年の終わりに・・・

 「キャー」と、これは悲鳴です。だって、もう今日は12月15日。アレヨアレヨとばかり時は駆け足で過ぎ去って、もうすぐお正月なのにヤルこといっぱい。
 そして、お正月が来たら一つ年を取らなければならないでしょ。私、いい加減年寄りだから、お正月なんて駆け足でなくって、よろめいてノロノロ来ればいいと思っているけれど、
「早く来い来いお正月」と思う人も多いのだろうから、
「アホなこと言わないで」と云われそう。ウン、これって年寄りの戯言。

 そこで、今年の映画総決算。見た映画はなんと31本。私の人生で最多新記録樹立。見たのは、ドンドンパチパチ撃って撃って撃ちまくり、敵はバッタバッタと倒れるけれど、我がヒーローには何故か全く弾が当たらないという映画で、冷静に考えると
「そんなことって、あり?」というような素敵なドンパチ映画ばかり。
 だけど、いつも、スト-リーはあっちのけでホレボレと
「スゲー! スゲー!」と感嘆符付で見ているから、1週間もたつとドンパチシーンは目に浮かぶけれど
「エーット、どんなストーリだったけ?」

 そんな訳で「スカット忘れるドンパチ映画」ばかりでしょ。それにタイトルはカタカナ語。「ワイルドカード」とか「イミテーションゲーム」とか」とか「ワイルドスピード」とか「フォーカス」とか・・・ネ、どんな映画か分かる? 分からないでしょ。見た私が分からないのだから当然です。
 だから、31本も映画を見たなんて実感なし。つらつら考えると、大枚をはたいて見たのにまるで損した気分。

 テレビでも、映画が放映されているでしょ、私、一金1,000円也を払って映画館でちゃんと見ているのに、数年後にはテレビで放映されているの見ると、怒り心頭まではいかないけれど、憤慨このうえもない。しかし、うちのかみさんに言わせると
「じゃあ、お金まで払って見に行かなきゃいいのに」だって・・・。
 うちのかみさんはいつも正論をはくけれど、世の中、そうは問屋が下さないものもあるのである。
 だけど、見ていない映画も放映されることがあるので、それは見ることにしている。私が見た映画を放映するのは「怪しからん」けれど、見ていない映画を放映するのは「許す」ことにしている。これも、うちのかみさんに言わせると
「それって、身勝手」
 エーット、これって身勝手ではなくて、私の心のままに正直に生きている証拠なんです。ハイ。

 でも、むかし昔は、テレビの番組表で映画のタイトルを見ただけで「これ見た」とパス。昔になると、途中まで見たら「ア! これ見た」と気が付きスイッチオフ。少し昔には、最後の5分くらいになると結末を思い出して「クソ!! これ見てた」となけなしの人生をムダに過ごしたと大憤慨。ごく最近になると、最後まで見ても「ン? なんだか見たような気がするな」と摩訶不思議気分。
 ここまでは、まあ良いとしても、最近は映画を見終わって「これって、間違いなく見ていない映画」とニッコリ。安心しきっていることが多いのである。
 でもね「本当に見ていなかったの?」と、うちのかみさんはのたまうのです。
 なんたって、私77歳。どうすればいいの?

 今年1年、アベノミックスの恩恵を受けた人も、アホノミックスの恩恵を受けた人も、失恋した人も得恋した人も、アレコレあったことでしょうけれど、イイことだけは心のポケットにしまい込み、あとは水に流して・・・そう、夢だけは流さないで、新しい年を迎えましょうね。
 松平盟子の短歌のように、いやなことがことがあっても振り切って、気分は颯爽と生きたいものです。

あっさりとカシミアセーター着くずして自転車に乗るように生きたし

 今年の「夢旅人」は、早々と今日で御用納めです。お忙しい合間に付き合って頂き有難うございました。来年は笑顔で迎えられますように・・・。 

* 松平盟子ーー1954年生まれ。「プチ&モンド」主宰。掲載の短歌は河野愛子賞を受賞した「プラチナ・ブルース」より。

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