“二隻の舟”に乗って・・・

 11月に、中島みゆきが「紫綬褒章」を貰ったけれど、その感想が
 「棚から本マグロ」
 エライ方々の授賞の言葉は数々あれど、中島みゆきのが最高!!! 久しぶりにみゆき節を聞いた気がした。さすが中島みゆきである。
 授賞されたせいでもないだろうけれど、NHKBSTVで11月23日(月)と27日(金)の2回にわたって、BS熱中夜話「中島みゆき」が放映された。
 私の好きな歌手は、云うまでもなく男性は井上陽水、女性は中島みゆき。
 陽水は、時々TVに出るけれど、中島みゆきは、TVには絶対に出ないし、TVで取り上げられることも少ない人である。
 だから当然、ミタ! みた!! 見た!!!
 放映された内容は、司会やコメンテーナーの他に,中島みゆきの熱烈ファンが30人ばかり出演。中島みゆきは出演しないものの、彼女の恋歌などのビデオが流され、その歌詞について、出演者がこもごもにその魅力を語るという番組である。
 1976年頃、中学生だった息子の部屋の壁に長さ1m、幅50cm位のポスターが貼ってあった。女性が床の上に膝を少し立てて横座りしている写真である。暗いバックに黒い衣装、顔だけほのかに見えて、それがなんと私好みの美人。
 聞くと、それが中島みゆきだと言う。タレントの写真には珍しいそのネクラな写真に引かれて、息子からレコードを借りて聴いたのが「時代」である。
 以来、私は無条件に彼女のファンとなり、息子は中島みゆきを卒業して、さっさとジャズに転向したけれど、私は中島みゆきから卒業することも出来ず、いまだにファンをしている。
 なんたって、レコード時代から深く静かに潜行して30有余年のキャりアを持つファンである。言うなれば長老ファンである。23日のTVに出演していた30代~40代のファンなんて、私から見れば、ファンのヒヨコみたいなものである。
 それに、である。自慢して言う訳ではないが・・・と云いながら、トクトクと自慢するけれど、私は、今年で16回を数える『夜会』の1989年に開催された第1回目のコンサートを見ているのである。スゴイでしょ。
 コンサート会場は、渋谷・東急Bunkamuraの劇場「シアターコクーン」。『夜会』という名前も、会場の「シアターコクン」も、「20時開演」もすっごくお洒落に感じられて、それだけで行きたくなってしまった。
 20日連続で行われるコンサートだけれど、700席あまりの小ホールだから、チケットを取るのは至難の技という前評判だったので、東急関係者にコッソリ頼んでゲット。
 今でも、後生大事にチケットとプログラムを持っているけれど、MR23番。1Fの横1列の席である。周りは、「夜会」にふさわしく、ドレスアップした女性ばかり・・・ならともかく、隣にはいけすかない男付きである。こちとら、男一人でおまけにオジサン。顰蹙を買いながらも、気分はときめいて・・・ウン、みゆきムードにどっぷり!!!
 普通のコンサートと違って、みゆきがお芝居をしながら歌うという、これもお洒落なステージだったけれど、みゆきの演技力にびっくり!!! 
 どっぷり、びっくりの連続だったけれど、アンコールで、ギリシャの女神を思わすような衣装を着て『二隻の舟』を絶唱。これが圧巻!!!
 ところが、プログラムの表紙の裏に小さな封筒が付けられていて、この歌の歌詞カードが入っていた。その時は、
 「ン?」と思ったけれど、数年後『夜会』では,この歌を必ず歌うと聞いて
 「ウン」と納得したものである。この『夜会』の最後のフレーズは

わたしたちは二隻の舟
ひとつずつの そしてひとつの
わたしたちは二隻の舟

 中島みゆきは、二隻の舟を自分とファンをに見立てているのであろう。そう、
 「みゆきとそう八さん」と言うように・・・・
 エ?、何? とっても、まったく、ぜんぜん、これっぽちも似合わない、長老ファンが出てくる幕じゃあないって・・・。
 フーン、ザンネン。それじゃあ、二隻の舟は
 「そう八さんと誰かさん(特に名を秘す)」にしよう。
 ウン、これならいいでしょ。 

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