怒り狂って――

 ホント、もうびっくり!!!
 私は、聴きに行ったコンサートや見に行った映画、読んだ本など手帳に書きこむことにしている。それで、昨年どんな映画を見たのだろうと頁を捲っていたら、3月5日に映画「ボーン・スプレマシー」とある。
 ン? どんな映画だった? 覚えていない!!!
 それで、あせって、昨年見た洋画をチェックしてみると、次の通り全部で21本。ところが、まったく覚えていない映画がゴロゴロいっぱい。 
 「マイ・ボディガード」「ターミナル」「オーシャンズ12」「ボーン・スプレマシー」「ナショナル・トレジャー」「Ray/レイ」「ハイド・アンド・シーク」「ザ・インタープリンター」「ミリオンダラー・ベイビイ」「ビヨンドtheシー」「ホステージ」「スター・ウオーズ エピソード3」「アイランド」「シン・シテイ」「ステルス」「エンパイヤ・オブ・ウルフ」「Mr&Mrsスミス」「キング・コング」
 ね、これってみんなカタカナ語の洋画のタイトル。これに比べて、日本語のタイトルの映画で見たのは「オペラ座の怪人」と「五線譜のラブレター」それに「宇宙戦争」の3本だけ。
 そりゃ、まあ、私の記憶力の賞味期限は切れているけれど、せめて映画のタイトルが日本語で、例えば「愛と青春の旅たち」とか「氷の微笑」とか「羊たちの沈黙」とかつけられていれば、どういう映画だったか思い出すことができる。
 まあ「マイ・ボディーガード」や「ターミナル」など、日本語化したカタカナ語のタイトルがついた映画は、なんとか思い出すことが出来るけれど、「ボーン・スプレマシー」か「ナショナル・トレジャー」て何だ!!!
 それが何? フンだ! ここはアメリカの51番目の州ではないのだから、日本語を使え!!!
 かくして、私が映画のストーリイを覚えていないのはカタカナ語のせいである、ということが判明して、ホント、一安心したもののーーーン? 何? お前は「うっすらアホ化症候群」にかかっていたんじゃないのか、って。ーーとんでもない、それとこれとは別問題である。
 だって、我がニッポンのソーリ大臣もホリエモンの選挙応援問題で「それとこれとは別問題」と答えているでしょ。それと同じである。ホント、わが国のソーリ大臣は頭がいい。ウン、これからは「困った時は別問題」で片付けることにしよう。なんと素敵なフレーズ。
 ところで、我が家には「20世紀シネマ館」全60巻という映画の写真集がある。そこで、カタカナ語に怒り狂った私は、この写真集でカタカナ語の占める割合を調べてみることにした。すると、もうビックリ。
  1025年~1980年ーー紹介されている映画245本中カタカナ語は46本(カタカナ語率11%)
  1981年~1990年ーー紹介されている映画 50本中カタカナ語は27本(カタカナ語率54%)
  1991年~2000年ーー紹介されている映画 50本中カタカナ語は38本(カタカナ語率76%)
 昨年、私の見た映画だけで言えば、カタカナ語率86%。
 それに、映画評論家の双葉十三郎が約9000本の映画の中から選んだ20世紀の究極の映画100本というのを見ても、カタカナ語は100本の内、たった13本だけで、後の98本は、分かり易いニホン語のタイトル。
 その13本のカタカナ語のタイトルは「シェーン」とか「アマデウス」とか「モロッコ」というように、名前や固有名詞をタイトルにしているのが多いので、見ただだけで内容が分かる。
 この21世紀に入ってのカタカナ語タイトルの氾濫は、字幕翻訳者がルーズなのか、宣伝マンがヤル気ないのか知らないけれど、昔は、タイトルを見ただけで行きたくなるような映画がいっぱいあったのである。
 ちなみに、私の好きなタイトルベスト10は「理由なき反抗」「死刑台のエレベーター」「愛と喝采の日々」「明日に向かって撃て!」「悲しみよこんにちは」「俺たちに明日はない」「太陽はひとりぼっち」「誰が為に鐘は鳴る」「愛と青春の旅だち」「ティファニ-で朝食を」
 ね、すごくお洒落なタイトルでしょ。こんなタイトルだと、ウン10年前に見た映画でも、思い出すことが出来る。ああ、それなのにーーである。私は怒り狂っている。

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