嗚呼 沖縄

今日は、沖縄復帰50年。
国土面積0,6%に全国基地の約70%がある沖縄。「基地のない平和な島」を願う沖縄。もう50年もたっているのに・・・。

朝日新聞の5月13日版に世論調査の結果が掲載されていました。
その中で沖縄に関わる主な項目をご紹介します。
・沖縄の米軍基地は日本にとって必要?
必要 69%  不要 26%
・普天間飛行場の辺野古への移転は?
賛成 33%  反対 54%
・軟弱地盤問題の国の対応は?
移転賛成の人ー納得できる  69%
移転反対の人ー納得できない 95%
・基地の一部を他地区に移すことは?
賛成 63%  反対 27%

沖縄タイムス&琉球朝日放送が合同で実施した世論調査も掲載されてました。
・復帰当時に思っていたような姿になった?
なっている   55%
なっていない  37%
・沖縄戦の体験は引き継がれている?
引き継がれている  42%
そうは思わない   52%

2020年の沖縄全戦没者追悼式で沖縄県立首里高等学校3年の甲良朱香音さんが
「あなたがあの時」という詩を朗読しました。とっても長い詩ですが、沖縄の人々の想いをくんで読んでください。

あなたがあの時

まだ昼間だというのに あまりにも暗い
少し湿った空気を感じながら 私はあの時を想像する

あなたがまだ一人で歩けなかったあの時 あなたの兄は人を殺すことを習った
あなたの姉は学校へ行けなくなった

あなたが走れるようになったあの時 あなたが駆け回るはずだった野原は
真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

あなたが青春を奪われたあの時 あなたはもうボロボロ
家族もいない 食べ物もない ただ真っ暗なこの壕の中で
あなたの見た光は、幻となって消えた。

「はい、ではつけていいですよ」 一つ、また一つ光が増えていく
照らされたその場所は もう真っ暗ではないというのに
あまりにも暗い 体中にじんわりとかく汗を感じながら
私はあの時を想像する

あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた

あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった

ありがとう

あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる

あなたがあの時
前を見続けてくれたおかげで
この島は今 ここにある

あなたがあの時 勇気を振り絞って語ってくれたおかげで
私たちは 知った 永遠に解かれることのない戦争の呪いを
決して失われてはいけない平和の尊さを

ありがとう

「頭、気をつけてね」 外の光が私を包む
真っ暗闇のあの中で あなたが見つめた希望の光
私は消さない 消させない 梅雨晴れの午後の光を感じながら
私は平和な世界を創造する

あなたがあの時 私を見つめたまっすぐな視線
未来に向けた穏やかな横顔を 私は忘れない
平和を求める仲間として

ゴールデンウイークをどうぞ

5月。10連休のゴールデンウイークがスタート。なんと素敵!!!

とっても年寄り私などは365連休だろうから、ゴールデンウイークは関係なかろうと思われるかもしれませんが、とんでもハップン!!!
スマホのスケジュール表で、プライベートを含めると空白な日は3月も4月も三日だけという散々たる有様。

エ? 何?「それってプライベートがほとんどでしょ。イイ年をして遊びすぎ」・・・だって。
ウーン、まあ、花見は4回だけ(弁当付きは2回、すみません)映画は4本のみ、演奏会は1回だけ、その他エトセトラ・エトセトラだけで・・・後は仕事がらみ。

ホントです。これでも私、自治会と老人クラブの会長、老人クラブ連合会の会計&副会長をやっているものだから、年度末と年度初めは会議と行事がいっぱい。

でも、私、84歳の末期高齢者でしょ、「男の死にどき」の真っただ中。そして来年は85歳の終末高齢者となって、天の彼方から「もういいよ」と言われゴールすることになっているそうです。
だから、なけなしの余生を楽しむため、背負い込んでいる3団体は85歳までと断言していますので、それからは夢の365連休となるに違いありません。
ウーン、あといくつゴールデンウイークを迎えられるのでしょうか???・・・トホホホホ。

そう、竹内まりやの「人生の扉」にあるように

満開の桜や 色づく山の紅葉を
この先 いったい 何度見ることになるだろう

4月でようやく仕事のケリはついたし、ここで、わが生涯最後の・・・ではないと念じて・・・ゴールデンウイークを満喫しようと思ったけれど、TVで観光地の様子を見ると、こりゃとっても年寄りの出る幕ではないとガマンがまん我慢の連続!!!

