大変!!! その4

前回のこのプログで「てんやわんや」と書いたけれど、それって序の口。この世の溢れている「大変」から言えば、取るに足らないほどのちっぽけな「大変」。

今や、めったやたらに「大変」が出現し、中国を脱出した得体のしれないウイルスが地球上でバッタバッタと跋扈。わがニッポン国でも学校はズズズイズーンとお休みで暇があふれ、わが街の公共施設はスッカラカンと人はまばらで寂しさ漂い、株はドドドーンと下がってウン千億円がドロンと消え、売り上げは景気を道連れにしてズルズルズルーと落ちてため息が蔓延し、経済界もわがニッポン国のソーリもジタバタ&ドタバタ!!!

かくして、わがニッポン国は悲鳴がいっぱい・・・。この深刻な「大変」状況からみると、我がプログの「大変!」は、ちっぽけなどうでもいいような「大変」。これを読んで「大変疲れ」を癒してください。

逃 避

人間だれしも一生に一度、穴を掘ってもぐりこみ、中から穴をふさぎたくなる時がある。

角川書店「俺には向かない職業」ロス・H・スペンサー/上田公子訳

つまるところ、ひとりになって箱入りのフライドチキンと三文小説をかかえて、現実をシャットアウトしたいだけなんだ。

早川書房「逃げるアヒル」ポーラ・ゴズリング/山本俊子訳

上着を着てマジノラインをこえ、ミス・エイムズを彼女の巣に、そして、そのすさまじいお茶とともに残して、彼は部屋を出た。

新潮社「別れを告げに来た男」フリー・マントル/中村能三訳

シャワーを浴びて夜を洗い流し、ベッドにもぐりこんだ。

早川書房「殺人ウエディングベル」ウイリアム・L・デアンドリア/真崎義弘訳

 

失 敗 

(それをやるには)

「ダイエットに失敗するみたいに簡単だぜ」

早川書房「最高の悪運」ドナルド・E・ウェストレイク/木村仁良訳

「準備をしくじるってことは、しくじる準備をしているってことだ」

東京創元社「ストリート・キッズ」ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳

・・・結局、ぼくのしたことは骨折り損のくたびれもうけだった。世の中、えてしてこういうものだ。必要なとき、必要なものは決して手もとにはない。なんとしても手放すまいと思っていると、昨年のクリスマス以降手に入れたものがすべて他人の敷物上のこぼれ落ちてしまうのだ。

二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

月並みなことでも、それが過ちであれば月並みにはならない。

早川書房「ブリリアント・アイ」ローレン・D・エスルマン/村田勝彦訳

アリーは始め、死に物狂いで完璧を求めようとしたが、その努力が無駄に終わると、無関心を決め込むようになり、最後には、わざとへまをやるようになった。完璧な成功は成し遂げられなくても、完璧な失敗なら成し遂げられる。理想的な王女になれなくても、完璧な悪女になられる。

東京創元社「ストリート・キッズ」ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳

苦 手

わたしは大のコンピュター・オンチで、扱い方などどうせわからないのだ。彼らに対して含むところはなく、ただ向こうが嫌っているだけなので、わたしは〈羽ペンとインクを普及する会〉の設立メンバーになった。それも大きな団体ではないが。

早川書房「天使の火遊び」マイク・リプリー/鈴木啓子訳

昔、付き合ていた恋人から電話をもらいたくないものだ。親指2本でオイル交換をやろうとするようなもので、厄介なことこの上もない。

早川書房「図書館の美女」ジェフ・アポット/佐藤耕士訳

エマ・ウォルッシュは賢かった。わたしはそれが良く分かった。わたしよりずっと頭が切れた。頭が切れるボスというやつは始末が悪い。わたしは落ち着かない気持ちになった。

東京創元社「裁きの街」キース・ピーターソン/芹沢恵訳

この娘と議論しても利益はない。ノイローゼに悩むガールフレンドに拳銃の撃ち方を教えてくれと頼まれた時と同様に、勝てる見込みはない。

早川書房「眠れる犬」ディック・ロクティ/石田善彦訳

(電話をかけたところ)

私が何か言う前に相手はすぐにテープに切り替えてしまった。機械、の、声、が、数字、を、ひとつ、ひとつ、しゃべる、あれ、だ。どうしてあんなことをするのか、彼らに説教のひとつでもしたいところだが、私もそれほど暇人ではない。

二見書房「処刑宣言」ローレンス・ブロック/田口俊樹訳

(グレッチェンは義母だが)

