夏だ ビールだ ‐‐‐ なら良いのだけれど

 夏が来た!!! と喜ぶのは若い人達である。燃えるような夏を待ち焦がれていたあの頃はとうに過ぎ去り、夏になったばかりなのに、秋が恋しく思える年代になってしまった。
 それに 夏といえばビールで乾杯!!! ということになる訳だが、私はまるでアルコールに弱く、ビールはグラス半分が許容量。ビールなんて飲めばまるでせんじ薬。日本酒は腐った水を飲むようで匂いを嗅いだだけでムットするし、ウイスキイはピリピリ唐辛子入りの水。
 大体、ビールのTVコマーシャルを見ると
「コクがあってキレがある」なんて叫んでいるが、私にはどういう意味なのかまったく理解できない。「コクとはどういう味か。キレとはどういうことをいうのか」と酒飲み人に聞いても、はなはだ合理的な説明に欠ける。きっと、酒飲み人はコマーシャルに惑わされて、ムードで飲んでいるにちがいない。
 それでも、許容量内に飲むのであれば、こんな私でも素敵気分となるのである。周りにいる女性はすべて美人となって、私の心はピンク色に染まり、たちまち世の中バラ色に輝いてみえる。 
 しかし、許容量以上に飲むと頭の中で除夜でもないのに鐘がなり、フラれたのでもないのに胸がムカつき、食べたばかりなのに折角のご馳走を戻してしまう。ケチな私としては残念やるかたない。
 そりゃ、私としては酔っ払って、あることないこと口走り、女性にセクハラまがいのことをして、翌日
「エッツ、そんなことしたの? まったく覚えていない。ごめん、ごめん。ウヒヒヒ」と笑って誤魔化してみたいと思っているが、世の中とかくままならぬ。
 でも、あやまってすむ位ならご愛嬌である。ジョークにいわく

「君はいっさい酒を飲まないそうだが、体質的に無理なのかね」
「いいえ。初めて飲んだとき、生涯の大失敗をしてしまいまして。それ以来、外では禁酒してるんです」
「ふーん、どんなへまをやったんだね?」
「酔いが醒めたら、結婚してたんですよ」

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