまでも、スポーツ音痴にふさわしい山行を選んだだけである。
 そして、アアしたりコウしたりして楽しい山行 ・・・ ン? 訂正、スポーツ精神に徹して山行を行い、60歳の定年を迎え「亭主元気で留守がいい」をモットーとするうちのかみさんの元にオソルおそる・・・ではなく、ニコニコと戻ってきたのである。
 そして、どこかのクラブに入会しようかと思ったものだが、うちのかみさんに
「あなたって、もうトシ。他人から見れば立派な年寄り。山に登るのは止して、歩こう会の方がピッタりよ」と言われてしまった。
 私、年寄りの自覚症状に欠けているものの、うちのかみさんに逆らえば、老後の平和が脅かされる恐れがあるので、ウン、そうする、そうすると答えてしまった。
 ここで念の為にお断りするが、うちのかみさんの言いつけに従ったふりをして、ホントのところは、山岳会と違って歩こう会ならば、若い女性がいっぱいて、きっとイイことありそうな・・・という下心付きで選んだ訳ではない。そんなことは、さらさら考えたこともない。誤解してもらっては困る。
 そこで、九州に帰ってから嘱託となって就職した職場の歩こう会に加わり、女性が多いのでニヤニヤ・・・なんて、どうでもいいことは、うちのかみさんに言う必要もないので話さなかったけれど、歩くコースには、いつも500m前後の山行がセットされていたので、ささやかな登山気分を味わったものである。
 そして、その職場でも嘱託定年を迎え、歩くのにエンが切れていたが、去る5月に「小倉歩こう会」に入会したらと勧められたのである。この「小倉歩こう会」は、今年創立45周年を迎えるという由緒ある会だが、入会したところ、約100名のメンバーの内、2/3は女性だけれど、ナント、現美人はちらほら、前美人、元美人、旧美人がいっぱい。
 でも、前美人、元美人、旧美人といっても、イタリアの諺にあるように
『20代の女はアフリカだ。どこもかしこも熱い。30代の女はインドだ。神秘な謎がいたる所にある。40代の女はアメリカだ。テクニシャン。50代の女はヨーロッパだ。いたる所に廃墟がある。60代の女はシベリアだ。ある所は知っているけど、だれもそこには行きたがらない』なんて思ったことはまったくない。ホントである。
 ン? 何? 「それってセクハラじゃないか」って? でも、これは私が言っているのではなくてイタリアの諺。 私は、そんな失礼なこと、思っていても言う訳ない・・・ではなくって、思ったりする訳ないでしょ。
 「だったら、書かなきゃいいでしょ」って・・・。ウーン、そうか。ここで、女性のヒンシュクをかったらコワイので、本文中に書いてある『20代の女はアフリカだ。どこもかしこも熱い。30代の女はインドだ。神秘な謎がいたる所にある。40代の女はアメリカだ。テクニシャン。50代の女はヨーロッパだ。いたる所に廃墟がある。60代の女はシベリアだ。ある所は知っているけど、だれもそこには行きたがらない』という所は、削除することにしよう。
 エ? 何? 「そんなにしっつこく、大きく書くな」って? だって、はっきり書かないと、削除する箇所が分らなくって困るでしょ。ホント、女性の機嫌をとるのもタイヘンなんだから!!!
 でも、ホントのところピチピチプリンの女性を見ると、眩しくきらめいて溜息、それなりの年齢を重ねた女性を見ると、成熟した美しさにうっとりと、年齢に関係なく見とれてしまう。おまけに、老いも若きも、元気いっぱい!!!
 女性ってイイですね。それに比べると,我ら男性は、オジサンになったらオシマイ。ダメ親父とかバカ親父とかスケベ親父とかハゲ親父とか脂テカテカ親父とかデバカメ親父とかデブ親父とか言われた挙句、行き着く先はヌレ落ち葉。とにもかくにもロクな呼び方しかされない。これって、男に対するセクハラじゃないの? ホント不公平!!!
 今度、生まれ変わってくる時は、女になるとしよう。

