4月に出かけた「中央ヨーロッパ5ヵ国の世界遺産周遊」の旅で、ツアーの最終地チェコのプラハで、アイスランドの火山噴火のため空港が閉鎖されて、6日間も足止めをくってしまった。
それで、プラハの名所旧跡や市街を気儘にウロチョロ散策して、プラハを堪能することが出来たけれど、ある時ショッピングセンターの中にある大きな書店に入ったことがある。
陳列されている本は、全てチェコ語だからチンプンカン。でも店内をブラブラ見廻っていると表紙に『HARUKI MURAKAMI』と大きな活字で印刷されている本を見つけた。ウン、かの有名な村上春樹のハードカバーの3種類の本が入り口近くの平台に山積されていたのである。
名前だけローマ字だけど、あとはすべてチェコ語だから題名が分からない。でも、村上春樹の本が東欧の小さな国チェコでも、山積みされて売られているとわかって嬉しくなってしまった。
私は、むかし昔のそのまた昔、同人雑誌を編集したりして、ブンガク青年だったけれど、これまたとっくの昔に卒業して、今や外国のミステリィ専科に落ちぶれてしまっている。
それで、純文学という類の本は、ブンガク青年の名残で私の本棚にはズラズラーと並べてあるけれど、私の読書の世界とは、ほど遠い存在になっているのである。
私が持っている村上春樹の本は、文庫本は処分しているので分からないけれど、ハードカバーで残っているのは「ノルウェイの森」「コインロッカー・ベイビーズ」「1973年のピンボール」「ダンス・ダンス・ダンス」「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の5冊だけである。
純文学は卒業していても、私は基本的にミイハアだったから、これらの話題となった村上春樹の本も買った訳だけれど、今やミイハアも卒業して、純文学のベスセラーも読むことがなくなってしまった。
だけど、チェコで村上春樹である。チェコ人が読んでいるのに、私、ニッポン人。ニッポン人が読んでいないなんて、沽券にかかわるではないか・・と、いう訳で話題の「1Q84」を、帰国したらさっそく買って読んだ次第である。
第1巻の冒頭にチェコ・ソロバキアの作曲家ヤナーチェックが作曲した『シンフォニエッタ』という楽曲が登場している。
そうか、それでチェコで売られているは村上春樹の「1Q84」3部作か、と思ったがそんなに早く翻訳が出る訳がない。きっと「ノルウェイの森」などの有名本だと思ったけれど、「ノルウェイの森」にも冒頭にビートルズの『ノルウエーの森』という楽曲が出てくる。
小説の導入部に、知られざる名曲を持ってくるというのは、お洒落な手法だけれど、それに引っかかったミイハアの私などは、
「エ? 何?」と、さっそくCDを買ってきて聴いたものである。
でも、今はもうミイハアを卒業しているし、なにしろヤナーチェックである。CDを探すのも大変と思って、早々に聴くのを断念してしまった。
純文学と言えばカタイ本と言うわけで、敬遠しそうになるものだけれど、村上春樹は優れたストーリテラーだから、純文学というより準文学みたいな感じでスイスイと読んでしまう。帰国しても超繁忙を極めていたから、まだ3巻共読んだ訳ではないけれど、実に面白い。
それに、殺し屋が出てきたり、SF模様だし私の好みにピッタリ!!!
久しぶりに純文学を楽しんでいます。皆様もどうぞ・・・。