「変」ではなくって「ヘンテコリン」

北九州文学館から第22回特別企画展「宮西達也ワンダーランド展」~ヘンテコリンな絵本の仲間たち~の開会式の招待券が送られてきた。
招待券なんてものは、普通オエライ人に送られてくるものだが、平・平凡人の私に送られてきたのは、私、北九州文学館の「友の会」に入会しているからである。だから平・平凡人だけれど送られてくる。
私が何故高尚なる文学館の「友の会」に入会したかというと、林芙美子研究の第一人者として有名な今川英子文学館長が「美人で頭が良くってお話が上手」だから入会した訳ではない。ホントである。
入会したのは、「友の会」の趣旨にあるとおり「文学や文学館に関心を有する人々が集まり、文学・文芸に関する知識教養、理解を深めると同時に・・・」
「エ? 何? 趣旨に賛同して入会したと言っても、なんだかウソっぽい」だって・・・。
エート、そういう外野席の声は無視することにして・・・・ともかく、かくかくしかじかの訳で入会した次第である。
そこで、イソイソと・・・ン? 訂正、ブンガク的顔を装って開会式に出席。北橋市長や今川英子館長の挨拶のあと、関係するオエライさん達の祝辞に続いて金田保育園の年少者組の園児たちの祝辞・・・これが良かった。とってもすっごくむやみやたらと可愛いんデス。そして、最後に「オメデトウゴザイマス」で結ぶと大拍手大喝采。だけど、ナーガイ祝辞の文章を覚えていたのにもビックリ。我がニッポン国の未来は、捨てたもんじゃないと、いい加減年寄りで暗記力ゼロの私は安心した次第です。
開会式が終わって、絵本作家宮西達也さんのギャラリートークがあったけれど、私、恥ずかしながら、初めて聞いた名前である。宮西さんは1956年生まれ。イラストレーターから絵本作家に転じ、絵本『にゃーご』は小学校の教科書にも採用されているそうである。
代表作は『ティラノサウルス シリーズ』や『おとうさんはウルトラマン シリーズ』。これらの原画やラフスケッチ、ジオラマなど約180点が子供たちにも見やすいように展示されていて会場は笑顔がいっぱい。
私、ゴジラが大好きだからティラノサウルスなどの恐竜も大好きでしょ、それに加えてウルトラマンは大・大好き。なんと宮西達也さんは私好みの絵本作家だったのである。
「大の大人がウルトラマンが好きなんて・・・」と言われても困る。
その証拠に、ウルトラマンの放映が終わった1991年に㈱中経出版から「ウルトラマン研究序説」~科学特捜隊の組織・技術戦略を検証する~という250頁にわたる超マジメな本が出版されているのである。この本は有名大学の若手の法学系・経済経営学系・自然科学系25人の学者による共作で、
《第1章 その組織戦略と管理にみる人事戦略》 《第2章 その法務戦略およびハヤタ隊員の法的考察》 《第3章 その財務戦略と怪獣出現による経済への波及効果》と、以下第5章まである。
この本は、ドイツ語版・英語版まで出版されていることから分かるように、大変権威のある学術書だけれど、私、この本を買って
「すごいよ、この本。読んでみたら・・・」とすすめると、アキレタ的眼差しで見るばかりで誰も読もうとしない。どうも、皆さん、カタイ本にヨワイらしい。
でも、ウルトラマンのTVで育った子供たちは、れっきとした大人になっても、ウルトラマンはもちろんバルタイ星人をはじめ諸々の怪獣は、心の中で生き続けているのである。
そして、NHKTVのBSで「放送開始50年祝ウルトラマン50怪獣大感謝祭」と銘打って、ウルトラ怪獣人気投票が行われ「ゴモラ」が第1位に、そして放映された番組の中から10番組の名作回が選ばれ、7月から9月の日曜日にかけて遂次放映されているのである。
私、もちろん放映された番組はシミジミ愛を込めて見ている訳だけれど、展覧会に出されている宮西達也さんが描いたのは、勇ましいウルトラマンと違って「ヘンテコリンなウルトラマン」。「変な」じゃないんです、「ヘンテコリンな」ウルトラマン。この違い、分かる?
描かれた子煩悩なウルトラマンパパは、ヘンテコリンだけどカワイくって格好良くって、それに登場する怪獣もほほえましくって、イラストの色彩も素敵だったし、子供たちが・・・ウーン、大人たちも大好きになるはずです。
ギャラリートークが終わって、宮西達也さんが、代表作でもある『まねしんぼ』や『おっぱい』などの絵をスライドで写しながら、読み聞かせをやった後、こどもたちに
「おっぱいの好きな子は手を挙げて」といったら、こどもたち一斉に「ハーイ」。
そこで、宮西さんが「大人の人でおっぱいの好きな人は手を挙げて」と言ったので、私もつられて威勢よく手を挙げたら、宮西さん「エ? たった二人だけ?」・・・ホント、恥かいちゃった。どうも、私、場違いな感じ。文学館に来る人は、どうもおっぱい嫌いなマジメ人間らしい。
ところで、50年前はTVでウルトラマンが好きになり、現代は宮西達也さんの絵本でウルトラマンが好きになりということで、「ウルトラマンは永遠なり」と意を強くした次第だけれど、宮西達也さんは
「絵本はこどもたちのためにあるのではない。大人の方にも絵本の力を感じてほしい」と話しておられましたので、アキレタ的眼差しのオトナの人も、宮西達也さんのウルトラマンを見たら、きっと大好きになるに違いありません。
そこで、お父さんやお母さんはお子さんと一緒に、おじいちゃんやおばあちゃんはお孫さんと一緒に伊展覧会にどうぞ・・・。
そして「変」と「ヘンテコリン」がどう違うのかは、展覧会に見に来て感じてくださいね。

北九州立文学館 第22回特別企画展「宮西達也ワアンダーランド展」~ヘンテコリンな絵本の仲間たち

  • 期間 9月19日まで  ・一般入場料 500円 中髙生200円 小学生100円
    会場には、作品原画・ラフスケッチ、ティラノサウルスの大型オブジエや人気キャラクターを配置したドーム型ジオラマ、ウルトラマンの立体パネルなどが展示されています。

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