ぼくとしては、グレッチェンを雇うくらいなら、犯罪学の棚の新刊注文は切り裂きジャックに頼み、戦記物はチンギス・ハーンに任せ、精神病理学はスターリンにでも扱ってもらうほうがまだましだったけど、ボブ・ドンは僕に「雇ってくれ」と懇願したのだ。

早川書房「図書館の親子」ジェフ・アポット/佐藤耕士訳

過 剰

ジャズはスローなブルースだった。・・・ダンスフロアーで彼女がやったことは、50年前なら強姦罪とよばれたろう。こっちもまんざらではないが、こうさとるだけの分別はあった。この女はなにかを狙っている。それがなんであるしろ、えらくご執心だ。照れがない。準備運動のつもりか、わたしの首すじをチューチュー吸いはじめた。

早川書房「ハリーを探せ」リチャード・ホイト/浅倉久志訳

(フランがドライブをしながらいろいろな店で買い物をしたけれど)

私は一度も車からおりなかった。それでもなんだか、“ぶっ倒れるまで買いまくれ”というアメリカの国民的スポーツに参加しているような気がした。

早川書房「いまだ生者のなかで」ザカリー・クライン/黒原敏行訳

「つまり大胆すぎる。自身がありすぎる。いつも、ギャを一段上に入れすぎる。バランス感覚が欠如している」

文芸春秋「推定無罪」ストット・トゥロー/上田公子訳

当 惑

メイザおばあちゃんは新聞の死亡広告欄を、娯楽欄を読むみたいに熟読する。よその地域共同体には、カントリークラブとか友愛組合があるようだが、バーグには葬儀会館がある。人々が死ぬのをやめたら、バーグ社交生活はストップするだろう。

扶桑社「あたししかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ/細美瑶子訳

(二日酔いでまったく記憶がないのに、なぜかギャングに追われ)

・・・いったいなにをしたのかさっぱりわからない。もちろん、だからといって、なにもしていないという証拠にはならない。“さっぱりわからない”というのが、本日の顕著な傾向だ。

二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

タイニーが戸惑いの海で溺れているのを見た。

早川書房「天から降ってきた泥棒」ドナルドE・ウエストレイク/木村仁良訳

・・・に電話をかけると、本人はいなかったが正体不明の生き物がいたので、その日の午後オフイスにきてもらいたいというメセージを残した。

早川書房「チコの探偵物語」ウォーレン・マーフィー/田村義信訳

(男は私を商品としてしか見ていないというモナに対し)

私は自分の手を見つめながら考えた。世界のどこへモナを連れていけば、毛皮を着て買い物包みを抱え、雪の中を歩く女の子に戻してやれるか。さらにそんな私の思いをどう伝えれば、むなしく聞こえずにすむか。

早川書房「神なき街の聖歌」トマス・アドコック/田口俊樹訳

多 忙

朝の病院のざわめきは最高潮に達していた。・・・他のある商売でもそうだが、仰向けになっているのは、病院でも実はとても多忙な行為だった。

早川書房「虹の彼方に」ナンシー・ピカート/宇佐川晶子訳

大変!!! その3

プロ野球の日本シリーズでパの2位のチームが、日本一になるなんて・・・。そんなおかしな話ってある?

私、憤慨しています。なんたって私、生粋のジャイアンツファンですから。

野球以外のスポーツでは、戦い抜いて競り勝った二者が争ってチャンピオンを決めるというのが、世間一般の常識でしょ。もし、パの1位の西武とジャイアンツの試合だったら、ジィアンツが勝ったに違いありません。

それなのに・・・。今年の秋は、さびしい秋です。

私的には、日本シリーズの結果は、大変な出来事だけれど、我がニッポン国も、二つの台風に想定外の大雨、それに沖縄の首里城の大火事など、とてもすっごく大変な出来事が頻発して、こころ痛めることばかりです。

と、云うことで、今日の夢旅人は、「ハードボイルドに恋をして」の「大変!!!」の第三弾です。

疑 問

女が逃げだしたとき、男はどうすればいいのか、私は知らなかった。一人にしておいてほしいのか、あるいは、追いかけてほしいのかわからなかった。両方とも、試してみたことがあったが、両方ともうまくいかなかった。

早川書房「酔いどれの誇り」ジェイムス・クラムリー/小鷹信光訳

・・・彼は先週わたしがどこにいたかを聞き出そうとした。わたしは、〝別にこれといって、どこにも〟という意味の表現法を無数にあみだした。

早川書房「虹の彼方に」ナンシー・ピカード/宇佐川昌子訳

「なるほど。ところでなんの用?」ミンディが肩をすくめる。私がうなずく。彼女がうなずく。私が肩をすくめる。この調子だと、店を出るころには二人とも首のスジを違えていることだろう。