負けてもともと・・・と、ヤセ我慢

 世間はサッカー一色。いや訂正、サッカー万色。
 私は、生粋のスポーツ音痴なので、するのは勿論見るのも苦手である。だから、TVのスポーツ中継で見るのは、ジャイアンツが勝っている試合だけ。サッカーにしろマラソンにしろゴルフにしろ、その他もろもろのスポーツの試合は見たことがない。
 大体、サッカーはウロウロ、アッチコッチ走り廻って忙しいことこのうえもない。アッチでウロチョロしていると思ったら、アッという間に、コッチに来て、アレヨアレヨという間にボールが入ってしまう。チットも目が離なせないので、油断も隙も出来ない。私は油断も隙もある人間なので、とてもじゃないがサッカーは体質的に合う訳がない。
 それに、TVなどで作戦がどうのこうのと言っているが、試合が始まったら、作戦なんて考える暇もありやしない。選手のその瞬間、瞬間の判断力・瞬発力が、試合を左右しているのではないかと思われる。それに比べると、野球は監督の作戦が大いに試合を左右する。我々もエラそうな顔をして、アアでもないけどコウでもないとヘ理屈をこねて、監督の真似事さえできる。
 そう考えると、野球はサッカーと違って、なんでも有りの余裕のスポーツである。チョット目を離しても、試合の流れは分かる。だから、何かほかの事をしながら試合を見ることができる。まして、敵が打つ順番の時は、うまくいっても0点、下手すれば敵に点が入るので、そういうイヤなシーンは見たくない。だから、オシッコに行ったり、新聞を読んだりして、有意義に時を過ごすことが出来る。
 余裕のない人生を生きているのだから、せめて、スポーツ鑑賞位は余裕のある見方をしたいものである。と、まあ、私はかくも高尚な哲学を有しているけれど、年はとってもミイハー。世間の話題にヒケをとらないように、ニッポンが出る時のワールドカップだけは見ることにしている。
 私は、サッカーのルールは敵の陣地にボールを入れたら勝ちということぐらいしか知らない。しかし、あまり大きな声で言いたくはないが、私は、ニッポンは、負けてもともと、勝てばラッキイと思っているのである。
 だって、なんたって、ヨーロッパ人や、アフリカ人、南米人は肉食人種である。アジヤ人は草食人種。ナンジャモンジャ星雲のチチンプイプイ星人が、ニッポンの選手にチチンプイプイと呪文を唱えて、スーパーマンの爪の垢を煎じて飲ませてくれるならともかく、彼らの身体・体力・スタミナ・スピード・瞬発力にかなう訳がない。
 それに、ワールドカップが始まったのは1930年。サッカー協会の川渕会長が
「1960年にドイツのスポーツ学校に行ったら、芝のグランドが8面もあって、子供が玉を蹴っていた。ジャイアンツの多摩川グランドさえ土のグランドだった時代なので、すごくショックを受けた」と書いているように、ヨーロッパ人は、スポーツと言えばサッカー。子供の頃からズーッと、づーっと、サッカーまみれになっていると言っても過言ではない。
 ニッポンでJリーグが始まり、サッカーが認知され始めたのは1993年。なんと60年あまりのハンデイがある。この60年という歳月はづっしりと重く大きく、なかなか取り返しがつかないのも当然といえよう。
 そんな訳で、我がニッポンは、負けてもともとなのである。そして、ヨーロッパ人が、我がニッポンのことを相撲と野球の国、世界に冠たるサッカー後進国と思っているのも当然であろう。
 だけど、『愛国心』論争なんてカタイ話はさしおいて、「ニッポン頑張れ、ニッポン頑張れ」と、ニッポン国中一丸となって盛り上がるってことは素敵なことである。・・・ などと思って、試合には負けたけれど、
「マ、イイカ」とヤセ我慢して早く寝ましょうね。

