目出度くもあり?のお正月に

今日は、平成最後の年のお正月。

一休和尚さんは「正月や 冥途の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と詠んだけれど、私、すっかり年寄でしょ。同感、実感、すこぶる賛成。「そだねー」と言うものの、一見太平の世の中ですから、ここは、つべこべ言わず

明けましておめでとうございます

私、後期高齢者を卒業し、昨年80歳になって「末期高齢者」の仲間入りをしましたので、冥土の旅の一里塚に目出度く到着したのに違いありません。

あと85歳の「終期高齢者」にたどり着くか、それとも90歳の「終幕高齢者」までしぶとく生きのびるかわかりませんが、いずれにしろ杉田なにがし先生の言われた「生産性」のない人間ですから、「ボーと生きてんじゃねえよ!」と言われないように、今年も到来する「災害級の暑さ」にも負けず、「半端ないって」と言われるように・・・エーット、これ無理?・・・過ごせたらいいと思っています。

そう、出来れば、小学校3年生の時プールで事故に遭い、徐々に失明が進み20歳で完全失明した詩人宮脇欣子さんの詩「積木」にあるように・・・。

積木    宮脇欣子

あすの日に 昇る朝日があるように

わたしの未来にも よろこびの声に目ざめる

朝の訪れが必ずくることを信じ

わたしは 今日の日を生きていく 積み重ねては築きいく

積木のように わたしは わたしの人生を

一つ一つ力一杯 積み重ねていく

今日という この日を 色づかせながら

あすの日に 咲く花があるように

わたしの未来にも 幸せの花があざやかに咲き

ほころぶ日の訪れが必ずくることを信じ

わたしは 今日の日を生きていく

踏まれても 踏まれても 芽を出す 雑草のように

わたしの人生を 一歩一歩力強く 歩いていく

苦しみと手をとり 語りあいながら

※ 宮脇欣子ーー昭和51年第1回わたぼうし音楽祭作詞部門入賞。毎日新聞社賞受賞。掲載した詩は詩集「だから お母さん」から。

※ 「ご挨拶」の頁の末尾に、近況報告を兼ねた私の年賀状を掲載しておりますので、是非お読みくだされば幸甚です。

心に虹を

もう今年もあと15日で終わり。平成最後の12月です。そして平成最後の年の7月に、私、他称「目出度くもあり」、自称「目出度くもなし」の80歳になりました。

私は、昭和の代に生まれ平成の代に生きて、次のナントカ年号の代に死すとなる訳で、なんと3代にわたって生きてきたことになるんですね。

大正時代に生まれ、昭和を経て平成と3代にわたって生きている人を見ると、なんだか貴重品的な存在に見えるけれど、私もあと10年も生きていると、

「あの人、昭和の生れだって・・・。まだ、しぶとく生き残っているみたい」と若い人からは、私、とってもジジーだから骨董品的人物に見えるに違いありません。残念!!!

だから、骨董品的存在に見られない内に、さよならしたいと思うけれど、これって神様の思し召しでしょうから、赤ちゃん化して生きていくかもしれません。

そして、他称「目出度くもあり」の80歳になったのに、何故、自称「目出度くもなし」と言うのかというと、80歳になったというのに、アホみたいに忙しかったんです。

手帳をつらつら見ると今年休めた日は、1ケ月最大で9日、10月は5日、11月は6日だけという「お年寄りをいたわりましょう」精神はコレッポチも見られない日々を送っているんですね。

私、老人クラブ会長と、その上部団体の老人クラブ連合会の会計の他に、合唱団「北九州をうたう会」の事務局長も引き受けているでしょ。今年は合唱組曲「北九州」が誕生40周年を迎えるとあって、これの記念事業のために東奔西走$粒粒辛苦・・・。でも、これって身から出たサビ。仕事を引き受けた私が悪いんですね。文句は言えません。