講談社「リスクが多すぎる」ボブ・パーガー/笹野洋子訳

一人の記者が質問した。テレビの世界では、こういうのを強硬懐疑派というのだろう。

早川書房「チャーム・シティ」ローラ・リップマン/岩瀬孝雄訳

ジェーンから聞いた話はぷんぷん臭うことこの上ない。ひきたてのコーヒーよりもまだにおうくらいだ。ジェーンは電話のすぐそばにごみトラックを駐め、荷台一杯分のごみをぼくの耳の中にぶちまけてくれた。

二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

「すばらしい。疲れ果てた者にも眠りはないってわけだ」

「大家さん、あんたまだ、疲れるほど生きちゃいないだろうに」

早川書房「いまだ生者のなかに」ザカリー・クライン/黒原敏行訳

苦 労

(船の位置測定器ロランを設置しようとしたが)

これは決して楽な仕事ではない。取付作業はほとんど一日かかった。ぼくは優秀なテクノ馬鹿によって描かれた指示書に大いに悩まされた。

早川書房「破産寸前の男」ピーター・バーセルミ/斎藤数衛訳

(猛烈な二日酔いで目を覚ますと、隣に見知らぬ娘が寝ていたので)

・・・ぼくはそっとベッドから抜けだした。あともうちょっとで椅子というところまで来て、床の上でひと休みした。旅人には休息というものが必要なのだ。・・・なんとかトイレまで行けそうだと判断した。4フイート全力疾走のタイムが2分フラットとは、二日酔いとはいえ、褒められた記録ではない。

二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

嫌みな変わり者で、超過勤務手当が目当てで週末はかならず残業している。それというのも、この世でもっとも中毒性の高い高価な趣味、つまり女に夢中だからだ。

早川書房「バラは密かに香る」デイヴィッド・M・ピアス/佐藤耕士訳

ベータはまだ40代前半だが、隣近所の罪や苦悩を一身に背負いこんでいるため、実際より老けて見える。

早川書房「図書館の死体」ジェフ・アポット/佐藤耕士訳

 

 

 

大変!!! その2

世の中、大変の連続!!! 地球に棲息するヒト科の生物が、この星を得手勝手に徹頭徹尾に無法図に勝手放題に酷使した結果、温暖化が進んで近い将来、この惑星の気温は35度以上が夏日、40度以上が真夏日、45度以上が猛暑日になるに違いありません。ヒト科の生物って、エラそうな顔をしているけれど、きっとアホまる出しの生物なんでしょうね・・・と、はるか宇宙の彼方のチチンプイプイ星人が嘆いているそうです。

ホント、アツクッテあつくって暑くって熱くって・・・・もう、ダメ!!!

と、いう訳で、今回の「ハードボイルドに恋をして」は、「大変!!!」の第2弾です。

落 胆

 きかん坊がだたっ子になり、不良少女になり、今は、人間のくずへの坂道を転げ落ちている。10歳で人生に飽き、13で人生に疲れ、娘盛りを迎えた16で、人生に希望を失った。親が溺愛すれば子が背を向け、親が見放せば子がすがりつく、という典型的な例だ。

東京創元社「ストリート・キッズ」ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳

「ちょっと、お待ち下さい」電話線が冷えていくのを感じながら、わたしはただあてもなく待たされる〝おあずけ〟の領域に入っていた。

早川書房「身代金ゲーム」ハワード・エンゲル/中村保男訳

脳みそがソックスの中に落ち込んでしまいそうな下向きの圧力・・・・未来のミの字も見えないときに、どっと襲いかかってきて、体をくたくたにしてしまう疲労。カービーは、パットしたたぐいの37歳。

早川書房「俺には向かない職業」ロス・H・スペンサー/上田公子訳

雨に濡れ、ののしられ、まるでオレンジの皮と卵のカラを通じて世界を見ているような心地になってしまうのだが・・・。

早川書房「身代金ゲーム」ハワード・エンゲル/中村保男訳

「ノックしたけれど、きみの心は惑星地球から、遠く離れていた」

早川書房「ダウンタウン・シスター」サラ・バレッキー/山本やよい訳

受話器から聞こえてきたのは、アホな留守番電話のアホな自分の声だけだった。アホな留守番電話でアホな自分の声を聞くために、おれはアホなミズリー・シィティにきたわけじゃない。