そこで、貴重な10連休を、私の大好きな井上陽水や中島みゆきを聴きながら、ツン読していたミステリー・・・ギリアン・ロバーツの「死体と一緒にヴァケーション」とローレンス・ブロックの「殺しのリスト」に土屋賢二のユーモア・エッセイ「日々是口実」を読破し、録画してある懐かしの洋画・・・「黄色いリボン」や「北北西に進路を取れ」とか「ティファニーで朝食を」など6本をしみじみ楽しむことにしましょう。

そして、井上陽水の「5月の別れ」をどうぞ・・・ネ、これって5月がピッタリでしょ。私の大好きな歌!!!

5月の別れ

風の言葉に諭されながら
別れゆく二人が五月を歩く
木々の若葉は強がりだから
風の行く流れに逆らうばかり

鐘が鳴り花束が目の前で咲きほこり
残された青空が夢をひとつだけ
あなたに叶えてくれる

いつか遊びに行きたいなんて
微笑みを浮かべて五月の別れ
月と鏡はおにあいだから
それぞれにあこがれ 夜空をながめ

星の降る暗がりでレタスの芽がめばえて
眠りから醒めながら夢をひとつだけ
あなたに叶えてくれる

果てしなく星達が訳もなく流れ去り
愛された思い出に夢をひとつだけ
あなたに残してくれる

ご機嫌いかが 3

春はアッという間にやってきて、アレヨアレヨと云う間もなく、もう夏の気配が漂ってきました。
私、夏は暑いから大嫌い、冬は寒いから大嫌い。だから春と秋は大好き。
特に春になると、コートを脱ぎすて超ミニスカートでボインボインを誇らしげに、エロっぽい眼差しで見る男どもを見くだして闊歩する女性を見るのが大好き。

でも、私、とっびきりの年寄りだから、

夜桜を見に行かないかと君が言う 思いっきり幸せを抱きしめる瞬間   諸星詩織

という世界からは程遠い存在でしょ。だから

のんびりと春を探しに出かけます 寂しい者はこの指とまれ  諸星詩織

という世界なんです。ウン、誰かこの指に止まってくれないかなァ。

ところで、今日の「ハードボイルドに恋をして7」は、2022年2月15日のプログ「ご機嫌いかが 2」の続編です。
ウクライナのTVニュースを見るたびに、私、機嫌は悪くなるばかり。そして「怒り」はますばかり。そこで、ハードボイルドの「怒り」を読んで、チョッピリうさ払らしをして下さい。

怒り

けんかは不得意だから、すぐに相手に殴り倒されてしまった。正義の味方を気どるには体重も軽すぎるし、年もとりすぎている。それは自分でも十分承知しているにもかかわらず、時として、世界の不公平さを特別に見せつけられると、ついそれを忘れてしまうのだ。
角川書店「暗くなるまで待て」トニー・ケンリック/上田公子訳

いかし、わたしがいくら理性的な性格にできていても、わが長所のトップは忍耐ではない。
早川書房「ダウンタウン・シスター」サラ・バレッキー/山本やよい訳

エレベータは、奇数偶数方式だった。こんなものを設計したデザイナーには本年度の「アホバカ大賞」をやるべきだ。この種のエレベーターときたら、やたらスピードがのろい。
早川書房「絞殺魔に会いたい」パーネル・ホール/田中一江訳

(男のトイレはあっても、女性トイレがないので、エヴァは頭にきて)
連中はたとえ寒い夜でも、女には鉄の膀胱があるから大丈夫だと思ってるんだろうが、そんなの公平じゃない。金持ちで有名になったら、あたしも文句が言えるかもしれない。金持ちでも有名でもないときに文句をつけるのはいいことじゃない。だって、コルクの栓でもしろと言われるのがおちだし、こっちはますます頭に血が昇るからだ。
早川書房「汚れた守護天使」リザ・コディ/堀内静子訳

