年の初めは大儲け

大みそかの夜のテレビはNHK。恒例の「紅白歌合戦」を最初から最後までズズズーイと見て、年越しそばを食べながら「ゆく年くる年」の除夜の鐘を聞き「明けましておめでとう」。それから零時20分から始まる武道館の「年の初めはさだまさし」を見て・・・アァ、忙しかった!!!

うちのかみさんから「いい齢をして紅白歌合戦を見るなんて、みっともない」と言われているが、カタカナ語名のアイドルグループのピチピチプリンの可愛い女の子が大勢出てきて短いスカートで足をピュンピュン跳ねながら歌っているのをマジマジ見るのが好き・・・という訳では決してない。誤解してもらっては困る。
マジ、昨年どんな曲が人気あったの? という純な気持ちで見ているだけである。ホントウである。

私の知っている歌手が大勢出演していたけれど、私のBEST3は、「矢沢永吉」と「Perfume」に「高橋真梨子」。
ダントツはなんたって「矢沢永吉」。「真実」や「止まらない」など3曲も歌って会場はまるで「永ちゃんワールド」。すっごく最高!!!
彼の歌うバラードはピカ一と思っていて、彼が80歳になった時に歌う深みのあるバラードを聞きたいと思っているが、あと4年後である。私は死ぬまで生き続けるつもりだが、まあ、あと4年後は、あの世に移住している可能性が強いので残念である。

次の良かったのは「Perfume」。私、彼女たちが2008年の紅白歌合戦に初めて出演した時以来のファンである。
初めて聞くテクノポップに連動した歌と踊りとバックの映像にたちまち魅了されてしまった。シンセサイザーにのせて歌う彼女たちの曲もその立体的な踊りも他に例を見ない独特なものでスゲーと口アングリ!!!

舞台のバックに写しだされる最先端のテクノロジーを駆使して作られたと思われる映像は、毎年ビックリっするほど進化。それを見るのも楽しみにひとつであったが、その映像を制作するのはNHKの制作部門ではなく、きっと彼女たちを支える気鋭の制作グループに違いない。

17回も紅白歌合戦に出演している「Perfume」だが、今回の紅白歌合戦を最後にコールドスリープすると新聞に報じられて、私、ガックリ。今が「旬」の時に一時停止するなんてもったいないと思うけれど、潔くって・・・ウーン、仕方がない。私が、この世に存在している時に、映像に合わせてピョンピョン跳ねて歌う姿を見せて欲しいものである。

「高橋真梨子」は「桃色吐息」を歌った。彼女の切なくまろやかな歌声に魅せられてデビュー曲「ジョニーへの伝言」以来のファンである。
特に「For you」の歌詞のなかの「あなたが欲しい」のさわりの部分を聴くと、まるで私に向かって歌っているように聞こえて、すこぶるイイ気分になる。

あとは、「Vaundy」の「Tokimeki」。曲も良かったが、会場の盛り上げ方が凄く、「AKB48」の「20周年ヒットメロデー」はめちゃめちゃ可愛い。NHKテレビ朝ドラ「バケバケ」の主題歌「笑ったり転んだり」を歌った「ハンバート ハンバート」も出演した。以前から活動している夫婦デュオらしいが、名前を聞くのも初めてステージで見るのも初めて。超ドハデな紅白歌合戦のステージだが、とっても素朴な歌声に心が温まる気がした。

今年の「紅白歌合戦」は男性チームの勢いが良かったし、男の子のアイドルグループの踊りの切れが良かったので、予想通り圧倒的な差で男性チームが優勝。女性大好き人間の私にとって残念な結果になったが来年に期待しよう。

「紅白歌合戦」に続いて見た「年の初めはさだまさし」は、アハハハと「笑い始め」の連続。
月末の23時45分から1時15分まで放映される「今夜も生でさだまさし」を毎月ズーット見ているが、私、「遅寝遅起き」を得意にしているのでいつも最後まで見ている。
「年の初めはさだまさし」は2時20分まで放映されるのだか、ところが2時近くになると眠たくなってダウン・・・なんたることぞとア然&愕然!!!
私、今年88歳になるすこぶる付きの年寄。なんたって1年に1回の武道館。ひょとしてひょっとしたら大変と思って録画していたのであるが、不幸にも的中してしまった。齢はとりたくないものである。

年の初めは恒例の初詣。毎年三社参りをして、必ずおみくじを買うことにしている。もちろん大吉狙いであるが、三社お参りしても大吉が出ないときは追加してもう一社お参りしたいところだが、神様の顰蹙をかいそうなので我慢している。

ところが、今年は最初お参りした神社でなんと大吉。凄い!!! 
あとの二社では、念願を達しているのでむろんおみくじは買わない。一金200円払わずにすんだので、心もポケットも大儲け気分、私、ニコニコ。

今年の初めはいいスタートをきれてご機嫌の私。
あなたは、いいスタートをきれましたか?

