「1本の鉛筆」から

 8月15日はお盆。そして終戦記念日。いずれも亡くなった人を弔う日である。
 平和を願い戦争反対が声高らかに叫ばれるのも、この日である。この日、集会を開いたり街を行進して反戦のメッセージがTVから伝えられてくる。
 でも、これって声高らかに言われなっくても
「平和反対。戦争賛成」などと思っている人なんていゃあしない。
 だから、セレモニー化しパターン化たいわゆる「運動」を見たり聞いたりしても
「ホント おっしゃるとおりデス」と感服し納得するものの、それに心を動かされることは少ない。
 それより私は、吉永小百合の「原爆詩」の朗読や森山良子の「さとうきび畑」の歌を聴いたときの方が、
「ウーン 戦争って イヤだ!!!!」という思いを強くするのである。
 この二つはよく知られていることだが、私が心を動かされものが、もうひとつある。それは美空ひばりが歌った反戦歌「1本の鉛筆」であうる。
「エッ! 美空ひばりが反戦歌?」 と思われるかもしれないが、ひばりはこの歌をとっても大切にしていたという。
 私がこの歌を初めて聴いたのは、私が1992年大阪のIMPホールで開かれた「第6回消しゴムコンサート」を聴きに行った時である。このコンサートは
「この世になかったらいいなと願うものを、それぞれ手に持った意識の消しゴムでゴシゴシ消してしまおう」という趣旨で湯川れい子が主催したイベントである。
 この日は「明日からでは遅すぎる」というテーマでパネルディスカッション、次に幾つかのグループのアコースイックコンサートがあり、その中で、たしかEPOだったと思うがこの歌を歌い、それを聴いて私はホロホロと心に涙!!!してしまった。
 そしてその時、この歌は、美空ひばりが1974年第1回広島平和音楽祭で歌ったと聞いてびっくりしたものである。私は知らなかったが、以来、多くの歌手が反戦歌として歌っているそうである。
 平和音楽祭で美空ひばりが歌うために作られたこの歌は、作詞が松山善三、作曲は佐藤勝。
 私は 演歌や歌謡曲をあまり聴くほうではないし、ひばりのファンでもない。でも、その後、TVで何度か美空ひばりがこの曲を歌っているのを聞いて、最初に聴いたとき以上に、ホロホロのホロホロのホロホロと心に涙した次第である。
 この曲は、美空ひばりのアルバムの中に収録されているが、インターネットで「広島平和音楽祭」を検索すると、歌詞カードとともに、メロデーが流れるようになっている。
 この歌詞は次の通りであるが、詩だけではこの歌の良さは分からない。ひばりの声をとおすと、この歌の持つ重みが伝わってくる。戦争反対と声高らかに叫ぶ訳ではないが、戦争はイヤだという切ない彼女の訴えが心をふるわし、伝わってくるのである。
 せめてこのメロデーを聴きながら、この詩を口づさんでいただけたらと思う。

1本の鉛筆

1 
あなたに 聞いてもらいたい あなたに 読んでもらいたい
あなたに 歌ってもらいたい あなたに 信じてもらいたい
一本の鉛筆があれば     私は あなたへの愛を書く
一本の鉛筆があれば     戦争はいやだと 私は書く 
2
あなたに 愛をおくりたい   あなたに 夢をおくりたい
あなたに 春をおくりたい   あなたに 世界をおくりたい
一枚のザラ紙があれば    私は 子供が欲しいと書く
一枚のザラ紙があれば    あなたを帰してと 私は書く
一本の鉛筆があれば     八月六日の朝と書く
一本の鉛筆があれば     人間のいのちと 私は書く

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