患者から金を奪った上に、人格まで奪ってしまう病院の日課なるものを押しつけられると・・・。
早川書房「ダウンタウン・シスター」サラ・バレッキー/山本やよい訳

(性倒錯者が少年を傷つける秘密ビデオを見せられたエレインは)
「・・・この世の中には、変質者や頭のいかれた人間がうじゃうじゃいる。そんなことは百も承知よ。・・・そりゃ時には、人類に取りつけられている生命維持装置を誰かがもうはずすべきだ、なんて思うこともあるけれど、でも、大丈夫、とりあえずわたしはこの世界と折り合いをつけている。でも、今見たビデオだけは我慢ならない。このビデオだけは絶対に許せない」
二見書房「倒錯の舞踏」ローレンス・ブロック/田口俊樹訳

俺の怒りは順調に進行し・・・彼の顔は、不吉な桑の実のような暗赤色を呈していた。
早川書房「大あたり殺人事件」クレイグ・ライス/小泉喜美子訳

ニッキは端然として椅子に座っている。そのひっそりとして静かな物腰は、まるで感情のギアが入れ忘れられているかのようだ。
早川書房「アリバイのA」スー・グラフトン/嵯峨静江訳

(整備してもらったばかりの車がぶっ壊れたので)
「こんちくしょう!」あたしは叫んだ。
「この日本製のくそったれトラックめ。あの大嘘つきの詐欺師のしょんべんたれの整備工め!」
あたしは一秒ほどハンドルに顔を押しつけた。まるでお父さんみたいな口をきいてしまった。タイタニック号に乗って沈んでいくときに、きっとこんなことを思うのだろう。
扶桑社「モーおじさんの失踪」ジャネット・イヴァノヴィッチ/細美遥子訳

(探偵の資格をなくすと脅されて)
「探偵の資格を剥奪されたって、この世の終わりがくるわけじゃない」
この世の二日前ぐらいの気分にはなる、ということはいわないでいた。
早川書房「偽りの契り」スチィーヴン・グリンリース/黒原敏行江訳

※諸星伊織ーー本名 糸満久美子、沖縄県出身。詩集「雨上がりの窓」より。

 

蟻の一穴

桜満開。春は爛漫。心はグチャグチャ。

ロシアはウクライナを「侵略」しているのではなく、ウクライナの非武装化・非ナチス化のために「特別軍事作戦」を行っているとのことである。
ナチス化なんてオドロオドロシイ言語はもう廃語になっていて、こうゆう現象はおこり得ないというのが世界の常識と思っていたが、この期に及んで復活するなんて世も末である。

そして「ロシア系の住民をウクライナ軍の攻撃から守り、ロシアに対する欧米の脅威に対抗するためには、ほかに方法がなかった」との攻撃開始宣言をおこなったが、これを信じるなんてロシアの国民の皆々さんは「アホ」であるに違いない・・・なんてことを言っていけない。

先の大戦で、わがニッポン国が東南アジアの国々で戦っていたのは「ヨーロッパの国々からのアジア解放」のためであり「侵略」なんて考えはコレッポッチもありませんというこになっていたのである。

そして、わがニッポン国の大義名分のあるこの戦いについて、当時の全てのメディアもこぞって大戦果が有るがごとく報じて、国民も一体となって戦争を推進し「東南アジアの解放」をすっかり信じていたのに、なんと敗戦となるや、ガラガラポンとなって、すべて「侵略」となってしまった。

だから、わがニッポン国の過去のアレコレを考えると、ロシアの国民の皆々さまを「アホ」と言っては失礼であろう。20年にわたるプーチン大統領の長期政権とメディアの統制で情報鎖国になっているのだから仕方がないのである。

いずれ、休戦協定がなされ戦争は終わるだろうけれど、どんな結末になっていても、ロシア大統領は「わがロシアの大勝利」と自画自賛。かくして、原爆を脅しに使う唯我独尊を誇る大統領が意気揚々と君臨していくに違いない。

とは言え、堅固な堤も小さなアリの穴がもとでくずれることもあるという「蟻の一穴」の例えのように、ロシアの人々がウクライナの惨状を知ったら、強権を振るう大統領について「?」と感じる人が出てくるに違いない。そして、その小さな穴が大きな穴になると信じたい。

そして、ロシアの人々に次の詩を・・・。

出版社KADOGAWAが発行した「戦争は女の顔をしていない」の第16話「ふと、生きていたいと熱烈に思った」より

戦争中どんなことに
憧れていたかわかるかい?
あたしたち夢見ていた

ねえ
戦争が終わるまで
生き延べられたら
戦争の後の人々は
どんなに幸せな人たちだろう!