負けてたまるか・・・

あけましておめでとうございます。
本年も「夢旅人」をどうぞよろしくお願いいたします。

新しい年の幕開けに、松尾芭蕉の一句をそっと胸に置いてみます。

「初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也」

しぐれに濡れた猿が、小さな蓑を欲しがっている――
なんとも愛らしく、そしてどこか人間くさい光景です。
お正月早々、私も同じ気持ちになりました。
寒空の下、初詣に向かう途中で「もっと暖かいコートが欲しい」と思ったのです。
猿と私、進化の距離は遠くとも、物欲の距離は案外近いようです。

とはいえ、元旦は不思議な日で、
新しい手帳を開いただけで「今年は何でもできる気がする」
鏡餅を見ただけで「今年は丸く穏やかに生きられそうだ」
そんな根拠のない自信が湧いてきます。

初夢はまだ見ていませんが、
どうせなら宝船に乗るより、
猿と一緒に蓑を探す旅のほうが、
私らしい気もしています。

本年も、ささやかな日常の中にある“旅”を、
ユーモアと少しの詩心を添えて綴っていきます。
どうぞ気軽にお付き合いください。
皆さまにとって、笑顔の多い一年となりますように。

夢旅人の新年のご挨拶、上手に書いてあると思われましたか?
「ハイ」だって・・・本当? 信じられない!!!

だって、この文章、ChatGPTが作成したプログなんです。私がChatGPTに
「森荘八のプログ  夢旅人  の1月1日に掲載する原稿を、お正月にちなむ詩を引用してユーモアを交えて書いてください」と入力した途端、上記の文章が打ち出されてきて、私、唖然・・・。

私、ここだけの話だけれど、この「夢旅人」の原稿を書くのに四苦八苦しているのに、なんとChatGPTは即時に書いてしまいました。開いた口がふさがりません。
「こん畜生」と、添削してケチをつけてやろうとしたけど・・・ウーンお手上げ。
こんなことってある? 私っていらないってことなの?

このままで夢旅人に掲載しようと思ったけど、ここでAIにまけたら男がすたる・・・エート、人間がすたるという訳で、「森荘八そっくりさんの新年のご挨拶」に対抗して「正真正銘の森荘八の新年のご挨拶」をお送ります。
ウーン、「森荘八そっくりさんの新年のご挨拶」の方が良いなんて言わないで下さいね。絶対にお願い・・・。


今日は1月1日のお正月。1月1日と言ったって昨日の続きで何ら変哲のない日だけれど、なにはともあれ

あけましておめでとうございます

NHKの朝ドラ「ばけばけ」の主題歌「笑ったり転んだり」の歌詞に

毎日難儀なことばかり 泣き疲れ眠るだけ
そんなじゃダメだと怒ったり これでもいいかと思ったり
ーーーーーー
日に日に世界が悪くなる 気のせいかそうじゃない
そんなのダメだと焦ったり 生活しなきゃと座ったり

と、あるように理屈で割り切れるものばかりじゃないのが人生のつらいところですが、今、生きずいていることを疎かにせず、人生に恋して日々を重ねていきたいものです。

ところで私、今年なんと88歳。暦は確実にページをめくり、目出度く米寿を迎えることになりました。でも、目出度いとはいえ、人生の棚卸しをする時が迫ってきたようです。
88を漢字で書くと「八十八」。私の名前は「荘八」。なんと末広がりの「八」の字の三つ揃い。きっと「イイコト」が沢山あるに違いありません。
エート、宝くじでウン億円当選するとか、とびっきり素敵な女性に出会うとか、「夢旅人」の今のアクセス数4万件~5万件が8万件にアップするとか・・・私、ニコニコ幸せいっぱい。

エ? 何?「ムリ、ムリ、みんなダメ」だって・・・。だって、末広がりの三つ揃いですよ。ひょっとしてひょっとするかもと思わない?

