じゃあね

街はイルミネーションに彩られクリスマスソングが流れて、いい加減年寄りの私でも、心弾み素敵気分になってしまう。
むかし昔、バブル時代には有名なホテルに予約して胸キュンのクリスマスプゼントをあげ、食事の後は無論アアしてコウしてウッフンフンと素敵な夜を過ごす・・・と、キリストさまはそっちのけの狂騒のクリスマスだったけれど、フルカラーで彩られた時は儚く散って、今やモノクロの時代になったようである。
と、言うのは、朝日新聞be betweenの頁に「クリスマスの行事をやっていますか?」というアンケートの結果が掲載されていて、行事を「やっている」と答えた人は51%、「いいえ」と答えた49%と、やっていない人が半数近くもいるのである。
やっていない人に「クリスマスイブに何をやっていますか?」と聞くと「テレビを見てゴロゴロ」が一番多く、次に「晩酌」「読書」「鍋物やごちそうを食べる」と、まあ、フツーの夜と一緒である。
私は、いい加減年寄りだから「紅白歌合戦は見なきゃならぬ」「クリスマスはやらなきゃならぬ」と、古き良き時代の伝統を頑固に守っているので、ツリーやリースは飾るしチキンやケーキは食べるし、このプログもクリスマスソングのCDを聴きながら書いている始末である。
クリスマスソングを聴いていると、洋楽はハッピイクリスマスと歌っているのが多いけれど、日本は山下達郎の名曲「Cristmas eve」をはじめ何故か別れのクリスマスを歌っているのが多いような気がする。
歌人 諸星詩織が
「ジングルベル街にサンタがやってきた 終わりかけてる恋が哀しい」
と、詠んだように、楽しくあるべきのクリスマスに別れるのは、よけいに切なさが強調されるからであろう。
そして、今年もあとわずかでTHE END。終りを告げた恋やくやしかったことなど、今年もいろいろあったことだと思うけれど、詩人 谷川俊太郎は振り返らなくてもいいんだよと「じあゃね」という詩を書きました。
   

じゃあね    谷川俊太郎

思い出しておくれ
あの日のこと
楽しかったあの日のこと
けれどそれももう過ぎ去って
じゃあね

ひとりぼっちはこわいけど
きみにはきみの明日がある
どこか見知らぬ宇宙のかなたで
また会うこともあるかもしれない
じゃあね
もうふり返らなくていいんだよ
さよならよりもさりげなく
じゃあね じゃあね・・・

忘れちゃっておくれ
あの日のこと
くやしかったあの日のこと
けれどそれももう過ぎ去って
じゃあね
年をとるのはこわいけど
ぼくには僕の日々がある。

いつか夜明けの夢のはざまで
また会うこともあるかもしれない
じゃあね
もうふり返らなくてもいいんだよ
さよならよりもきっぱりと
じゃあね じゃあね・・・

そう、今年の「夢旅人」も、今日で終わりです。今年、辛抱強く読んでくれた方に感謝して、
「来年もいい年でありまっすように」それとも
「来年こそはいい年でありますように」願って、
来年もよろしくお願い致します。 
「じゃあね・・・。」

※ 諸星詩織ーー本名 糸満久美子。1945年生まれ、沖縄出身。掲載した詩は、詩集「雨あがりの窓」より。他に詩集「憑かれた口笛」「愛ぽぽろん」など多数。

居ながらにして異国風

私、東京で14年間,華の独身生活・・・ン? 訂正、単身生活をしていた時は「目黒ハイキングクラブ」という40数年の歴史をもつ山岳会に所属していたけれど、60歳でリタイヤして、我が街北九州市に帰ってきた時、どこかの山岳会に入ろうとしたら、女房が
「あなたは、もう年寄り。歩こう会相当の年齢よ。いい加減に目を覚まし、山岳会なんてあきらめなさい」と、きっぱり言う。
私は、ミステリイ作家パーネル・ホールが、小説「依頼人がほしい」の中で

人生にはついついわすれがちなことがある。いかに明々白々であり、いかに単純素朴であり、くりかえしくりかえし、わすれてはならじと自分にいましめても、わたしがついうっかりするのは、なにがあってもけっして妻を相手に議論をしようとするな、ということだ。

