愛
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そしてあなたがわたしにさわると、とたんにわたしはカーニバルみたいに活気づき、あなたがそばにいないとショボンとして、死んじまったほうがいいみたいな気分になるの。
それでもまだ、わたしが恋をしてるっていうのは間違いだといえて?
早川書房「俺に恋した女スパイ」ロス・H・スペンサー/田中融ニ訳
彼女は彼を愛していると言っていた。ときどき、彼の方も彼女を愛しているといると言った。そう言う時は本心から言った。とにかく、その一瞬は本心なのだった。
早川書房「小さな土曜日」アーウィン・ショウ/小泉喜美子訳
「でも、あなたが私の厄介のタネでなくてよかったわ」
「厄介さ」言い訳するように言い返した。「大いなる葛藤なんだから」
「葛藤のことなら、営業時間中に相談して。いまは時間外なの」
「だったら、その下唇をかんでもいいな。その唇にはいつも何かを感じているんだ」
彼女が顔を近づけ、噛みやすいようにしてくれた。これもイチゴ、ウイスキイソーダ、春の日といったキスになった。彼女の熟した胸が当たった。
早川書房「ただでは乗れない」ラリー・バインハート/真崎義弘訳
・・・そのあとで虫がついた。大学で、アンはジュンという同級生と知り合って恋におち、そしてベッドにおちて、避妊の方法を講じることを忘れてしまったらしい。
早川書房「ジュリコ街の女」コリン・デクスター/大場忠男訳
「目を開けたら最初に見えたのは壁で、最初に感じたのは疲労と、このいやな事件に対するユーウッな気分だった。だが、そのあと、足を動かしたらきみにさわった。・・・するとおどろいたことに、急に安らかな楽観的な気分になったんだ。愛は一晩の熟睡よりも効果がある」
早川書房「死者は惜しまない」ナンシー・ピカード/宇佐川晶子訳
完璧なルーデルの左右の鼻の穴から、それぞれ煙の柱が吹き出し、わたしはそれを深く吸い込んだ。アメリカ煙草のにおいは好きだが、だから吸い込んだわけではない。彼女の胸から出てきた煙だったからだ。この胸にまつわるものは、なんであれ歓迎したい。
新潮社「偽りの街」フィリップ・カー/東江一紀訳
「もう寝た?」
「いいえ。・・・でも今夜はもう充分運動したわ、風邪で熱まであるのに。今夜のところは思い出を枕に寝ることにしない?」
文藝春秋「吾輩はカモじゃない」ステュアート・カミンスキー/田口俊樹訳
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