新しい年です。高田俊子の詩「新しい年への願い」にあるように、小さなことでもいいから、心薫らせて日々を過ごすことが出来たらいいですね。。

新しい年への願い(抜粋)  高田俊子

夜の雪が歩き慣れた道を新しくするように
見慣れた風景をまばゆくするように
私の夜にも雪をふらせよう
ーーーーーー
日に光 風の音 日々を新しくうけとめて
嬉嬉ととして私の小径をゆくことこそ
新しい年への 私の願い

お忙しき日々をお送りのこととは存じますが、チョッピリでも時間がありましたら、「夢旅人」をよろしくお願い申し上げます。

※1 高田俊子ーー詩人。1914年~1989年。詩集に『月曜日の詩集』
※2 このプログの「ご挨拶」の頁の末尾に、今年の年賀状を掲載しています。私の近況など綴っていますので、是非ご一読のほどお願い痛します。

 

コップの中の嵐

あれよあれよという間もなく、もう12月も終わり。街にクリスマスソングが流れるとなぜか心弾み、市内で繰り広がれるクリスマスを彩るイルミネーションを見ると華やか気分になるけれど、世界はブルー。
ロシアは占領した土地は俺のものだと言い、イスラエルは、見境もなくカザにミサイルをぶっ放し、ともになすがままの状態。民主主義国家から権威国家に変貌したアメリカは世界に顰蹙を振りまき、地球上で自然もいたるところで異常をきたし、今年はイイコトなしみたいです。

それに比べると、わがニッポン国はまだマシの方かもしれません。
男性が幅をきたしているわがニッポン国に女性総理が誕生!!!
万々歳といいたいところですが、ワーク・ライフ・バランスの時代なのに「働いて」の五重奏を唱えるし、原子力空母 「ジョージ・ワシントン」に乗船し笑顔で手を振って、私、ビックリ&ドッキリ&愕然・・・などと言ってはいけません、わがニッポン国のソーリですから「サスガです!!!」と言わねばならないでしょう。

だけど「台湾有事」に関して建前をほっぽり出して、つい本音を吐いて大チョンボ!!!
おかげで、中国から嫌がらせが続出。戦闘機からも嫌がらせを受けるなんて、とんでもないことまで起きてしまいました。
でも、本当のことを言ったんですから、ここで「取り消します」なんて言ったら、本当にことが起きた時に何も出来なくなるから言える訳がありません。

台湾を中国が侵攻するとなった時に、アメリカもそれに対応し「台湾有事」となって、わがニッポン国も何らかの対応をすることになったら、中国は台湾=アメリカ=日本となり、日本が台湾に味方するということは、中国相手に戦争をするということになる訳ですね。
わがニッポン国は、中国に「宣戦布告」をした訳でもないのに、中国からみると戦争に加わったとみなし、わがニッポン国にミサイルが飛んでくるかもしれません。
高市総理、その覚悟があるんでしょうね。

新任の鈴木農林大臣は、物価対策としてお米の値段が高いから買いやすいようにと「コメ券」を全国民に配布すると発表しました。お米券は1枚440円。10枚貰って4400円。お米5kg買いました。ハイ、これにて終了。・・・ウーン、それって物価対策?
ン? 高いお米が売れなくなると困るという、販売業者の手助けをするってことじゃないの?
農林大臣ですから、高いお米でも誰もが買えるように配慮してくれるより、高いお米の値段を安くすることを考えてもらいたいものです。

まあ、でもわがニッポン国は、世界的に見れば「コップの中の嵐」。これでも、わがニッポン国って平和な国なんです。
わが森家一族は「コップの中の嵐」もなく、無事に1年を過ごすことができました。
でも、私って87歳のすこぶる付きの年寄り。毎年マジに見ている紅白歌合戦も、シルバー川柳にあるように

紅白を 見ているうちに 眠りけり

という状況を呈するようになって「コップの中のさざ波」が起きるかもしれません。

今年の夢旅人も、今日でTHE ENDです。今年1年お忙しきところ、飽きずにお読みいただき有りがとうございました。
来年も「お年寄りをいたわりましょう」のボランティア気分で、よろしくお付き合いいただければ大大感謝です。

では、心いためることが渦巻いて眠れぬ夜を重ねたこともあったことと思いますが、Deleteキイを押して、来年は素敵な年になりますようにお祈りいたします。

素敵あふれて

吉永小百合さんが出演した映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」が公開されるとあって、メディアに吉永小百合さんがあちこちで登場した。

この映画は、50年前に世界で女性初のエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんの一生を、吉永小百合さんが演じた映画である。
弾が飛び交うドンパチ映画専科の私にとって、ハラハラドキドキシーンのない地味な映画だったが、吉永小百合さんが出演する映画は無条件に見に行くことに定めてあるから仕方がない。
でも、この映画の意味深なタイトル「てっぺんの向こうにあなたがいる」って、見に行こうって気にならない?