と、いう文章を心に刻んでいるので「ハイ、ハイ」と答えてしまった。
(ここだけのは話だけれど、私的には「ハイ」はよく承知したうえでの「ハイ」。「ハイ、ハイ」は仕方なくOKしたという「ハイ、ハイ」である。最近はなんと「ハイ、ハイ」が多いこと。お察しのこと・・)
と、いう訳で、帰郷してから就職した職場の「歩こう会」に入会。自称ショボショボ歩いていたけれど、66歳で退職した後、再就職した職場では「歩こう会」がなかったので、55年の歴史を誇る「小倉歩こう会」に入会することにしたのである。
2006年に入会し、10年の経歴を誇るのはいいけれど、初年度21回の例会に対し参加したのは5回、以来10年間の平均参加回数は4回という落ちこぼれとなっている。
「フーン、そう八さんってサボリマンなのだ」って・・・。
とんでもない、これって、私の名誉のために言ってっておくけれど、仕事&アレコレの都合で参加出来なかっただけで、決してサボリマンではない。
まあ、正直言えば、クラブのきまりでは雨でも傘をさして歩くことになっているけれど・・・ウーン、私、雨嫌人間。という訳で詳細は以下略。
クラブでは、毎年1回バスハイクに行くようになっていて、私はまだ1回しか参加したことがなかったけれど、今年は運が良いことには、その日のスケジュールは真っ白。
「歩こう会」では、平均10キロは歩いているけれど、「バスハイク」はバスがせっせと数10キロハイクして、メンバーは散策するだけである。なんと幸せ溢れ労力なしのラッキーな例会である。
今年のバスハイクは福岡県朝倉市の「秋月城址」。ここは、鎌倉時代から江戸時代にかけて栄えた城下町で小京都と言われ、桜や紅葉の名所とされている所である。
城跡はないけれど、13世紀初めに築かれ、秋月氏16代とその後の藩主黒田長政12代の歴史を眺めた秋月城の黒門が残されている。
華やかに紅葉に染めらた城址を歩くと、ビックリしたことには、ここは九州の片田舎と思っていたところが、なんと外国人がいっぱい。顔を見ただけでは、一見ニッポン人風らしいけれど、声高に外国語が飛び交って、日本に居ながら、雰囲気は異国風。我々は、眼で愛でながら歩いてけれど、周りの外国人は口で愛でながら歩いている。
古城の雰囲気ではないと思うけれど、我々ニッポン人も外国の観光地に行くと、ツアーの旗を高々と立てて、ゾロゾロと歩きながら
「すっごい!!!」とか「きれい!!!」とか興奮して叫んでいるはずだから、これも仕方あるまい。
紅葉の散る下で、シートを広げ、仲間とお酒を飲みながらや弁当をおいしく飲んで食べておしゃべりをする。どうも弁当を食べているのはニッポン人だけで、外国人は金持ちらしく、きっと料亭かレストランで食べているのだろう。しばし、雰囲気はニッポン風。
城址につながる紅葉に囲まれた道の両側には出店が並んでいて、おばちゃんが「取れたての柿だよ。一袋200円」と話しかけてきたので買ったところ、なんと大きな柿が8個も入っている。帰って食べたらおいしい。「高いけどおいしい」のは当たり前だけれど「安いけどおいしい」ってのは、私の趣味にぴったり。秋月城址、大好き。
帰る途中、有名な酒造所によって、タダの酒&焼酎&甘酒を飲み、養蜂場によってタダの蜂蜜をなめ、無事帰り着きました。
今年の紅葉は、どこも見事だったみたいだけれど、「秋月城址」が一番。
エ、何? 「よその紅葉を見ないで、よくそんなこと言えるわね」って。
ウン、「うちの孫が一番かわいい」って言うでしょ。これと同じなんです。ハイ。

