春うらら

 春、春ですね。コートを脱いだ女性が、颯爽とピチピチプリンと胸をはって、街を闊歩する素敵な春である。
 そう、そして、春はなんたって、キャンデーズの「春一番」

もうすぐ春ですねぇ
恋をしてみませんか

 この曲を聴くと、賞味期限の切れた私でさえも、恋をしたくなるような気がする。ナーンて云っても、
「フン!」といわれるのがオチだから、せめて、俵万智の句にあるように

ふうわりと並んで歩く春の道誰からも見られたいような午後

 とあるような、恋にならないまでも、幸せ感じる人がいれば最高であろう。
 ところで、先月の末、博多に住む高校の恩師・大塚精一先生が入院しているというので、お見舞いに行くことにした。
 大塚先生は、大学を卒業してすぐ私たちの高校に赴任。だから、年齢があまり離れていないので、お友達気分でお付き合いしている先生である。そこで、恩師見舞いという大儀名分をつけて、我が青春のマドンナを誘い
「ふうわりと並んで歩く春の道誰からも見られたいような午後」を再現しようとしたところ、なんと、我が青春のマドンナは、他に3人も誘ったという。
 ウーム、下心付きお見舞いは、いとも簡単にバレてしまったようである。とかく、この世はままならぬ。
 かくして、JR小倉駅から乗った特急電車は満員状態。せめて我が青春のマドンナと一緒に座ろうと思ったのに、なんとバラバラ。
 病院についたら、先生はすこぶる元気。今日は外泊の許可を取ったので、
「皆でお花見をして帰ろう」という先生の嬉しいお言葉である。
 そこで、近くのスーパーでお花見弁当を買い、博多の桜の名所・舞鶴公園でお花見。3月末ということで、まだ桜はチラホラ状態だったけれど、なんたって
「花よりマドンナ」だから、
「マ、いいか」
 でも、
「ふうわりと並んで歩く春の道」の目論見は無残にくずれ、
「ぞろぞろと並んで歩く春の道」になってしまったのは残念である。
 行く途中、バカチョンカメラを買いパチパチ写したので、帰ってから現像して見たところ、会っている時は、ピンとこなかったけれど、写真で見たら、先生、すっかりオジイチャン化。
「先生、白髪で年取ったなァ」と、感歎したところ、うちのかみさん、それを見て
「あなた達とちっとも変わらないわよ」とのたまった。
 どうも、ヒトは私を見たら年寄りと思うらしいが、困ったものである。まだ、
「ふうわりと並んで歩く春の道」に憧れているのに・・・。
 それじゃあ、誰も歩いてくれないってこと?

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