罪なき嘘は許して・・・

元安倍総理大臣のアレコレについて、官界のオエライさんたちが、忖度をただよわせながら
「記憶にありません」を連発したことがあった。

私「嘘か本当か」の二者択一しかないと思っていたが、官界のオエライさんたちは「本当のこと」を言うと、エイエイと築いてきた地位がフッ飛ぶ可能性があるし、「そんなことはありません」とウソっぽい答えをすると、世間から胡散臭い目で見られそうだから、「記憶にありません」という名言を思いついたらしい。

わがニッポン国をになう官界のオエライさんって「なんと頭が良いんだ」とすこぶる感服!!! わがニッポン国はこれにて安泰かも・・・。

むかし昔「嘘つきは泥棒のはじまり」と云われたものですが、童謡作家の富谷陽子さんが、講演会で

ホラは他人を喜ばすためにふくもの、ウソは自分のためにつくもの

と話されたことがあります。

官界のオエライさんが「記憶にありません」というようなミエミエのウソをつくのはダメですが、「ウソも方便」という言葉もあります。どうせウソをつくのなら、罪のないウソをついてくださいね。

そこで、今日の「夢旅人」の「ハードボイルドに恋をして11」は「ミステリアス」のシリーズです。最初は「嘘」。

 

「大丈夫」僕はいった。社交辞令としてのささやかな嘘だ。
二見書房「ピンク・ウォッカ・ブルース」ニール・バレット・ジュニア/飛田野裕子訳

(父のことを葬儀でほめそやすので)
「・・・なぜ飲んだくれだったと言わないのだろう。そう言ってくれれば、少なくとも父のことを言ったことになるのに、わたしたちがこれから埋葬する人が誰かがはっきり自覚できるのに、と思ったわ。ときどき母を打った、となぜ言わないのだろう。おおむね善人だったというのはいい。でも一生を通じて来る日も来る日も善人だった、瞬時たりとも悪人ではなかった、とは到底言えない人だったわ」
扶桑社「最後に笑うのは誰だ」ラリー・バインハート/工藤政司訳

(シーモンが弁護士に嘘をついているのを思い浮かべると)
あたしのためにやってくれる。もう相棒みたいなものだ。・・・あたしがシーモンのために嘘をついたこと、シーモンがあたしのために嘘をついたことを考えた。お互いのために嘘をつく人間のあいだには絆がある。
おかしいのは、シーモンが嘘をつくとみんなが信じたのに、あたしがほんとのことを言ってもめったに信じてもらえなかったことだ。
早川書房「汚れた守護天使」リザ・コディ/堀内静子訳

(葬儀で)
牧師は火葬係とともに現れた。言葉巧みでいんちき臭く、おそらく見習い期間を百科事典のセールスマンでもして過ごしたのだろう。残念ながら故人を知る光栄に浴していなかった、と牧師は言い、それを証明し始めた。
東京創元社「夜の海辺の街で」E・C・ウォード/小林祥子訳

「命をかけて誓うわ・・・あんたに嘘はつかないわ」
モレリの口の片隅がほんのわずかに吊り上がった。
「おまえならローマ法王にだって嘘をつくだろうさ」
あたしは十字を半分りかけていた。
「あたしは嘘をつくことはほとんどないわ」絶対に必要なときだけよ。それから、真実が妥当だと思えないときもだけど。
扶桑社「あたししかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ/細野遥子訳

(トップレス・クラブに行こうと誘ったため)
・・・トップレス・クラブについて一席ぶつはめになった。孤独な男たちが制限つきの環境の中で、安全に女性とある種の相互影響を受け合うところだ、とぼくは説明した。エミーは納得せず、それよりも自分の家に行きたいといった。
早川書房「破産寸前の男」ピーター・パーセルミ/齋藤数衛訳

そこで、アメリカの嘘にかかわるジョークをご紹介しましょう。

帰宅が遅い理由として「今夜も残業があって・・・」というのをひんぱんに使うと妻は疑い始める。
小さな子が母親に聞いた。「おとぎ話って、〝昔々〟で始めるものなの?」
母親はちょっと肩をすくめて言った。
「いいえ、きょうは残業があってねえ、で始まることもあるのよ」

酒場で二人の男が話している。
「この間、珍しいものをみたぜ。ウソ発見器というやつだ」
相手は吐き出すように言った。
「おれはそういう機械と結婚しているよ」