ああ それなのに それなのに・・・

 ホント、イギリス国防省という役所って、まったくアホじゃないかと思う。
 と、云うのは、BBCの報道によると、イギリス国防省が、先月未に未確認飛行物体(UFO)に関するエンエン400頁にわたる報告書を公表したそうである。
 この“Secret:UK Eyes Only”というスタンプが押されている機密書類によると、なんと『空とぶ円盤が存在する証拠はない』というものである。
 イギリスで目撃された4年間にわたるUFOの情報を検証したところ、空中に現れる異常現象は大気現象や電磁的影響、流星群による影響によるものであり
『自然現象以外の、何者かにコントロ-ルされていると考えられるものはない』と結論づけているのである。
 まして、宇宙人やUFOと接近遭遇したという証言については、プラズマなどが人間の脳に与えた影響によるものであり、宇宙人などいる訳がないと云っているらしい。
 フーンだ。私は、はるか宇宙の彼方のナンジャモンジャ星雲に、私の名前の荘八にちなんだタコの八ちゃん風の八本足のチチンプイプイ星人がいると信じている。大体「ない」ことを証明するのは、いわゆる「悪魔の証明」といわれるほど、きわめて難しいのに、よくも簡単に
『UFOは存在しない』なんて、言えたものである。
 かの有名な物理学者スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士が、講演会で
「宇宙に地球ほどの進んだ文明を持つ惑星は幾つぐらいあるだろうか」という質問に対し、迷うことなく
「200万ほどの惑星がある」と断言し、さらに
「そんなにあるのだったら、他の惑星の宇宙船が地球に来ているはずではないか」という質問がなされたが、これに対しホーキング博士は
「地球ほどの文明を持ってしまうと、その惑星は自ら正当な正当な循環を狂わせ、環境を破壊しつくしてしまう。そして、文明の主体者である生物は内面的にも極めて不安定な状況をきたし滅亡してしまう。だから、地球もその惑星も、宇宙の時間の総体に比べれば、ほとんど瞬間的にしか存在していないことになるので、瞬間的にしか存在していない惑星同士が、コンタクトできる可能性はゼロに近い」と答えたそうである。
 そう、ちゃんと、はるか宇宙の彼方のナンジャモンジャ星雲にチチンプイプイ星人は存在しており、そしてゼロに近い確率で地球を訪問しているのである。なにしろ、はるか彼方の宇宙からUFOに乗ってくるくらいだから、地球星人からは、想像も出来ないような科学を持っている。そして、大気現象や電磁的な影響、流星群による影響と勘違いさせるようにUFOをカモフラージュさせて、地球を訪れているのである。
 ああ、それなのに、それなのに、そんな簡単なことも分からないイギリス国防省って、バッカじゃなかろうか。
 だから、チチンプイプイ星人が地球を訪問する度に
「地球に生息しているヒト科の生物ってどうもアホみたい。あいも変わらず、同じ種族同士で殺し合いはしているし、この星の貴重な資源は使いっぱなし、環境も破壊しっぱなし。この分でいくと、ヒト科の生物のために、他の生物も絶滅させられることになるから、我々が乗り込んで、悪の根源たるヒト科の生物を駆逐し、ヒト科以外の生物や植物を絶滅から救うようにしよう」と、思っているなんて考えてもいないのであろう。
 ホント、ヒト科の生物って楽天家なんだ。きっと。絶滅する運命にあるというのに・・・・。

本物の夫婦って・・・

 6月はジューンブライド。
 6月に結婚するあつあつのカップルに、そして、もうすぐ結婚しようかなと考えているときめきのカップルに、それから、いい人いたら・・・と結婚を夢見る可憐なシングルに、はたまた、幸せ賞味期限を過ぎて7年目の浮気をしているドキドキのカップルに、それと、老後は自由とほくそ笑んで熟年離婚を目論んでいる恐怖のカップルに、次の詩を捧げます。

祝婚歌    吉野 弘

二人で睦ましくいる為には、愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは、長持ちしないことだと、
気づいているほうがいい。
完璧を目指さないほうがいい。
完璧なんて不自然なことだと、
うそぶいているほうがいい。
二人のうちどちらかが、ふざけているほうがいい。
ずっこけているほうがいい。
互いに非難することがあっても非難できる資格が
自分にあったかどうか後で疑わしくなるほうがいい。
正しいことを言うときは、少し控えめにするほうがいい。
正しいことを言うときは、相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい。
立派でありたいとか、正しくありたいとかいう
無理な緊張には、色目を使わず、ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい。
健康で風に吹かれながら、
生きていることの懐かしさに、ふと、胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして、なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても、二人にはわかるのであってほしい。

 そうなんです。アメリカのミステリー作家ラリー・バインハートも『最後に笑うのは誰だ』という本の中でこう書いています。

(女房の)マリー・ロールは俺が風呂と、アスピリンと、眠ることと、かしずかれることにしか興味がない、と言って非難した。つんけんしている彼女に腹を立てた俺も気に食わなかった。要するに何もかも気に入らなかったわけだが、これで俺たちも恋人同士から本物の夫婦になれたようなものだ。

と・・・。