今年1年、時間に追われっぱなしでアタフタ&オタオタしたけれど・・・でもまあ、眠れぬ夜を重ねることはなく、ハッピイな1年だったと言えるかもしれません。

でも、先の見えない時代に泳がされ心凍らせて、谷川俊太郎の詩「絶望」にあるような人もいるに違いありません。

でも、来年は年号も変わります。過ぎ去った日々をリセットして新たな出発の年になりますように・・・。

    絶望    谷川俊太郎

絶望していると君は言う

だが君は生きている

絶望が終点ではないと

君のいのちは知っているから

 

絶望とは裸の生の現実に傷つくこと

世界が錯綜する欲望の網の目に

囚われていると納得すること

 

絶望からしか

本当の現実は見えない

本当の希望は生まれない

君はいま出発点に立っている

 

今年もこのプログ「夢旅人」を読んでいただき、ありがとうございます。今年の冬も、温暖化とは関係なくサームクってツメタークなるみたいですが、お元気で良いお年をお迎えください。

来年もというか、来年こそはというか、心に虹をかけ笑顔あふれる年となりますように・・・。

 

※ 掲載した詩は朝日新聞出版の詩集「こころ」より。

素敵に音楽を

街はイルミネーションに輝き、クリスマスソングが流れて、なぜか心も弾んで何かイイことありそうな気がする。

でもね、セチがらい世の中、そんなにイイこと有る訳ないと思うでしょ。

それが、私,あったんですね。

私の音楽遍歴は、我が青春の頃のオールデイズに始まり、エルビスから(ビートルズはパス)ジャズにそれもモダンジャズに移り、それからはフォークにニューミュージックと流れて・・・エーット、その頃からは、私、オヤジ化して音楽遍歴は中島みゆきと井上陽水でストップ。

それからは、ジャンルに関係なく単発で渡辺美里に小比類巻かほる、竹内まりやに今井美樹に高橋真梨子にドリカムに平原綾香が好き。

何故か、女性のシンガーばかりだけれど、これは私が男性だから仕方あるまい。

ところが、先月のNHKTVで、私の贔屓筋の平原綾香が24日のSONGSにデビュー15周年を迎えて登場、そして26日にはドリカムが大阪万博の「太陽の塔」の下でおこなったスペシャルライヴを放映。

TVに私の贔屓筋の歌い手さんが続けて二人も登場するって凄いでしょ。嬉しくてシミジミとホレボレとウットリと見とれながら聴きました。

ドリカムの吉田美和とってもキュートなうえに、歌っている時の天真爛漫風の振り付けも大好き。「太陽の塔」と共演するとなんて発想は、さすがドリカム。凄い!!!

平原綾香は、顔も好き、声も好き、みんな好き・・特に低音の素敵なこと!!!

そしてイイことの極め付きは、なんとクイーンなんです。

NHKの17日のSONGSになんとクイーンが登場。私、ロックと演歌は苦手なので、クイーンで知っているのは「ボヘミナン・ラプソデイ」ぐらい。だから第三者的雰囲気で見ただけなんだけれど、新聞やTVで映画「ボヘミナン・ラプソデイ」を、むやみと取り上げだしてきたでしょ。もうびっくり。

それで、世間の話題についていかなきゃと思い、映画を見に行った訳だけれど、ラストの21分にわたるチャリティコンサート「ライブ・エイド」のシーンが映し出された途端、私、80年の人生で涙も枯れ果てたと思っていたのに、何故か胸キュン、目がウルウルしてきたのである。

エンドロールが流れてきてもウルウル。涙目で映画館を出るなんて・・・。

これって、何故?

 

 

ご機嫌いかが

「ハードボイルドに恋をして」の第7弾は「ご機嫌いかが」です。

あなたのご機嫌はいかかですか?

フン、いいことないでしょ。なけなしの財布は落とすし、かみさんの機嫌は悪いし、パソコンは固まってしまうし・・・どうしてくれる?

