風薫る5月に・・・

 いい加減年寄りの私にとって春は眩しすぎるけれど、5月は爽やかに緑が目に沁みて、薫りたつような美しい季節。私のよれよれハートも、チョッピリ甦る気がする。
 そして、鯉のぼりが爽やかな風に乗っておよいで・・・と、言いたいところだけれど、街はすっかりコンクリートに覆われて、鯉のぼりを見ることが少なくなってしまった。
 だから、5月5日は「子供の日」のイメージが強いけれど、郊外に出て、鯉のぼりがのどかな風景にとけこむように泳いでいるのを見ると、「ああ、端午の節句なんだ」という季節感が甦り、なんだかホノボノうれしくなってしまう。
 そして、パパやママそしておじいちゃんやおばあちゃんの健やかに育ってという想いをのせて、真新しい鯉のぼりが風に舞い・・・ウーン、これって絵本の世界。日本の古き良き時代の原風景なんですね。
 あの日に戻りたい。

こいのぼり   谷口 廣保

父親の願い
母親の祈り
青空におどる まごいよ
新緑におどる ひごいよ
ー初節句の ご本人は無心ー
1年生は いま
自分で 自分のこいのぼりを作る
たどたどしい その手つき
真剣に光る 美しいその目
しかし やがて
その手は
宇宙船のボタンをおすかもしれない
その目は
すばらしい芸術を生みだすかもしれない
子どもたちよ
その手を
戦争なんかで汚してくれるな
まして
そのだいじな いのちの目を
つむらされてたまるものか
子どもたちよ
五月の空に高々と
あなたの こいのぼりをあげよ

※ 谷口廣保ーー1920年~1998年。教育者。詩集に「白墨のうた」など。

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