ほれぼれ&ニコニコ

我が街が誇る北九州市立文学館が、平成18年11月1日に開館して今年で目出度く10周年。これを記念していろいろなイベントが開催された。
と、いうことで、文学とはあまり関係ない私だけれど、今川英子館長のファンである私は「文学館友の会」に入会しているので、案内の書類がいろいろ送られてくる。
目玉は特別企画展として「没後20年 司馬遼太郎展」。それと同時に10周年を記念して五木寛之さんの講演会などいろいろなイベントが開催されたけれど、私が参加したのは「バースデーコンサート」と「リリー・フランキー氏と山崎ナオコーラ氏の対談」
開館日に合わせて11月1日に文学館交流ホールで行われた「バースデーコンサート」は、プログラムにヴァイオリンが加来洋子さん、チェロが関原弘二さん、ピアノが宮崎由紀子さん・・・と、書いてあるのを見てビックリ!!!
と、いうのは、宮崎由紀子さんは、先月私が出演した北九州ソレイホールでの「グランソレイユ コーラスフェステバル」演奏会で、合唱の伴奏をしたピアニスト。練習の時には、とってもすっごくたくさんお世話になった方である。
出演した3人とも、我が街北九州で活躍する音楽家だけれど、関原さんはイケメンだし加来さんは美人だし宮崎さんはとっても可愛くてチャーミング。3人がステージに上がっただけでほれぼれうっとり。
エ、何? 「演奏を聴いてほれぼれするなら分かるけれど、それっておかど違い」だって・・・。
ウーン、でもステージの素敵3人を見ながら素敵な音楽を聴く。これって、見てほれぼれ&聴いてほれぼれ、ほれぼれの二重奏。ウン、素敵がいっぱい。
それに驚いたのは、文学館の演奏会ということで、作家や作品にちなむ楽曲を選曲したということである。演奏の前に、楽曲と作品とのかかわりについての説明があり、
「ウン、なるほど・・・」と納得。だけど、選曲を文学館がしたのではなく、文学とはかかわりがないと思っていた3人でしたと聞いて、ビックリ。音楽家だけれど、文学にも詳しいなんて、ホント、しつこいようだけど、見てほれぼれ&聴いてほれぼれ&知ってほれぼれ。ほれぼれの三重奏。
演奏されたのは、村上春樹の同名の作品からビートルズの「ノルウェイの森」など11曲。それと我が街にゆかりのある作家3名を取り上げて、林芙美子の作品からヴェルディの「乾杯の歌」とオードウェイの「旅愁」を、平野敬一郎の作品からショパンの「子犬のワルツ」を、森鴎外の作品からワーグナーの「婚礼の合唱」が演奏されて拍手喝采。楽しく文学館のバースデイを祝いました。
終わって、宮崎由紀子さんと握手を交わし、再会を期してサヨナラしました。シ・ア・ワ・セ。

NHKBSTBで月曜日に放映されている音楽番組「Covers」の司会をしているのがリリー・フランキー。勿論、ゲストがカバーする楽曲も楽しみだけれど、彼の音楽に対するウンチクもゲストとの軽妙な会話のやりとりも面白くて、私、すっかり彼のファンになっているのである。
それで、芸術劇場で開催された両氏とも北九州市出身の「リリー・フランキー氏と山崎ナオコーラ氏の対談」を聴きに行ったのだけれど、普通、純文学作家の対談と言えば、高尚な文学論が取り交わされるので、額に皺を寄せて聞かねばならぬと思って行ったら、これが、なんと型破りの対談となったのである。
リリー・フランキーは文学者だけれど自然人で博識人でしょ。だから、話はあっちに飛びこっちに飛んで文学そっちのけ。司会役の今川英子館長が、話題を文学に戻そうとする様子がいじらしく微笑ましくって、私ニコニコ。
対談相手の山崎ナオコーラさんは名前の由来が「本名 山崎直子。コーラが好きだから山崎ナオコーラ」と言うだけに、アッケラカンとして二人のやり取りを聞いていて、今川英子館長に
「私に話を振らなくってもいいですよ」とニコニコしている。
そして、彼女は芥川賞の候補に7回もなっているんだけれど、8回候補になって取れなかったら、芥川賞を取れなかった作家の新記録を立てることになるから、
「芥川賞、取れなくってもいいんですよ。だけど、私、すっごく貧乏なんです」と、これもニコニコして話す。
なんと素敵な性格。私、すっかり彼女のファンになってしまっった。
今川英子館長さんは、気をつかって大変だったでしょうけれど、彼女とリリー・フランキーは、とっても仲が良いんだと感じられ、ニコニコ溢れる対談となっていました。

※ 加来洋子
東京音楽大学卒業。2000年ウイーン春期セミナー、2003年イギリス湖水地方夏季講習会などに参加。ヴァイオリンを篠崎永育、篠崎功子、の両氏に師事。北九州新人演奏会、北九州芸術祭等に出演。現在、室内楽を中心に演奏活動を行う。響ホール室内合奏団首席奏者。
 
関原弘二
東京音楽大学卒業。堀了介、金木博幸の各氏に師事。1992年より上海市、北京市、南京市、青島市、韓国などアジアでも演奏活動をおこなう。1998年佐世保市、2005年アクロス福岡、2010年長崎にてチェロ協奏曲を演奏。演奏の他に音楽プロデュースを多数手がける。シティオペラ・バレエ管弦楽団オーガナイザー。響ホール室内合奏団首席チェロ奏者および楽員長。福岡教育大学非常勤講師。

宮崎由紀子
福岡教育大学・同大学院音楽科修了。’93、’95、’97、’05年響ホールにて、2010年西南学院大学チャペルにて、ピアノリサイタル開催。ウィーン、京都、ニース夏季国際音楽アカデミー等で研鑽を積む。2007年九州交響楽団と共演等、ソロ・伴奏の両面で活躍中。西南学院大学、大分県立芸術文化短期大学音楽科、九州大学芸術工学部非常勤講師。北九州音楽協会常任理事。北九州シティオペラコレペティトゥーア。