それじゃ、このプログの「笑い」と「喜び」を読んで機嫌を直してください。

笑 い

一瞬、笑いたそうに見えたが、そういう贅沢にふけるのはやめたらしい。

東京創元社「マンハッタン・ブルース」ピート・ハルミ/高見浩訳

彼女はベッドまで大事に持っていきそうな微笑を向けると、そのまま、身をひるがえして部屋から出ていった。

早川書房「感傷の終わり」スティーヴン・ブリーンリーフ/斎藤数衛訳

自分としては、最高に魅力ある笑みを浮かべた。子供っぽく、あけっ広げな笑み。さしじめ、ミスタ・ほのぼの、といったところだ。

早川書房「約束の地」ロバート・B・パーカー/菊池光訳

私は顔に微笑を着ているわ。あけっぴろげの子供っぽい微笑を顔いっぱい浮かべているわ。

講談社「夏服を着た女たち」アーウィン・ショー/常盤新平役

ジャーマンは例によってまたスタンウエイのピアノみたいな微笑を浮かべた。つまり88本のキイならぬ歯が全部見えたというわけなのだが、いささか暖かみのない笑い方だった。この男はまるで人間味というものを、通信販売の用具セットから学んだみたいなのだ。

早川書房「身代金ゲーム」ハエワード・エンゲル/中村保男訳

(スーザンの)その笑みがきいた、いつの場合もそうだ。スーザンの笑みは、テクニカラー、シネマスコープ、ステレオフォニック・サウンドだ。わたしは、下腹の筋肉がこわばるのを感じた。彼女がほほえむといつもそうなる。彼女の顔をじっと見ていると、いつもそうなるのだ。

早川書房「約束の地」ロバート・B・パーカー/菊池光訳

・・・ようやくあるクラスメートから彼女を紹介してもらい、彼女に微笑みかけた。ヴィヴィアンからはじめて受け取った反応は、そのとき返してよこした微笑だった。そしてそれが、彼の運命を封印した。

早川書房「長く冷たい秋」サム・リーブス/小林宏明訳

老人はこちらを見てにこにこした。しきりにうなずいている。練習した気配が濃厚なほほ笑みである。そのままつづけていたらさぞかし顎が痛むと思われる笑顔だった。

早川書房「凝り屋のトマス」ロバート・リーヴス/堀内静子訳

「きみを見ていることに乾杯」

彼女が微笑した。「ウワー」といいたくなるような微笑だったが、世慣れた私が口に出してそんなことをいうわけがない。

早川書房「ユダの山羊」ロバート・B・パーカー/菊池光訳

上手に年をとった肉感的な女性だった。・・・口のまわりには笑いじわがあった。--これまでの一生の道すがら、おもしろいものにでくわすたびに笑うことができたのだ。

早川書房「ハリーを探せ」リチャード・ホイト/浅倉久志訳

喜 び

(競馬で勝って)「取ったのよ、取った、取った」叫びながら、〝これでいいのよ、人生はすてき〟式の抱擁の手をレイのほうへのばした。

文芸春秋「鮫とジュース」ロバート・キャンベル/東江一紀訳

あの子は俺の喜びだった。ブロンドに包まれた小さな喜びそのものだった。そりゃ愛らしくって、はかなげだった。あんまり強く抱きしめたら、壊れちまうんじゃないかと怖いくらいだった。

講談社「笑いながら死んだ男」デイヴィッド・ハンドラー/北沢あかね訳

フルタイムの仕事にもありついたし、フルタイムのボーイフレンドもできた。いずれも2年ぶり以上のことだ。テスの人生はビールのコマーシャルのような、いつもパーティというものではないかもしれないが、インターナショナル・コーヒのコマーシャルのような落ち着いた感じになっている。

