春である。古今和歌集で、在原業平が
「世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし」と詠ったように、桜が咲くと、心騒ぎ花見などに行かねばならぬという気がしてくる。
そういう訳で、今年も博多の舞鶴公園に、気の置けない仲間6人と・・・個人情報保護法に基づき氏名は公表できない・・・お花見に行ったけれど、桜もいっぱい、春の光も穏やかにいっぱい、広げたお花見弁当もいっぱい、蔵出し3日以内と書かれたビールもいっぱい、おしゃべりもいっぱい、のどやかでゆるやかに流れる時間もいっぱいで、春に酔ってしまった。
ところが、平日のお昼のせいもあったのだろうけれど、学生らしきグル-プもいっぱい。
若さが弾け、笑顔をがはじけ、笑いがはじけ、春に舞って青春しているのを見ると、仲間のおばさん達・・・ン? 失礼、元美人・・ではなくエーット今でも美人をさて置いて見とれてしまった。
マメリカのミステリイ作家ラリー・バインハートが『最後に笑うのは誰だ』の中で
「その子のTシャツは、羨望の目で見る大人に向かって十代の女の子がさりげなく、人生には乳房が断乎重力に抵抗する時期があることを実証してみせていた」と書いたような女の子がいっぱい居たので、見とれた訳ではない。
人生にはまだまだ先があった、あの頃を思い出して、ホノボノ感に浸った訳である。
そして、春は恋の季節。恋をすると若々しく見えるそうである。朝日新聞に載っていたけれど、東北大学の山元大輔教授は自律神経の動きから
「恋をすると、喜びや感動で脳が刺激され、脳細胞が活発に動きます。脳は自律神経に働きかける。すると、皮脂の分泌が盛んになって肌がツヤツヤして見え、瞳孔が少し開いて、黒目が潤むので目が輝いて見える。だから若いと感じるのでしょう」と云っている位だから、
ウン、張り切って恋をしましょう・・・となる訳だけれど、
「相手が・・・・」なんてションボリする必要はありません。
TVで憧れの素敵男性アイドルが出たらキャッキャッして、勝手に恋の一人相撲を取っても、脳は山元教授状態になるのだから、若々しく見えるに違いないのです。
でも、岸上大作の短歌のように
美しき誤算のひとつわれのみが昂ぶりて逢い重ねしことも
となっても大丈夫。キャッキャ恋ではなく本当の恋をしたんだから、きっと、若々しく見えたに違い有りません。うん、きっと・・・。
だから、素敵な相手を見つけたら、勝手に恋をしてみませんか・・・。
※ 岸上大作・・・1939年~1960年。兵庫県生まれ。「まひる野」に所属した。70年に「岸上大作全集」を刊行。