早川書房「チコの探偵物語」ウォーレン・マーフィー/岡村義進訳

(エレベーターに乗ったとき)

8年以内に合衆国大統領になりそうな女といっしょだった。ウールのスカートにウールのジャケット、おまけにウールのタイを締めていた。彼女が「メー」と鳴くのが聞けそうだったが、26階で降りてしまった。廊下を歩み去るのをながめていると、ドアが閉まった。彼女は両膝をくっつけすぎるぐらいにして歩いていた。タイトスカートは数多くのアメリカ女性のまともな歩行を駄目にした。言語に絶する被害だ。

早川書房「秋のスローダンス」フィリップ・リー・ウィリアムズ/坂本憲一訳

「彼はいっちゃったわ。わたしのハートを破って」

「ばかばかしい。ハートは筋肉でできているんだよ」

早川書房「汚れた守護天使」リザ・コディ/堀内静子訳

(父がいとこのヴィニーのところで仕事をしたらと云うので)

「給料はいいかしら?」あたしは聞いた。父は肩をすくめた。「雀の涙ぐらいだろうな」すばらしい。すでに失意のどん底に落ちている人間には完璧なとりあわせだ。腐れた雇主、腐れた仕事、腐れた給料。自分を哀れむ種はつきない。

扶桑社「私が愛したリボルバー」ジャネット・イヴァノヴィッチ/細美遥子訳

 なんといっても眠りからさめるときが最悪だった。・・・湿ったシーツが体の下でよじれ、ベッドが、部屋が、そして人生がからっぽであることを思い知らされる。けさも彼女はいなかった。

扶桑社「フレッチャー絶体絶命」サイモン・ショー/富永和子訳

そしてスケジュ-ル帖を確認した。火曜日の〝お守り役〟の仕事以外は、・・・警備システムの毎月の定期点検があるだけで、あとはジャイアンツの得点表なみに真っ白だった。

早川書房「バラは密かに香る」デイヴィッド・M・ピアス/佐藤耕士訳

ゴールディは答えなかった。ベッドの後ろにもたれ、天井をじっと見つめた。絶望を絵にしたような格好だ。

早川書房「汚れた守護天使」リザ・コディ/堀内静子訳

 心 配

とうとう、役にも立たぬ心配を続けるのにうんざりして・・・。

早川書房「ダウンタウン・シスター」サラ・バレッキー/山本やよい訳

・・・彼女はまったくよそよそしく、ベイハウスに着くと何やら他人行儀なお世辞をつぶやき、早々にひとりでベッドに入ってしまった。こっちだって、いま一緒に寝ないと死んでしまうなどと真剣な顔をして騒ぎたてる年ではなかったので、ぼくたちは同じ部屋で眠りに落ちた。・・・ただ眠ったのだ。・・・ぼくは自分たちのなさねばならない仕事について気をもんでいたが、このことが性的な切迫感が欠けていたことと関係があるのかもしれない。それとも、もう年なのだろうか。一覧表を作ったほうがいいのかもしれない。

早川書房「破産寸前の男」ピーター・バーセル/斎藤数衛訳

誓ってもいい。私はおん年40近くで、女といっしょになって別れ、あまたの対人戦争をくぐり抜けて叙勲をうけた老兵だ。その私が、何かがいまにも起こりそうだというときには、やはり不安じっとしていられなくなる。

早川書房「殴られてもブルース」スティーヴン・ウォマック/大谷豪見訳

(飛行機に乗ったらシュチューアデスが)

 ・・・飛行機が高度2万6千フイートの上空から地上に墜落して炎上しそうになったときにどうすべきかを説明した。わたしには、天井からぶら下がっている酸素マスクは役にたたないような気がしたが、彼女は緊急時の対応のしかたをわれわれに伝えて、いくらか満足したようだった。乗客に墜落炎上死の可能性を忘れさせるため、彼女は機体が離陸したら飲み物とスナックを配るとアナウンスした。

早川書房「無法のL」スー・グラフトン/嵯峨静江訳

・・・卒業したはずの散財癖がまたぶりかえし、この古めかしい百貨店であれこれ買いまくった自分の退行行動をしみじみ考えた。

早川書房「虹の彼方に」ネンシー・ピカード/宇佐川昌子訳

大変!!!

世の中、大変がいっぱい!!!

老後に2000万円いると言って、云った方も云われた方も大変!!!

参議院選挙に出るオエライさんは、落ちればタダの人になるから大変!!!

