東日本大震災から3年・・・。
長いようで短い3年だったけれど、3年前より復興している・・・というより、振り出しに戻ったと言うか、ようやくスタート台に立てるようになったと言えるのかもしれぬ。
5年たち10年たつと、想定外と言われた東日本大震災も、風化していくのかもしれない。だけど、東北の人たちが笑顔を浮かべたとしても、その痛みは心の中に深く重く沈み風化していくことはないのであろう。
そう、悲しみと痛みと怒りを封印したままて・・・。
どうぞ、心に春が戻ってきますように・・・
墓碑銘 吉原 幸子
返しておくれよ 時よ
わたしのあげた 微笑
わたしのあげた くちづけ
おまへにたべられて
すべてをなくした
たくさん持ってゐたから たくさんなくしたわたしは 泣かない瞳のきらきらをもってゐた
こころのように泡だつラムネをもってゐた
高い音のでる口笛をもってゐた
疲れない愛をもっていた
わたしはいま ひとつのお墓をもってゐる
―――ココニワガ ハルノヒネムル―――
※吉原幸子・・・1932年6月~2002年11月。第4回室生犀星賞受賞、掲載の詩は詩集「幼年連禱・四」より。