生きているということ


お正月がきた。

と、いう訳で世間的には

明けましておめでとうございます。

と、なるけれど、残念無念! 口惜しい! ことには、私、今年はなんと「傘寿」になるんです。

皆さんは「傘寿」なんて、ほど遠い世界の話と思っているでしょうから、何歳のことをいうのか知らないでしょうね。そこで、イヤイヤながら教えてあげるけれど80歳なんです。私的には、今年のお正月は「傘」という冠付の年明けだから、ちっともめでたくありません。

佐藤愛子さんの「90歳。何がめでたい」という本が今年のベストセラー第1位になったけれど、私、すでに80歳にして「何がめでたい」の境地!!!

凄いでしょ。私、80歳にして、かの有名な佐藤愛子さんと同じレベルに達しているなんて・・・。

エ? 何? 「ウン、それってそう八さんの頭がおめでたいってことでしょ」だって・・・。

ホント、失礼!!! 私、すっかり素敵気分になっているのに、水を差すようなことは言わないでくださいね。

エート、とにもかくにも、私、今からは「傘」をさして生きていくことになるのだけれど、ドシャブリの雨の中を歩いている人や、まぶしい青空の下を歩いている人や、いろいろな人がいることと思いますが、みんな生きていることにちがいはありません。

谷川俊太郎が「生きる」という詩を書きました。周りの風景は違っていても、生きているということはこんなことだよ、とこの詩を書きました。

今から始まる1年に、いろんなことが起こるにちがいありません。でも、今、生きていることを信じて・・・。

生きる        谷川俊太郎

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

※ 私の近況を載せた今年の年賀状を、「ご挨拶」の頁の末尾に添付していますのでお読みください。