好 感
「・・・わたしがあなたを堕落させていると思ってるんだわ」
「その可能性はある」ぼくは言った。
「ぼくには自分の意志というものがないからね。簡単に惑わされちまうんだ」
「わたし、人間のそういうところがすごく好き」シェリーは言った。
二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳
人を好きななることは本当にかなしい。かなしさのあまり、その他のいろいろなかなしいことまで知ってしまう。果てがない。
福武書房「うたたか/サンクチュアリ」吉本ばなな
ぼくはキャンディを見やった。〝あなたを心配しているんだから知らんぷりをしないでちょうだい〟目線で、あいかわらずぼくを穴の開くほど見つめている。
早川書房「図書館の親子」ジェフ・アポット/佐藤耕士訳
23歳の彼はハンサムで物静かで、婚約者もまた、彼同様にチャーミングな〝ここにいるだけで幸せよ〟的女性だ。
早川書房「ロンリー・ファイター」バーラン・コーベン/中津悠訳
予 感
これに加えて、過去の災厄のかすかな思い出と今後の災厄のもっと正確な予感でいっぱいだった。
早川書房「素晴らしき犯罪」クレイグ・ライス/小泉喜美子訳
(私を尾けていた男を捕まえて)
「それで、今までのところどんなことがわかった?」と私は尋ねた。
「あんたはひとりで夜を過ごし、大酒を飲むということだけだ」
なんだか自分の墓銘碑を聞かされたような気がした。
早川書房「神なき街の聖歌」トマス・アドコック/田口俊樹訳
(ハーチャーが殺されたが)
日頃からイエス・キリストとフリーダイヤルで直接つながっているかのように振る舞っているくせに、自分の運命が危ないことを、前もって察知できなかったのだろうか。
早川書房「図書館の死体」ジェフ・アポット/佐藤耕士訳
~当然、こうしたエデンの園のような完全無欠ぶりは、土地っ子を落ち着かなくさせている。良いことには、必ず隠れた犠牲があるのが世の常で・・・。
早川書房「スタンド・アローン」ローラ・リップマン/吉沢康子訳
続きを読む