ああ オリンピック!!!

 オリンピックが終わった。
 私は根っからのスポーツ音痴である。自慢じゃないが、腕っぷしの弱いことにかけては、決して誰にも引けをとらない。子供の頃、体育の時間に懸垂というのがあったが、私は鉄棒にブラーーンとぶら下がっているだけである。1回も鉄棒から上に顔が上がったことがない。
 野球もやったことがあるが、何故かボールはいつもバットを避けて飛んくる。守ってもボールが飛んできたら鉄砲の弾のごとく見えて、本能的に身の危険を感じ逃げざるを得ない。
 長じて、大人になり動かない球なら当たるだろうとゴルフに挑戦したものの、球は地球を転がるばかりである。空を飛んでくれた試しがない。
 かくなるうえは、ゲートボールなら名人級になれるだろうと信じているが、まだ誰も誘ってくれない。残念至極である。しかし、これまでの傾向から考察すると、ゲートボールをしたら、今度は反対に球が空を飛ぶやもしれぬ。
 かかる深刻な事情を抱えているから、スポーツは見るのも得意ではない。ただ、我が家は先祖代々由緒正しいジャイアンツフアンだから、ジャイアンツが出場する野球だけは見るものの、他のスポーツ番組など見たこともない。
 だから、オリンピックなんて筋肉ムキムキマンのよその世界の出来事と思っていたが、新聞もTVもオリンピック一色である。まるで、オリンピックを見ていないと日本国民でないような気がする。かくして、私も一夜づけの「オリンピック見る!見る!!」人間となった訳であるが、いやもう、ビックリしたのなんのって
「ウーン、スゲー !!!」と唸ってしまった。
 オリンピックの選手は、力と技に秀でていればいいのかと思っていたが、そうではなかったのである。試合に勝つ前に、まず自分に勝たねばならぬ。
 私のようにフツーの人生を送くっているだけの人間でも、その中で自分に勝つということがどんなに難しいか、よく理解できる。
「マッ いいか」と、ほどほどの所で自分に妥協するということは、自分に負けたということである。こんな簡単なことはない。私の負け数など、両手両足の指を総動員して数えても足りない位である。
 だから、スポーツの世界で自分に勝つということが、どんなに過酷で厳しいものか、私の想像を絶するのである。それを乗り越えてきたからこそ
「勝って涙、負けて涙、見て涙」となるのであろう。ジャイアンツが負けて
「こんチクショウ。ホリウチのアホ!!!ーーン?、訂正、特に名を秘す人のアホ!!!」とやけくそに叫ぶのとは、エライ違いである。
 かくして、多くの人にいろいろな想いを残してオリンピックは終わった。
 ウン、今からはスポーツ見るのを得意としよう。

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