早川書房「チャーム・シティ」ローラ・リップマン/岩瀬孝雄訳

(捜し物の仕事を依頼したいので)「千ドル出す」とスパイロ。「発見料だ」

心臓の数泊分、時間が止まった。そのあいだ、あたしの脳みそはどんちゃん浮かれ騒いでいた。・・・あたしは声をひそめた。「で、何を探してるの?」

「棺桶だ」スパイロがささやき返した。「棺桶24個」

扶桑社「あたしにしかできない職業」ジャネット・イヴァノヴィッチ/細美遥子訳

(フットボールの)チケットをもらった。45ヤード・ライン。おまけに、鼻血の出るほど空気の薄い席じゃない。

早川書房「ハリーを探せ」リチャード・ホイト/浅倉久志訳

西郷どんで秋模様に

ジャイアンツの出ない日本シリーズ。アホらしくって、私、黙して語らず。

街は爽やかに秋色を装っているのに、私の心はすっかり冬色を装ってプンプン。

と、言うことで心機一転すべく、

北九州市立文学館で10月27日に開催された第27回特別企画展「描かれた西郷どん展」の開会式に、私、出席。

無論、文学館の今川英子館長が、美人で頭が良くって話がお上手だから、出席した訳ではない。

私は、むかし昔のその昔から、NHKTVの大河ドラマと紅白歌合戦は、内容の如何にかかわらず、何故か見なければならぬということになっている。

そう、そこで今年の大河ドラマは「西郷どん」・・・エート、「西郷どんって誰?」という人に一言。これは「せごどん」と読みます。

だから、モチ、ドラマを見て西郷どんがすっごく好きになったから開会式に出席した訳です。ハイ。

「フーン、それって怪しい」って? 「美人の館長さんが好きだから出席したのでしょ」って・・・。何たる大誤解!!! 私、れっきとした年寄りでしょ。建前から云えば、好きなどと云う俗っぽい世界を超越した存在になっているんですから・・・。

開会式には、北橋市長と今川館長の挨拶の後、大木NHK北九州放送局の挨拶があったけれど、なんと「西郷どん」の視聴率は、九州は高いけれど東京は低いとのことである。

上野公園の犬を連れた西郷さんの銅像を見ても、東京の人は「あの人は誰?」と聞くこともせず、セカセカと通り過ぎているのでしょうね。視聴率が上がらないのも仕方ありません。

この展覧会は、並みの展覧会と一味違って、西郷さんを描いた肖像画や錦絵、文学、漫画や商品パッケージ、キャラクターなどを通して、西郷さんのイメージを探るという展覧会である。いろんなジャンルに描かれた西郷さんを見てビックリ!!! あのデカイ目の西郷さんって、アーティストや作家たちの興味をそそる存在だったんですね。

この展覧会の発想、凄いでしょ。これって、美人の今川館長の・・・エート、誤解を呼ぶから形容詞を省いて・・・今川館長の発想に違いありません。

特に驚いたのは、西郷さんの肖像写真は1枚もないんだって・・・。あのデカ目の西郷さんの顔は、イメージをもとに描かれたものらしく、作者も不明だとのことですが、西郷さんの太筆で大きく書かれた直筆の書「五言律詩」を見ると、西郷さんの肖像画にピッタリ。

あの肖像画も上野の西郷さんの像も、本物そっくりに違いありません。

開会式が終わって、北九州市立大学准教授の生住晶大さんの「錦絵のなかの西郷どん」という記念講話がありました。錦絵といえば江戸時代、西郷どんとはまるでミスマッチと思えるけれど、これもびっくり!!!なんといろいろ取り上げられているんですね。西郷どんは、大衆の人気者だったんです。

と、いう訳であれこれ書いたのは、東京の人もNHKTVの「西郷どん」を見てファンになって貰おうとの下心。脚本は、あの有名な外科医大門未知子のセリフ「私、失敗しないので」のTVドラマを書いた中園ミホさんですから、見てソンはありません。

ウン、この展覧会のおかげで、私の心も秋模様になりました。

 

※ 「描かれた西郷どん展」も見にいってくださいね。

10月27日~12月16日 : 北九州市立文学館(北九州市小倉北区城内4-1 ℡093-571-1525)