ハァハァって何?

 我が街北九州市には、シネコンが3か所も誕生したため、古い独立館は駆除されて生き残っているのは1939年に誕生した創立77周年を誇る「小倉昭和館」のみである。
 「昭和館1」と「昭和館2」と並んで2館あり、座席数はそれぞれ270席と100席というミニシアターでもあり2番館でもあり名画座でもあるけれど、上映作品にかかわる俳優や原作者等を呼んでのトークイベントや、北九州市立文学館などとタイアップした作品等も上映したりするユニークな映画館である。忙しくて見逃した映画を見るのに最適。そして、なんと2本立てなのに入れ替えなしの入場料1,100円也。
 でも、2本立てだから、見るのも大変である。エンエン4~5時間かかる。たいてい見たい映画は1本だけの場合が多いけれど、1本見ても2本見ても同じ料金である。生まれつきケチな私は、興味が無かろうとお尻が痛くなろうと我慢して必ず2本見る。我ながらエライと思う。
 そして、シネコンではポップコーンとかコーラとか売っているけれど、ここの館内では何も売っていないから、持込自由である。あらかじめ350円也の弁当やらパンやら買ってきて、上演の合間に食べることが出来る。なんと安上がり!!! 我ながらケチと思う。
 私は、昔むかしその昔から、原則として吉永小百合とゴジラ以外の邦画・・・エーット、ゴジラは絶滅したから・・・吉永小百合以外の邦画は見ないことになっている。
 だけど、何事にも例外というものがあって・・・私的に言えば、最近は例外が多すぎるような気がするけれど・・・先日、「昭和館1」に行って「劇場版 MOZU」と「私たちのハァハァ」という映画を見てきたのである。
 テレビで「MOZU」が放映されていた時、我が街で撮影されているシーンが沢山あるし、ハードボイルドと聞いていたこともあって興味津々だったけれど、ドラマを見ない主義の私は見ていないし、これが映画化されても邦画を見ない主義の私は、見に行っていないのである。
 ホント、主義を全うするのもタイヘンである。例外が多くなるのも当然と云えよう。
 だから、これが「昭和館」で上映されると言うことを聞いて、なんたって1,100円で2本立てである。「2番館だから、マ、いいか」と、ケチ精神を発揮してたちまち例外適用。
 「劇場版M0ZU」の上映に先立って、我が街でロケしたシーンばかり集めたフィルムが上映されて、もう、ビックリ。ほとんど私の知っているが風景や街角がズラズラーといっぱい出てきて「スゲー&スゲー」の連発!!!
 そして、最後にロケに参加したエキストラの皆さんが、そのシーンに登場した俳優さんと一緒にニコニコ笑いながら手を振るシーンも映し出されて、なんと「おしゃれな演出」と見る私もニコニコ。ウン、素敵。
 でも、いつも見慣れている風景が様変わり・・・MOZU化しているのである。ウーン、映画って魔法なんだ。
 でも、上映された映画では、ロケした風景がほとんどカット。どうもドラマでは使われたらしいけれど、なんだかガッカリ&ションボリ。
 2本目の映画「私たちのハァハァ」は、聞いたこともない映画である。そして映画のタイトルもトンチンカンで意味不明。だから、普通のいいかげん年寄りの皆さんは、見るのをパスするのだろうけれど、生まれつきケチな私は、尻の痛いのも我慢して見なきゃならぬ。
 ところが、である。これがなんと大当たり!!!の作品だったのである。
 ストーリーは、北九州市に住む4人の女子高校生が大好きなロックバンド「クリープハイプ」のライブを見に行くため、それも、お金がないから自転車で・・・と、途方もない青春丸出しの発想で・・・東京に向かって1,000キロの旅をするロードムービーである。
 映画の中では、我が街北九州の風景がアレコレいっぱい出てきて、関門人道トンネルを自転車ではしゃぎながら通り抜け、九州をサヨナラしたものの、アレやコレヤあった結果、広島で自転車を諦めヒッチハイクに変更。
 そして、東京になんとか辿りついたけれど、肝心のロックバンドのライブの時間に、タッチの差で遅れてオジャン・・・とういう青春はち切れんばかりの喜びと苦い挫折を描いた映画である。映画のタイトル「私たちのハァハァ」って、ホント、ドンピシャリのタイトル。
 この映画は、ほとんど4人の会話で画面が構成されていたので、演出なしのドキュメンタリータッチの映画と思って見ていたら、エンドロールで「これはドキュメント映画ではありません」と出たのでびっくり。4人の女子高生の俳優さんの名前も顔も初めてだったけれど、演出を感じさせない素の演技で、青春そのまま。素敵な青春映画になっていました。 ホント、青春っていいですね。ウン、青春に帰りたい。
 それで、とっても感動したので、帰ってから調べて見たところ「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」で上映され、「スカパー! 映画チャンネル賞」と「ゆうばり国際ファンタランド大賞」を受賞していたことが分かりました。流石・・・デス。
 この映画を上映してくれた昭和館の樋口智己館長さん、ありがとう。

 ※北九州市には、映画やテレビドラマのロケを誘致・協力する「北九州フィルム・コミッション」があり、「MOZU」Season1では、全国のフィルム・コミッションで初となる「東京ドラマ・アウォード2014・特別賞」を受賞した。福岡県出身の高倉健の遺作となった映画「あなたへ」のロケをはじめ、映画72本・ドラマ89本 合計161本の撮影支援を行い、撮影日数延べ204日、宿泊日数13,354泊、エキストラでの市民参加8,000人に及んでいる。 
 昨年から今年にかけて北九州市で行われたロケは、NHK土曜ドラマ「逃げる女」・BSプレミアムドラマ「だから荒野」・ドラマ「福岡恋愛白書」・タイ国ドラマ「KIMONO HIDEN」・映画「寄生獣 完結編」・映画「Sー最後の警官ー」・映画「図書館戦争 THE LAST MISSON」・タイ国ドラマ「Devil Lover」などで、近く「相棒ー劇場版Ⅳ」のロケも行われる予定である。

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