すべての人につたえたい

今日は8月15日。終戦記念日。

広島で原爆が落とされ142.000人の人々が死亡し、長崎で原爆が落とされ71,000人の人々が死亡、その213.000人の犠牲があってようやく降参した日本。

しかし、広島に原爆が落とされる前に、多くの都市で焼夷弾がばらまかれ、すでに200.000人の人々が亡くなっているのである。

そして沖縄が焦土化し、世界一を誇る戦艦大和が巨大な大砲を1発も撃つことなく撃沈されているというのに、どうして「降参」の白旗をいさぎよく挙げなかったのか・・・。

もし、沖縄で惨敗した時点で白旗を挙げていたら、原爆が落とされることもなく、213.000人の人々が無残に殺されることもなかっただろうに・・・。

詩人堀場清子さんが、疎開先の広島で原爆を悲惨さを目撃し「その空が・・・」と詩を残した。
長い詩で読むのも辛い詩。でも、詩の冒頭に「すべての人につたえたい」と書いてある。
だから、読んで下さい。これが原爆なんですから・・・。。
   

その空が・・・   堀場清子

すべての人につたえたい

百万の眼穿が雨にうたれ 陽にやかれ
しらじらと見あげていた
  その空がどんなに青かったかを

死んでしまった胎児らの網膜に
一瞬 永遠の深さでやきつけられた
地獄よりもひどい地獄 爛れた大地のうめき声を
黙然と包んでいた
  その空がどんなに青かったかを

山脈をはるかにこえて 毒茸のように
純白のパラシュートが流れていった
  その空がどんなに青かったかを

二日目 蒼黄色に膿がながれた
三日目 生きながらウジがこぼれおちた

くるひもくるひも死の蝶の羽うらで
産卵のように死体がふえた

廃墟の町の夜々を
にんげんの脂が明るくてらした

まひるま 川原の砂のくぼみに
だれともしれない灰がつもった

生きながら焦がれた苦しみが 死んでふたたび焼かれるとき
ほのあおい気体となまぐさいにおいになって
生き残ったものの鼻孔に弱々しい訴えをした
くるひもくるひも
〝水清い〟太田川の流れにそって
林のように かいもない祈りのように
ほそぼそと煙がのぼり
つめたく晴れた空のただなかで
ゆれてはとけた

ひと夏を死体の煙でやしなわれた
その空がどんなに青かったかを

 ※ 堀場清子ーー1930年~、広島県生まれ。現代詩人会、詩集「首里」他多数。

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