80歳以上の運転する人は、運転ダメ風潮にかこまれて大変!!!

私などは、スマホを持たずに外出したり、バスの時間を勘違いして乗れなかったり、目覚ましの時間をセットし忘れて間に合わなかったり、見たいTVの録画を忘れたり、傘を持たずに外出し雨にあって途方にくれたり、日常茶飯事になんでもかんでもところかまわず置き忘れたりして・・・まあ、毎日が大変のオンパレード。

そこで、人が大変な目に会っているのをみて、たまには「お気の毒」と云ってみたいものです。

と、いう訳で、今日の「ハードボイルドに恋をして」は、「大変!!!」がテーマです。

後 悔

「ええ、それはもちろん、デイトもしましたわ。でも、アメリカ中にポイポイと、男を捨てて渡り歩いた訳じゃないんです」

早川書房「逃げるアヒル」ポーラ・ゴズリング/山本俊子訳

わたしは軽はずみにふるまったことがないの。ボヘミアン時代がなかったのよ。わたしのボヘミアン時代になってくれる?

角川書店「ミッドナイトゲーム」デビッド・アンソニー/小鷹信光訳

ゆうべのアレが老化の見本だとしたら、若いころを知らなかったのが残念だわ。

早川書房「視聴率の殺人」ウイリアム・L・ディアンドリア/真崎義博訳

大小さまざまな過ちに満ちた私の人生で、これは最大のものだった。

早川書房「殺人ウエディグ・ベル」ウイリアム・L・ディアンドリア/真崎義博訳

人生の調理法に必要な成分の一つは後悔だろう。いろいろなことを元通りにできないために後悔するのだ。

扶桑社「ニューヨ-ク編集者物語」ドナルド・E・ウェストレイク/木村仁良訳

二人はショックを受けて黙り込んでいた。どうやら私は、さよならだけの人生にまた一つ別れをつけ加えたようだった。前と同じく、口を慎んでいればよかったと思った。

早川書房「いまだ生者のなかで」ザカリー・クライン/黒原敏行訳

(夫のジェフと休暇を取る予定だったのに、仕事をせざるを得なくなったジェニーは)

疲労とジェフを求めるセクシーな気分、失われた休暇への無念な思いが肌にしみこんで、筋肉をつたわり、骨の奥深く達し、最後に自己憐憫のボールになってお腹の中に落ちついた。

早川書房「虹の彼方に」ナンシー・ビカード/宇佐川昌子訳

 カードを使ったのがまずかった。自分でもいったいどうしてそんなことをしたのか、わからない。すでに限度額いっぱいに使ってしまったとなれば、あとはその楽しい思い出に浸るしかない。

二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

要するに、私は、人生航路の途中で、何かを見逃したのだ。しかし、何を見逃したのかはわからなかった。どこかで道を踏み外し、それ以来、表街道に戻れないでいる。

早川書房「虹の彼方に」ナンシー・ビカード/宇佐川昌子訳

そこまではたしかにまちがっていなかった。ただしこの経験は、自分がいかに挽回不能なほど遠くはるかに世のなかの本領からはずれてしまったかを気づかせる結果となった。

早川書房「友と別れた冬」ジョージ・P・ペレケ-スノス/松浦雅之訳

「人間ならだれだって、時には朝になったら後悔するようなことをしてしまうものよ」

早川書房「お熱い脅迫状」H・フレッド・ワイザー/仙波有理訳

反 省

人間は自分の過ちから学ぶことのできる存在だと信じているが、わたしの性格には欠点があって、それができないらしい。

早川書房「秋のスロー・ダンス」フィリップ・リー・ウィリアムズ/坂本憲一訳

(酒を飲み過ぎ)

私の平衡感覚は最良じゃないらしい。・・・しょっちゅう平均台から落ちかかる体操教師みたいだった。・・・今週はずっと人生を相手にトランプをやり、ここまでは二と六と九とジャックがそれぞれちがう組の札で配られていた。ベッドの端に腰を下ろした。明日になればたぶん、私もなんとかましな人間になるだろう。酒と煙草と愚かな連中との付き合いをやめ、体をしゃきっとさせているかもしれない。結局のところ、明日は明日の風が吹くのだ。もしかして、事件を解決できるかもしれないじゃないか。

早川書房「虹の彼方に」ナンシー・ビカード/宇佐川昌子訳

 ~野球の続きをみたりビールを飲んだり、このところ停滞気味な私の人生の盛衰について熟慮したかった。

二見書房「スキャンダラス・レデイ」マイク・ルピカ/雨沢泰訳