どんなにすばらしい生活が
始まるんだろう

こんなにつらい思いをいた人たちは
お互いをいたわりあう

それはもう違う人たちになるんだね

そのことを疑わなかった
これっぽっちも

ところがどうよ・・・・
え?

またまた殺し合っている
一番理解できないことよ・・・・

いったいこれは
どういうことなんだろう?

え?
私たちってのは・・・・

この詩は、3月26日の朝日新聞に掲載された出版社KADOKAWAの1頁広告を引用したものです。

一本の紐に・・・

第2次大戦以後、勝った国も負けた国も「もう、戦争はコリゴリ」となって、クーデターやテロや国境をめぐるイザコザはあっても、国同士の戦いはなくなったと思っていたら、五大国のロシアが小国のウクライナを侵略するなんて・・・言葉もありません。

民主主義国家だろうと権威主義国家だろうと主義主張にかかわらず、そこに住むウン千万の国民の皆さんは
「戦争はイヤ」と思っているに違いありませんが、たった一人の人間がコロっと
「戦争をヤル」となったら、戦争が始まるんですね。どうも、第2次大戦の時代に戻ったみたい。

北九州市立文学館で、3月12日に「現代川柳の動向」という演題で、全日本川柳協会常任理事の古谷龍太郎さんの講演がありました。私、川柳を作ったことはないけれど、なにしろ「シルバー川柳」の愛好者だから聞きに行ったんです。その時、同時に開催されていた「日本現代川柳作家展」も見てきましたが、そこに展示されていた川柳を一つ紹介します。   

一本の紐に地球をぶら下げる   黒川孤遊(熊本)

先月、和田誠さんの単行本「お楽しみはこれからだ」の広告が新聞に出ていました。私、週刊文春の時代から和田誠さんの大ファンでしょ。買わねばならぬと思ったら、なんと価格2970円也。
私、ハードボイルドの本はむやみと買うという素敵な習性があるけれど、2970円也はポケットの許容範囲外。ウーンとしばし沈思黙考・・・でも「〝ネマ句報〟に1973年から連載された映画に残る名セリフをイラストレーションと共に紹介する」という謳い文句につられ、ここだけの話だけれど「女房を質にいれてでも」の心意気で買うことにしました。

さっそく、わが街で一番大きい本屋に行き探したれど「ナイ」。そこで美人のいるカウンターに行き意気揚々と注文したら、美人いわく
「それって本の名前ですか」って・・・。トホホホ、私の心意気はショボン。
でも、なんとか注文して帰ったら、なんと12日後にヤットコサと届きました。東京から言えば海の向こうの九州の片田舎だから、時間がかかっても仕方ありません。

届いた本の表紙はセロハンカバー付きで、なんと函入り。今どきの本には珍しい豪華本。ウーン、2970円也は高いと云わないことにしましょう。
そして右の頁に映画の「名セリフ」とその場面について薀蓄をかたむけた和田誠さんのエッセイが掲載されており、左側の頁はそのシーンの俳優の顔が独特のシンプルなタッチで描かれているんです。スゲー&素敵!!!

レイモンド・チャンドラーのミステリイ「プレイバック」に書かれている名セリフ、

男はタフでなければ生きていけない。やさしくなかったら生きてる資格がない。

に、すっかり魅せられて、以来、ハードボイルド専科となって、読んだミステリイのキザだけれどお洒落な名セリフを書き残してきました。
そして、このプログの「ハードボイルドに恋をして」に時々紹介しているけれど、「お楽しみはこれからだ」に掲載されている名セリフもここで、チョッピリ紹介しましょう。

映画「チャップリンの殺人狂時代」から、殺人者ヴェルドーのセリフ。これって、今から76年前の1947年の映画だけれど、地球という惑星に生息するヒト科の生物は、どうも進化していないみたいです。

一人を殺せば犯罪者だが、百万人を殺せば英雄だ。
戦争を商売にしている人たちに比べれば、私は殺人者としてはアマチャアです。

次に、キザな名セリフ。映画「サンセット大通り」でウイリアム・ホールデンとナンシー・オルスンの会話。

「君はとってもいい匂いだ」
「私は香水をつけてないわ」
「洗いたてのハンカチのようだ」

私もこんなセルフをはきたいけれど、相手がいません。トホホト・・・。