文芸春秋の11月号で、吉永小百合さんが「夫の看病をしながら撮影に出かけました」のタイトルで、撮影にかかわるエピソードを書き、朝日新聞10月25日の一頁広告に映画の公開記念スペシャルインタビューが掲載されました。この広告の見出しが「今は山で例えると8合目 これからが面白いと思う」です。
ウーン、この広告の見出しも吉永小百合さんにピッタリ。映画や雑誌のタイトルにしろ新聞の見出しにしろ、意表をつく長いタイトルを付ける吉永小百合さんってスゴイですね。

吉永小百合さんがパーソナリティーをしていたTBSラジオの「今晩は吉永小百合です」で田部井さんと対談したことがあるそうです。その時、田部井さんがピアスをつけていたのを見て、初めて吉永小百合さんもピアスをつける気になったとのこと。
それまでピアスをつけていなかったなんてビックリ。ピアスをつけていなっくても、吉永小百合さんっていつもお洒落!!!

テレビ番組で見たのは、9月28日にテレビ東京系で2時間20分の昭和100年特番として「池上彰×吉永小百合」。
昭和100年で起こったいろいろな出来事に吉永小百合さんを結び付けての対談で知らないことがいっぱいあって、認識を深めることができました。

10月19日のテレビ朝日系の番組「有働Times」に有働さんとのスペシャル対談が放映されましました。
私、もともと有働さんのファン。その有働さんと吉永小百合さんの素敵二人の対談でしょ。すっごく暖かかなムードが流れていてホノボノ気分になって見ることができました。

時々テレビのインタビューなどに吉永小百合さんが出演した時、「女優 吉永小百合さん」と思って見ていたけど、今度見たみた2本のロングインタビューでは飾り気のない吉永小百合さんが登場。女優吉永小百合さんよりすっごく素敵でした。きらきら輝く眼の表情・・・とっても印象的。

映画の中で、吉永小百合さんがチャリティーショーに登場する場面があり、赤いドレスを着て「You Raise Me Up」という曲を歌ったのでビックリ。今の吉永小百合さんの歌声を聴く機会がなかったでしょ。
私は、吉永小百合さんの「60周年記念BOX」という5本組のCDを時々聴いていますが、あの優しい歌声はまったく変わらず、すっかりうれしくなりました。

映画で、田部井淳子さんが「東北の高校生の富士登山」プロジェクトを立ち上げて、映画でも吉永小百合さんが富士山に登るシーンがありました。実際に8合目まで登ったそうです。80歳近い年齢の彼女が8合目まで登ったとはビックリ。

私はスポーツダメ男なんですね。小学校のころ、鉄棒の懸垂で1回も上がったことがない新記録を立てた時以来、私、自他ともに許すスポーツ音痴。ゴルフのハンディは90。これはハーフで、です。ゴルフ参加15回目に、もうムリムリと誰も悟って誘わなくなりました。幸せ・・・。

それで、スポーツで唯一できるのは登山(夢旅人投稿欄の〝空の彼方の空遠く〟参照のこと)です。と、いってもハイキング程度。そこで、花の東京で華の単身生活を過ごしていた頃、富士山に登ったことがあります。
吉永小百合さんと同じように8合目まで登って山小屋泊まり、翌日頂上という計画だったけど、その時、私、58歳。吉永小百合さんって80歳近い年齢での登山でしょ。私、ハアハアフウフウ言いながらなんとか8合目に着いたけど凄いですね。頭が下がります。

テレビ番組の「池上彰×吉永小百合」で、55年前の大阪万博の時に吉永小百合さんがイベントについて意見を求められたそうである。その時「広島と長崎の原爆に関するイベントを」と提案したけど何故か「ボツ」。
吉永小百合さんが40年も続けている原爆詩の朗読の原点は、55年前からあったんですね。