リリー・フランキー
本名、中川 雅也。北九州市小倉生まれ。武蔵野美術大学卒業。日本のマルチタレントで、イラストレーター、ライター、エッセイスト、小説家、絵本作家、アートディレクター、デザイナー、ミュージシャン、作詞家、作曲家、構成作家、演出家、ラジオナビゲーター、フォトグラファー、俳優など、非常に多種多才な顔を持つ。作詞や作曲をする際は、“Elvis Woodstock(エルヴィス・ウッドストック)”というペンネームで活動している。ロックバンド「TOKYO MOOD PUNKS」のボーカル。

山崎ナオコーラ
本名、山崎 直子。北九州市生まれ。國學院大學文学部日本文学科卒業後、2004年に会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞して、作家となる。國學院大学兼任講師として日本近現代文学を講じている。
「人のセックスを笑うな」・「カツラ美容室別室」・「手」・「ニキの屈辱」・「美しい距離」・「人のセックスを笑うな」・「カツラ美容室別室」で、それぞれ芥川賞候補となる。

感性ぼろぼろ

私、今年今までに見た映画は19本。洋画専科なので邦画はあまり見ないことになっているけれど、今年はなんと7本も見ている。我ながらビックリ!!!
私が見た洋画は、ほとんど我がヒーローがピストルを撃って撃って撃ちまくり、敵はバッタバッタと倒れるけれど、何故か我がヒーローには弾が当たらないという「スカット爽やかドンパチ映画」である。
したがって、ドンパチシーン重点主義だから、ストーリはああしてこうしてああなってと、手を変え品を変えご都合主義で展開するけれど、まあ、最後はめでたし目出度しのワンパターン。
だから「アレッ、どんなストーリだっけ」と、1週間もすると「スカット忘れるドンパチ映画」でもある。
それに、かてて加えて映画のタイトルは「ダークプレイス」とか「オデッセイ」とかカタカナ語でしょ。私、生粋の日本人なので、カタカナ語で書かれたら、どんな内容の映画なのか想像もつかない・・・てなことをトクトクと言うと、うちのかみさんは「タイトルのせいではない。それはボケの始まり」という。ホント、失礼な話である。
せめて、洋画のタイトルをニホン語で書いてもらえば
「それはボケの始まり」なんて言われなくってすむハズである。ホント、翻訳者のみなさん、手抜きしないでくださいね。
それに比べると、邦画のタイトルは一目瞭然。今年見た邦画は「エヴェレスト~神々の山嶺」「家族はつらいよ」「中島みゆき 夜会VOL18」「MOZU」「私たちのハアハア」「シン・ゴジラ」「君の名は」の7本。エーット「シン・ゴジラ」は2回見に行ったから、回数は8回。
ネ、これって映画を見てなくても、タイトルだけでそんな映画か分かるでしょ。・・・ウーン、でも「私たちのハアハア」は無理かな? これは高校生4人がライヴを見に行くために、自転車で我が街北九州市から東京まで行こうという青春映画。だから、ハアハア言いながら行くって訳。
洋画は、ドンパチであれば見境もなく見に行くけれど、邦画はマジ目的意識を持って見に行く。エライでしょ。
「エヴェレスト~神々の山嶺」はモチ憧れの山だし、「家族はつらいよ」は山田洋次監督の身に染む熟年離婚のコメデイだし、「中島みゆき」と「シン・ゴジラ」は、ファンなら見に行くのは常識だし「MOZU」と「私たちのハアハア」は我が街北九州市がロケの舞台だったし、「君の名は」は・・・エーット、これって、65年前頃超有名になったメロドラマと同じタイトルの映画だったでしょ。だからそれのリメイクと思っていたし、アニメはジブリとエヴァンゲリオン以外は見ないことにしていたので、当初は関心ゼロ。
ところが、観客数がゴジラを超えたという失礼なニュースが流れるし、TVニュースで観客の方々が「感動した」とか「涙が溢れて」とか「もう一度見に行きます」とか話しているシーンが写しだされるでしょ。2度見に行きたいという心情はゴジラで体験したので
「ウーン、そうか。そんなに凄い映画なんだ」と、世間の話題に付いていくためにも見に行った次第である。
ところが、である。画面が綺麗でカットも素敵でこれは文句なしだったけれど、「感動した」とか「涙が溢れて」とかいうシーンは、なかなか訪れずあれよあれよという間にENDマーク。
まあ、最後の「君の名は」と二人が互いに呼び合うシーンは胸キュンしたし、SF大好き人間としては、SF仕立てのストーリイは気に入ったけれど、やっぱゴジラの方が最高・・・「君の名は」ファンの方ごめんなさいね。
しかし、よく考えたら、私、いい加減年寄りでしょ。私の感性はボロボロに錆びついていることに気付かされてしまった。
ウーン、そんなことこだったら、見に行かなきゃよかったと思ったけれど、これって仕方ないことなの?

