ホント、もう、びっくり。おどろき もものき さんしょのき。私とソックリの人が居るなんて・・・。
彼が好むのは重厚な人間ドラマと言ったようなものではなく、たとえば上映が始まるや否や主人公が危機的状況に陥り、観客は手に汗を握り、そこに謎めいた美女が登場して謎めいたことを言い、主人公は鋭敏な頭脳を働かせて危機を切り抜け、観客がホッとしたのも束の間、また美女が現れて謎めいたことを言い、新たなる危機が主人公を襲って息つく隙もなく、ふいに爆発が起こったり、美女が悲鳴を上げたり、自動車が橋から落っこちたり、宝の地図が奪われたり、美女が奪われたり、愛が芽生えたり、美女を奪い返したり、いろいろなことがことがあった揚げ句、美女と主人公が接吻して終わる一群の作品、つまり冒険活劇である。「冒険活劇は映画館で観なければならない」というのが彼の意見であり、逆に言うと小和田君は、映画館で観た冒険活劇にかぎっては、どんなに阿呆らしい内容であっても一切を許す広い心を持っていた。
この文章は、朝日新聞夕刊の連載小説「聖なる怠け者の冒険」の一節である。
ドンドンパチパチ撃ちまくり、敵はバッタバッタと倒れても、我が愛する主人公には何故か絶対に弾は当たらないというドンパチB級映画愛好者の私は、この文章の一言一句を読んで、
「ウンウン、その通り」とニッコリ。小和田君、君はエライ!!!
従来、私が、
「かくかくしかじか、これが私の正しい映画の見方」と、自慢げに言うと、
「フ-ン・・・」とか言って、何故か知らぬが軽蔑の眼差しで私を見る。それで、私はいつも肩身の狭い思いをしていたものである。
だけど、天下の朝日新聞の連載小説に、私と同じ映画の見方をする人が登場したということは、私の映画の見方も、正しく認知されてきたということに違いない。
ウン、もう大丈夫。これからは、胸をはって生きていくことにしよう。
そんな訳で、今年私が見た映画は14本。「007/慰めの報酬」「マンマ・ミーア!」「フェイクシテイ」「グラン・トリノ」「ウオッチメン」「テュブリシテイ」「ザ・バンク」「天使と悪魔」「消されたヘッドライン」「スター・トレック」「ターミネーター4」「トランスフォーマー/リベジン」「エヴァンゲリヲン新劇場版:破」「ノウイング」
まあ、ドンパチ映画ではないけれど、「マンマ・ミーア!」のように私好みの美人が出る映画とか、お洒落な映画とか、SFや話題作などは見ることにしているけれど、後はハラハラドキドキB級映画ばかり。
だから、素敵に弾が飛び交うドンパチシーンを見て
「ワー」とか
「ヒャー」とか
「スゲー」とか、大声で叫びながら観たいけど、顰蹙をかうから、心の中で叫びながら観ていれば、私は大満足である。
このように、ドンドンパチパチ撃って撃って撃ちまくる「スカッと爽やかドンパチ映画」だけれど、ストーリィは阿呆らしい内容が多いから「スカッと忘れるドンパチ映画」でもある。
だから、2~3日もたつと、ドンパチの素敵シーンは思い出すけれど
「アレッ、筋は何だっけ?」
だけど、私も、連載小説の主人公小和田君と同じように、広い心の持ち主であるから、どんなに阿呆らしい内容であっても一切を許すことが出来るのである。
ホント、自分で言うのもなんだけれど、私はエライ!!!
エ? 何? 「ウウーン、そうじゃなくって、そう八さん、それって単なるボケ」
ウーン、ホントにまァ・・・よく言うよ。お年寄りをいたわりましょう!!!