この番組の最後に吉永小百合さんが「どんなことが戦争の時に起こっていたのか知ってもらって、次の世代に、次の未来に生かしてもらわねば・・・」と、話されていました。

私、終戦の時に小学校1年生。戦争のことはまったく知りません。でも、私も戦争のことを忘れてはいけないと、毎年8月15日の「夢旅人」に戦争や原爆にかかわる詩を掲載しています。
第1回目は、2004年8月15日の「一本の鉛筆」。美空ひばりが、
「一本の鉛筆があれば 戦争はいやだと 私は書く」と歌っています。「反戦歌を美空ひばりが?」と思われる方は、この「夢旅人」の2004年8月15日号を読んでくださいね。

涙なくして 2

ウクライナやガザの惨劇をはじめとして、世の中は無常にして悲惨なことがいっぱい、涙なくしてはいられません。

トランプさんは、大統領になったら即時争いを止めさせると大言壮語していたけれど、ロシアもイスラエルも聞く耳を持たずやりたい放題。
むかし昔、世界のどこかで紛争が起きたら、国連が国連軍を派遣して戦いを収束させていたものだけど、世界の警察と名乗っていたアメリカも身を引いて、今や、弱肉強食の時代に戻りつつあるような気がします。

せめて、このプロブ「夢旅人」のハードボイルドの世界に浸って、現実世界の「涙なくしてはいられない」ことから、ちょっぴりでも離れてみましょうね。
と、言うことで今日の「夢旅人」は「ハードボイルドに恋をして13」の「涙なくして」の続編です。

悲 惨

家は木造の二階屋で、冷淡な医者が生命維持装置をはずすのを待っている末期症状の病人のようだった。要所にもたりかかりでもすれば、医学部のほこりにまみれた骸骨標本みたいにばらばらに崩れ落ちるだろう。
早川書房「秋のスローダンス」フィリップ・リー・ウィリアムズ/坂本憲一訳

(ボビーは)
いつも咳をしていた。五臓六腑が痛むこともあって、夏の夜空を引き裂く彗星のように激痛が体を駆け抜けると、目を見開き、胸や腹を押さえた。年齢は34。本当の人生はこれからだったのに、もうすっかり老いさばらえていた。
早川書房「死の蔵書」ジョン・ダニング/宮脇孝雄訳

私は網戸を押し開けて入った。家の中は残飯、汗、煙草の煙、失われた人生のにおいが入り混じった汚臭に満ちていた。
早川書房「スターダスト」ロバート・B・パーカー/菊池光訳

(ピストルをかまえようとしたが)
あまりにも失意と挫折の雰囲気を漂わせているので、バナナよりも驚異的な物を突きつける必要はないように思えた。
早川書房「最高の悪運」ドナルド・E・ウエストレイク/木村仁良訳

「ルイス、悲惨そのものといった姿だな」
早川書房「黒いスズメバチ」ジェイムス・サリス/鈴木恵訳

つらつら思うに、これは瀟洒な一戸建てでの暮らしから路上生活へ転落したといった生やさしいものではない。下水溜めへの転落に例えるべきものであろう。
早川書房「お熱い脅迫状」H・フレッド・ワイザー/仙波有理訳

残 念

(若い女がボクシングのリンク上で第4ラウンドと書いたブラカードを示していたが)
彼女がわれわれに示していたのはただそれだけではなかった。なにぶん彼女の着ていたものが、余分なものを一切省いたコスチュームだったので。テレビの視聴者はそのショーは見られない。彼女が自らの持てるものを世界に示しているあいだ、テレビの視聴者はビールのコマーシャルを見ているのである。
二見書房「倒錯の舞踏」ローレンス・ブロック/田口俊樹訳

(酒びたりのミロに対しダフィーが)
「あなたは少し下品で、不幸な方なんですね?」
「それくらいなら、まだ救いようがあるんですがね」
早川書房「酔いどれの誇り」ジェイムス・クラムリー/小鷹信光訳

ホウムビー・ヒルズはロスアンジェルスの最高住宅地で・・・裕福な富の小さなポケットである。わが家とは、経済的には何光年も離れているが、真南にわずか1マイルのところに位置している。
新潮社「サイレント・パートナー」ジョナサン・ケラーマン/水澤和彦訳

アビゲイルは20分遅れたが、真に重要なときでもないかぎり必ず遅れるスーザンに訓練されているので、私は落ちついていた。
早川書房「プロフェッショナル」ロバート・B・パーカー/加賀山卓朗訳