グランソレイユ合唱団に乾杯

わが街北九州市は「合唱の街・北九州」として、全国的に知れわたって・・・いないけれど、とにもかくにも、まあ、そういうことになっている。
この「合唱の街・北九州」のキャッチコピーが出来たのは今年。だから、知れわたっていないのは当然だけれど、合唱を通じてさらに元気な人づくり・街づくりを進め、合唱のすそ野を広げて合唱のレベルを上げようという趣旨である。
と、いう訳で北九州市が主体となって「グランソレイユ合唱団」が結成され、2000席の規模を持つ「北九州ソレイユホール」で演奏会を開催するということになったのである。
わが街には、もともと、コーラスグループは数知れず、合唱団も乱立気味みたいだから、新たに合唱団を立ち上げてもメンバーが集まるの?と思っていたけれど、「グランソレイユ合唱団」のメンバーは、なんと65歳以上の人と小学生の子供たちを対象にするという。
おじいちゃん、おばあちゃんが孫と一緒に歌いましょうという仕組みである。
よく考えてみると、わが街には児童合唱団に中学校の合唱団、あとは大人の合唱団と年代別に組織され、大人と子供が心を一つにして歌う合唱団はないのである。
なんとうまいこと考えたなと感心した。ジジ・ババの劣化気味の声をカバーして子どもたちが歌えば効果抜群と、その点からいってもいうことなしである。
それに、カータイ合唱団ではなくユールイ合唱団ということだし、楽しく歌いましょうということなので、後期高齢者を除くとは書かれていなかったから、いい加減年寄りの私でも「マ、いいか」と勝手に判断、参加することにしたのである。
シニア&子ども合唱団の仕組みを考えたのは、きっと賢明な北九州ソレイユホールの橘照子館長さんの発想だと思うけれど、それより素敵なのは橘館長さんが引っ張ってきた合唱指揮・指導者。
藤原歌劇団の日本を代表的するテノール歌手村上敏明さん。10回にわたる練習の都度、東京から来てもらうという贅沢な仕組みになっていて、練習の時には、村上敏明さんがオペラのアリアを歌ってくれるというおまけ付である。
ステージに立つ私たちに向かって、客席を背にソレイユホールいっぱいに響き渡る歌声を聴くという贅沢なひと時を過ごすことが出来ました。
演奏会に先立ち10月9日に、北九州市小倉区の大型商業施設「リバーウオーク」のミステックコートで「まちかどコーラスinリバーウオーク」が開催され、市内の20の合唱団が参加。
「グランソレイユ合唱団」も出演して「フニクラ・フニクラ」と「オーソレミオ」の2曲を村上敏明さんと一緒に歌い、村上敏明さんはソロで「グラナダ」と「マイ・ウエイ」を歌って大喝采。すごいでしょ。でも、これって村上敏明さんのおかげ・・・。ウーン、村上敏明さんがいなかったら小喝采だったかもしれぬ。
と、いうことで、演奏会本番は10月22日。「イタリアのカンツォーネ」「日本の歌」「オペラの名曲」など、市民が主役「合唱の街・北九州」を全国に発信するコンサートです。ジジ・ババだけでなく、とっても可愛い子ども付の合唱と素敵な村上敏明さんの独唱をお楽しみください。

グランソレイユ コーラスフェスティバル

日 時  10月22日17時
場 所  北九州ソレイユホール
出 演  
・輝かしい受賞歴を誇る小学生合唱団
 北九州市立日明小学校合唱団
・男性合唱の持つやさしさと力強さを
 男性合唱団 Yahata Men’s Chorus
・私たちはいつまでも歌い続けます
 北九州市少年少女合唱団OB会
・村上敏明さんとともに皆で歌おう
 村上敏明とグランソレイユ合唱団
入場料  1000円

 
※ 村上敏明ーー国立音楽大学卒。藤原歌劇団。東京芸術大学非常勤講師。2001年より2007年までイタリヤ・ポローニヤに留学。イタリヤオペラを中心に45役を超えるレパートリーを有し、「NHKニューイヤーオペラコンサート」にも数多く出演している。