得たものと、失ってしまったものと‥‥

 土星探査機カッシーニから切り離された小型観測機ホイヘンスが、土星の衛星タイタンに着陸した。地球からの距離12億8000万Km。と言ってもピンと来ないが、地球と月の距離の3400倍というから、途方もなくスゲー~~~~~距離であることに間違いない。
 お祭りの射的場の的でさえ当てたことのない私にとって、途方もなくスゲー~~~~~距離にある土星に探査機を着陸させるなんて、とても信じられない。
 どうも、NASAが秘密のUSOスタジオ‥‥USAスタジオの間違いではない。あくまでもUSOスタジオが正しい。‥‥に、タイタンっぽい模型を作り、それっぽい写真を発表しているのではないかと思って、うちのかみさんに言ったら、
「今は、内部告発花盛りの時代だから、そんのことしたら、すぐバレちゃうよ」
 ウーン、そうなると、どうも本当みたいである。
 それで、世間では「ヤッター!!! 地球人はなんと賢いんだろう。」と喜んでいるらしいが、SF大好き人間の私は、ガッカリである。 
 と、言うのは、1969年に地球人が月に降り立った時、きっとチチンプイプイ星人のタチションベンの跡が発見されるだろうと思っていたのである。もし、アポロ11号のアームストロング船長があと100mばかりあっちの方角に歩いていたら、
「これは一人の人間には小さな第一歩だが、人類にとって大きな飛躍だ」と宣誓する代わりに、
「これは一人の宇宙人には小さなタチションベンの跡だが、人類にとって大きな遺産だ」と迷台詞‥‥ン? 訂正、名台詞をはいたに違いないのでる。ホント、残念!!!
 それに、火星に1975年バイキング探査機が着陸したときも、私は初恋の人に再会するような胸のときめきを覚えたものである。
 私の名前がソー八であるから、ソー八の八にちなんで、火星人も八本足で一見タコの八チャン風でなければならぬ。その一見タコの八チャン風火星人が、花束‥‥エート 間違い、石束など持っていそいそと歓迎に現れるはずだったのである。
 それが、到着したのは、なんと無人の探索機。一見タコの八チャン風火星人はガッカリして
「誰も乗っていないなんてバッカみたい。地球人はなんと賢くないんだろう」と言ってスゴスゴ帰ったにちがいない。 
 そんな訳で、依然として探索機が映し出すのはミもフタもない景色ばかりで、憧れの宇宙人は一向に出てこない。探索機がたどり着くのはめでたいことであるが、その度に私の夢は失われていく。
 科学が発達すれば、今まで出来なかったことも可能になり、それにつれ人は豊かになってきたけれど、その代わり、何かが失われていくようである。
 それが、私のささやかな夢ぐらいであればいいのだけれど、自然や人の心も失われていくようで‥‥。

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